消えた名種牡馬 Cacique
8月13日(土)に英ニューバリー競馬場で行われたジェフリーフリーアS(G3・芝13f61yds)は、3番人気の Census が勝ちました。
http://www.pedigreequery.com/census6
2着の Brown Panther はマイケル・オーウェン氏(元イングランド代表のサッカー選手)の持ち馬。こちらが勝っていればそこそこ大きなニュースバリューだったかもしれません。
ただ、Census の勝利も、血統的には目を惹く結果です。同馬の父 Cacique にとって、Mutual Trust(ジャンプラ賞-仏G1、ポールドムーサック賞-仏G3)に次ぐ2頭目の重賞勝ち馬となりました。
http://www.pedigreequery.com/cacique9
2頭が属する3歳世代は Cacique の初年度産駒。出走を果たしたものはわずか16頭です。種牡馬として人気がなかったわけではありません。なぜなら Cacique は現役時代にマンノウォーS(米G1)やマンハッタンH(米G1)などを制した一流馬で、なおかつ名種牡馬 Dansili(ハービンジャー、Rail Link などの父)の全弟にあたり、兄弟には4頭のG1馬がいるという超良血馬だからです。種牡馬としては引く手あまたでした。この華々しいファミリーについては昨年2月26日のエントリー「もう1頭のスーパー牝馬 Hasili」に詳述しておりますのでご参照ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/02/hasili-2836.html
産駒数が少ない理由は“受胎率の低さ”です。現2歳世代はさらに頭数が少なく、わずか数頭。結局、昨年秋に種牡馬生活をリタイアしました。繋養されていたバンステッドマナースタッドには、もともと全兄の Dansili がいたのですが、10年からは全弟の Champs Elysees がスタッドイン。同じ血統の種牡馬は3頭もいらないということで、受胎率に問題を抱える Cacique が切られたということでしょう。
Cacique 産駒は Mutual Trust と Census だけではありません。競走馬となったわずかな初年度産駒から、Slumber(英G3チェスターヴァーズ-3着、英G3ハンプトンコートS-3着)、Dominant(英G3ヨークS-3着)などが出ています。全兄 Dansili に負けない活躍ぶりです。これだけの能力を持った種牡馬が、ごくわずかな産駒しか残せず姿を消したというのはもったいないですね。
スーパー牝馬 Hasili を母に持つ名馬たちが、種牡馬や繁殖牝馬として成功し、現代のサラブレッドに大きな痕跡を刻むことになったとしたら、Census の血は希少性が高いので価値が上がるかもしれません。
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血 統 屋 http://www.miesque.com/
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