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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年8月

2011年8月 6日 (土)

スゲヌマの夢

暑かったもので、夕食の際にビールを飲んだら、食後に睡魔が襲ってきて、小一時間ほど寝てしまいました。そこで妙に鮮明な夢を見ました。

どこかの競馬場のスタンドに立っているのですが、それが妙に古めかしく、現代ではないように思われました。3コーナー方面に目をやると、小さな森のようなものがあったので、東京競馬場だろうと分かりました。

馬群が4コーナーを回って直線に流れ込んできます。まるで雨上がりのような美しい夕景で、白い木製の内ラチに沿ってこちらに駆けてくる馬たちを、オレンジ色の西日が照らしています。

「スゲヌマだ、スゲヌマ!」と、近くの人が叫びました。

スゲヌマといえば戦前のダービー馬じゃないか、と思ったところで目覚めました。何のオチもありません。目覚めたあとすぐに情景を反芻できるほどリアルな夢で、場内のざわめきなども耳に残っていました。

競馬の夢なら函館2歳Sの予知夢のほうがよかったなぁ~(笑)、と思いつつスゲヌマの戦績を調べたところ、やはり1938(昭和13)年のダービーを勝っていました。ただ、夢のなかのレースがダービーかどうかは分かりません。映像で確かめようと思い、家のビデオ&DVD庫を探ったところ、20年ぐらい前に買った『日本ダービー史2』というのは出てきたのですが、『1』がないため調べがつかず。レンタルDVD店で探してみることにします。

それにしても、なぜスゲヌマなのか、なぜそんな夢を突然見るのか、人間の脳というのは本当に不思議です。
http://ahonoora.web.fc2.com/sugenuma.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B2%E3%83%8C%E3%83%9E

そういえば、スゲヌマは笠雄二郎さんの『サラブレッド配合史』にも登場します。サラ系ですが「母国宝はバンザイの1つ下の妹で、帝室御賞典に勝っている」という記述があり、日本の競走馬育種の歴史のなかでも重要な1頭という位置付けをされています。

同書は1ページ目から順に読んでいくのもいいですが、思いついたときに興味のある章から入っていくほうが読みやすいと思います。
http://www.miesque.com/c00001.html

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2011年8月 5日 (金)

サクラバクシンオーのニックス配合、ヴェアデイロス

日曜小倉5Rの新馬戦(芝1200m)は、好位追走の◎ヴェアデイロス(2番人気)が直線で抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=rm-2rj2S5jk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎〇△で馬単840円、3連単3910円的中。予想文を転載します。

「◎ヴェアデイロスは『サクラバクシンオー×サンデーサイレンス』。この組み合わせはグランプリボスやエーシンホワイティと同じで、芝新馬戦では連対率47.2%と圧倒的な成績を挙げている。サクラバクシンオー産駒は小倉の芝新馬戦を得意としているのでさらに信頼性は高い。母方にチャイナロックを持つパターンもサクラバクシンオー産駒では実績がある。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105039/

単勝1.6倍という一本被りの人気に推されながら2着に敗れた○カジキもサクラバクシンオー産駒。全国10競馬場で行われる芝新馬戦のなかで、サクラバクシンオー産駒が最も得意とするのは小倉競馬場。連対率43.1%と抜群の強さを誇ります。

予想文に記したとおり、ヴェアデイロスは新馬戦の連対率が高い「サクラバクシンオー×サンデーサイレンス」ですが、一方で、大物を出すことで知られる“母方にチャイナロックを持つパターン”にも属しています。シーイズトウショウ、ショウナンカンプ、サンダルフォン、ニシノシタン、ハッピーマキシマム、ラッシュライフ、ニシノチャーミーなどが出ている有力なニックスです。

サクラバクシンオーは軽快なスピードを武器としているので、母方からこれ以上スピードを補給する必要はありません。むしろ重要なのは底力を補強すること。こうした特長を備えたチャイナロックは好相性を示しています。Hyperion 系に属すチャイナロックは、スタミナ、底力、パワーを武器に、タケシバオー、ハイセイコー、アカネテンリュウ、メジロタイヨウ、ヤシマナショナルをはじめ多くの一流馬を送り出しました。チャイナロックに限らず、サクラバクシンオーは重厚な Hyperion 血脈とよく合います。
http://www.pedigreequery.com/china+rock

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2011年8月 4日 (木)

「一口馬主好配合馬ピックアップ」のアップロード馬告知

『血統屋』のクラブ法人企画「一口馬主好配合馬ピックアップ」は、おかげさまで大好評をいただいております。

このたび、皆さまからのご要望を取り入れて、新しく評価馬をアップロードした際には、血統屋ホームページの「What's New」にその旨を告知することにいたしました。よろしくお願いいたします。
http://www.miesque.com/

小柄でもスタミナ抜群、ヒーラ

日曜函館5Rの新馬戦(芝1800m)は、中団追走の〇ヒーラ(2番人気)が直線で早めに抜け出し、◎アーデント(1番人気)の追撃を凌ぎました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWzvdJ6bhWw

09年生まれのディープインパクト産駒の初勝利。2着も同産駒なのでワンツーフィニッシュです。昨年デビューした初年度産駒は、早期デビュー組がもうひとつだったので、今年はそれを踏まえて各陣営ともゆったり構えている印象があります。昨年の同時期は16走、今年は9走。昨年はすでに4勝を挙げていましたが、連対率を比べると、昨年の31.3%に対し今年は55.6%と上回っています。内容的には上々ですね。秋競馬からが本番です。

ヒーラは412キロしかない小柄な牝馬。しかし、母方はスタミナに恵まれ、自身にはステイヤー血統として有名な Busted 4×5というクロスを持つので、洋芝の1800m新馬戦という条件は合っていました。今春ヨーロッパで「Galileo×デインヒル」が大ブレイク(Frankel、Nathaniel、Golden Lilac など)しましたが、本馬の母セントフロンティアは「デインヒル×Sadler's Wells(Galileo の父)なのでちょっと似ています。

Danzig 系は総じて回転の速いフットワークを伝えるため、大トビのディープインパクトと相性が良好です。ヒーラにはステイヤー血統にありがちなフットワークの重さがなく、軽快な捌きが感じられるので、重賞クラスでもいいところがありそうです。本格的な切れ味勝負、時計勝負に対応できるかどうか、このあたりが今後の課題です。血統的には成長力が感じられるタイプので、もう少し馬体が増えてほしいところですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102525/

◎アーデントは2着。4コーナーで前が壁になり、行き場を探しているうちに先にヒーラが抜け出してしまいました。もったいないレースでした。今回の結果はあくまでも展開のアヤなので次走は確勝でしょう。札幌2歳Sでヒーラと再対決、ということになりそうです。

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2011年8月 3日 (水)

母方のスピードが活きたタマモオンゾウシ

■土曜新潟5Rの新馬戦(ダ1200m)は、楽に先手を奪った◎タマモオンゾウシ(1番人気)が後続に8馬身差をつけて逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0UeMMkdCG9c

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は◎〇△で馬単1090円、3連単9220円的中。予想文を転載します。

「◎タマモオンゾウシは『ネオユニヴァース×アフリート』という組み合わせ。母ヒトリムスメはダート短距離で3勝を挙げた。父ネオユニヴァースは短距離向きではないが、母は「アフリート×ダンジグ」というスピード血統なので十分対応できるだろう。母方にダンジグを持つネオユニヴァース産駒にはロジユニヴァース、オールアズワンなどがいる。仕上がりも早いだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104936/

父ネオユニヴァースは素軽さやスピードといった要素に不安を抱えているので、短距離の新馬戦では馬券にならない種牡馬です。そうしたレース条件が多い2歳夏あたりはまったく存在感がありません。ただ、本馬の場合、母が「アフリート×Danzig」という配合なので、父の弱点をカバーしています。配合的にはどう見てもダート短距離ですね。

■土曜小倉6Rの新馬戦(芝1200m)は、ダッシュを利かせて先頭に立った▲シゲルシバグリ(2番人気)がそのまま逃げ切りました。予想は▲◎〇で馬連2780円、3連複1820円的中。

勝ったシゲルシバグリは「トワイニング×フジキセキ」という組み合わせで、母ケイエフキセキはメガスターダム(中京記念、ラジオたんぱ杯2歳S)の全姉です。「トワイニング×サンデー」はロードオブザダイス、フサイチアソート、ドリームガードナー、カツヨトワイニングなどが出て大成功しており、新馬戦でも優秀な成績を挙げています。母の父がサンデーからその息子フジキセキに替わっただけなので、基本的には似ような個性を持っているはずです。

2代母の父マルゼンスキーは新馬戦に強く、Mr.Prospector 系との相性も良好。この血が入るだけで配合全体が引き締まって見えますね。名血とはこういうものでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103713/

◎タイセイシュバリエ(5番人気)は2着。序盤はダッシュがつかず後方からの競馬。3コーナーからエンジンが掛かって強引にマクって最後は2着を確保。レースぶりが常識に掛かれば勝ち馬に引けをとらないでしょう。

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2011年8月 2日 (火)

ハットトリック産駒 Dabirsim が仏G3制覇

デビュー以来2戦2勝のハットトリック産駒 Dabirsim(牡2歳)が、7月31日に仏ドーヴィル競馬場で行われたカブール賞(仏G3・芝直線1200m)で重賞を制覇しました。

馬場状態が良かったのでタイムは1分09秒12と速かったですね。カブール賞の勝ちタイムは例年1分11秒前後。日本とよく似たコンディションの高速馬場はサンデー系にとって追い風だったと思います。

7月9日のエントリー「ハットトリック好発進」では以下のように記しました。

「6月8日のデビュー戦(芝1200m)を10馬身差で勝ったときは小さいながらもニュースになりました。パリ地区ではなく、フランス南西部のボルドーに近いラテストドビューシュという競馬場でのこと。相手も弱かったと思いますが、2戦目も快勝しているので、順調ならいずれパリ地区やドーヴィルあたりに出てくるでしょう。そこでどの程度やれるか注目です。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-127c.html

1、2戦目とは相手関係が違うので、人気でも楽観はできないと思っていたのですが、アッサリと勝利をものにしました。なかなか強いですね。次走は8月21日に同じドーヴィル競馬場で行われるモルニー賞(G1・芝直線1200m)。さらに相手は強化されますが、1番人気を争う存在となったのは間違いないでしょう。ここを勝てるようだと、もともと距離が延びていいと思われる馬だけに、凱旋門賞の同日(10月2日)に行われるジャンリュックラガルデール賞(G1・芝1400m)や、来春のクラシックへの期待も高まります。
http://www.pedigreequery.com/dabirsim

カブール賞の2レース後に行われたロートシルト賞(仏G1・芝1600m)は Goldikova が快勝しました。同一レース4連覇達成、という偉業です。通算G1勝利数「14」というのも気が遠くなるような数字です。Frankel が出走を予定しているクイーンエリザベス2世S(英G1・芝8f)には向かわないと思われるので、両者の対決は実現しそうにありません。
http://www.youtube.com/watch?v=jdcWZHsQXdA

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2011年8月 1日 (月)

小倉記念はイタリアンレッド

小倉記念(G3・芝2000m)は通常、夏に8週間行われる小倉開催の3週目に組まれています。今年は地震による開催変更の影響で開幕週に移動しました(ただし施行時期は変わらず)。馬場がいいので先行有利、という心理がジョッキーたちにあったのか、前半5ハロン通過が57秒1という超ハイペース。これで先行勢が厳しくなり、差し馬の競馬となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=sWcNAkvIja8

勝った△イタリアンレッド(4番人気)は七夕賞(G3)に続いて重賞連勝。前走から3キロ増の斤量は楽ではなかったと思いますが、過去5戦4勝の小倉実績と、上がり馬の勢いで克服してしまいました。ちなみに、前週の函館記念を制したキングトップガンも、目黒記念からの3キロ増をものともせず重賞連勝。この時期は勢い重視ですね。

イタリアンレッドはヴィクトワールピサと同じく Lorenzaccio を、ロジユニヴァースやユニバーサルバンクと同じく Lorenzaccio の息子 Ahonoora を持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103026/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103140/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103095/

父ネオユニヴァースは、その母ポインテッドパスの重厚さが影響しているのか、産駒をコンスタントに走らせる素軽さ、軽快なスピード、鋭さといったものに弱みを抱えています。その部分を補うために母方からスピード血脈を取り入れることは配合の最重要ポイントです。

Lorenzaccio-Ahonoora-Indian Ridge のラインは、ネオユニヴァースの鈍重さを解消させる血として有効なのでしょう。ちなみに、Lorenzaccio は名馬 Nijinsky が競走馬時代に先着を許した2頭のうちの1頭です(もう1頭は Sassafras)。

◎コスモファントム(3番人気)は14着。超ハイペースに巻き込まれて4コーナーでは手応えがありませんでした。ただ、似たような位置取りのリクエストソングが3着に粘っているので、ちょっと負けすぎかなという気もします。

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競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!