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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年9月

2010年9月12日 (日)

ニエル賞、フォワ賞のオッズ

いよいよ本日夜に発走です(ニエル賞は23時15分、フォワ賞は23時45分)。オッズはイギリスのブックメーカーのものなので、現地で発表される公式オッズとは異なります。日本馬がどの程度評価されているかという目安にはなるでしょう。数字は発走時間に近づくにしたがって変わっていきます。数字は主な6社のものです(オッズ表示は日本式に直しています)。

■ニエル賞(G2・芝2400m)

Behkabad       2.1   2.25   2.1   2   2   2.1
Planteur        3   3  2.875  2.875   3   3
ヴィクトワールピサ   8   6   8   8   8   8
Apres Vous       8   7.5   7.5   8   8   8
Shamalgan        29   21   26   26   26   21
Kidnapping       29   23   26   34   34   34
Vivre Libre      201   251   201   201   251   201

パリ大賞典(G1)の1、2着馬、Behkabad と Planteur が人気を分け合う形です。これにヴィクトワールピサと Apres Vous が続きます。

Apres Vous (父 Monsun)はアンドレ・ファーブル厩舎が送り込んできた刺客。戦績は1戦1勝ながら Manduro(ジャックロマロワ賞、プリンスオブウェールズS、イスパーン賞)の4分の3同血にあたる良血馬です。
http://www.pedigreequery.com/apres+vous3

未知の魅力が買われて穴人気になり、あっけなく飛ぶというパターンではないかと思いますが、血統、厩舎、馬主(マイケル・テーバー氏のグループ)を見るとかなり怖いですね。相当な大物である可能性も否定できません。もし仮にここを勝つようなら凱旋門賞へ向けた勢力図が一変します。

■フォワ賞(G2・芝2400m)

Byword         2   2.1   2.2  1.95   2   2
Daryakana       4.5   4  3.75   5   4.5   4.5
ナカヤマフェスタ    7   5.5   6   6   6   7
Duncan         10   9   11   9   9   9
Chinchon        9   10   12   11   11   10
Timos         19   17   17   21   17   21

ナカヤマフェスタが3番人気というのは妥当なところでしょう。

ライブカメラで現在のパリの天候を確認したところ、雲は多いものの晴れています。できればこのまま行ってほしいですね。

2010年9月11日 (土)

レーヴディソール鮮やか

才能の違いをハッキリと見せつけた一戦でした。

札幌5R新馬戦(芝1500m)。

私の本命は昨日のエントリーに記したラプリメーラ(4番人気)でしたが、結果は7着。残念ながら Alcide≒パラディシアの重さが勝っていましたね。母の父メジロライアンを思わせる硬い走法で、向正面の走りを見た段階でこれは弾けないだろうなぁ……と。残念。

一方のレーヴディソール(1番人気)はいい意味での軽さと躍動感があります。これが同じアグネスタキオン産駒かと思うぐらいラプリメーラとはフットワークが違っていました。12秒8-12秒1-11秒5-11秒4と尻上がりに速くなるラップであの末脚ですからケタが違います。ここ2年ほどアグネスタキオン産駒はもうひとつの成績ですが、こういう鮮やかなレースを目の当たりにすると、やはり特別なものを持っているなぁと感心せざるをえません。

母レーヴドスカーは、ナイアガラ(父ファンタスティックライト)、レーヴダムール(父ファルブラヴ)、アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)、レーヴドリアン(父スペシャルウィーク)、レーヴディソール(父アグネスタキオン)と、すべて違う父から連続して良駒を送り出しています。尋常ではありません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103374/

怖いのは怪我ですね。父も母も脚部不安の影がつきまとう血統です。「栗山ノート」に含めなかったのは脚もとが怖かったからです。

才能はG1級だと思うので大事に行ってほしいですね。それにしても今年の2歳世代は牝馬が大豊作です。アヴェンチュラ、アドマイヤセプター、そしてレーヴディソール……。秋の京都、東京開催でも何かしら出てくるでしょう。

関係ありませんが、愛セントレジャー(G1・芝14f)に出走したポップロックはまったくダメでしたね。さすがにG1では荷が重すぎました。

ニエル賞、フォワ賞展望(後)

フォワ賞といえば99年にエルコンドルパサーが勝ったレースですが、日本馬ではもう1頭、86年にシリウスシンボリが2着していることは意外と忘れられがちかもしれません。アジア以外の重賞で日本馬が複数頭連対したレースは、アメリカンオークス、メルボルンC、そしてこのフォワ賞の3つです。

今年のフォワ賞(G2・芝2400m)は古馬ナンバーワンの Fame and Glory が回避。本番に直行する模様です。ナカヤマフェスタにもチャンスが出てきました。

Byword は今年のプリンスオブウェールズ(英G1・芝10f)の勝ち馬。半姉に現在アメリカで芝G1を3連勝している Proviso がいます。8~10fで使われてきた馬なので、ここに出てくるとは思いませんでした。前走、8月17日のインターナショナルS(英G1・芝10f88yds)は Rip Van Winkle の3着。今回のメンバーのなかでは格上ですが、問題は12ハロンをこなせるかどうか。付け入る隙はあると思います。現在、凱旋門賞のアンティポストは5~10番人気ぐらい(11~17倍)です。
http://www.pedigreequery.com/byword

牝馬の Daryakana はサンクルー大賞典(G1)3着、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)4着とまずまずの成績。昨年暮れに香港ヴァーズ(G1・芝2400m)を勝ったとき、4着がジャガーメイルでした。メンバーが手薄とみてヴェルメイユ賞(G1)からこちらに回ってきたのかもしれません。凱旋門賞のアンティポストは12~15番人気ぐらい(21~34倍)です。
http://www.pedigreequery.com/daryakana

Chinchon は7月にアメリカ遠征をして弱敵相手にユナイテッドネイションズS(米G1・芝11f)を勝ちました。ただ、フランスではG3しか勝ったことがありません。トライマイベスト=Northern Prancer 3×3、Mill Reef≒Riverman 4×4はかっこいいですね。
http://www.pedigreequery.com/chinchon2

Duncan は6月19日に行われたハードウィックS(英G2・芝12f)で2着(勝ち馬は Harbinger)と健闘したのですが、続く7月30日のグローリアスS(G3・芝12f)は1番人気に推されて4着と凡走。安定して力を発揮するまでには至っていない感じです。http://www.pedigreequery.com/duncan7

Fame and Glory という誰もが認める主役が回避したので、脇役だけのレースとなった感があります。1番人気が予想される Byword は2400mという距離が未知数なので、ナカヤマフェスタにも十分チャンスはあるでしょう。Byword に適性があった場合は厳しいのですが。

9月1日のエントリーで凱旋門賞のアンティポストについて書きましたが、ここにきてようやくヴィクトワールピサとナカヤマフェスタのオッズが付いてきました。数字は左がコーラル、右がウイリアムヒルです。オッズは日本式に直しています。

ヴィクトワールピサ  26  26
ナカヤマフェスタ   41  34

ナカヤマフェスタには26倍をつけるブックメーカーもあります。ニエル賞とフォワ賞が終わればオッズは固まってくるでしょう。レースの模様は9月12日の23時からグリーンチャンネルで放送されます。

2010年9月10日 (金)

ラプリメーラを応援

土曜札幌5R(芝1500m)は目移りすぐるらい良質なメンバーが揃いました。出馬表を見渡したところ「栗山ノート」の指名馬を1頭発見。

2番ラプリメーラ(父アグネスタキオン)です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103311/

『競馬王のPOG本』に掲載したコメントを転載します。

「母はローズS3着馬。メジロライアン産駒にしてはいい切れ味を持っていた。アルサイド≒パラディシア5×5は非常におもしろい。大物感があるのでホームランの可能性も。」

母はベストアルバムです。本馬と同じく沖芳夫厩舎に所属し、18戦5勝の成績を残しました。主な戦績はローズS(G2)3着。

Alcide≒パラディシアの関係は以下のとおり。かなりユニークです。

          ┌ Donatello
        ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ――――┤ └○┘
        └ Chenille

          ┌ Hyperion
        ┌○┤ ┌ Donatello
パラディシア ―┤ └○┘
        └ Chenille

誤解のないように付言しておくと、このクロスはほとんど成功例がありません。スピードがないからです。メジロ牧場で何度も試みられたのですが重すぎて走りませんでした。しかし、だからダメというのは短絡的ではないかと思います。活かし方ひとつでしょう。

現代的な血統のなかでこのクロスを展開させれば案外成功するのではないか、という考えはいつも心の片隅にありました。具体的にいえばアグネスタキオンです。サンデー系のなかでもスピードと切れ味に特長があるので、Alcide≒パラディシアの重さを活かす血として魅力的です。アグネスタキオンにはリマンドがあり、その父が Alcide です。

母方にパラディシアを持つアグネスタキオン産駒は、過去に1頭デビューしています。メジロドーベルの娘メジロアレグレットです。同馬は〔0.3.2.1〕という成績が示すとおり決め手がなく、6戦目のレース中に骨折して予後不良となってしまいました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003103357/

じつはアグネスタキオン産駒が出始めのころ、Alycidon≒Aureole(つまり Alcide の父とパラディシアの父)を狙ってPOGで指名したこともあったのですが(例:カレンスターボーイ)、決め手がありませんでした。アグネスタキオン産駒においてリマンドに含まれる部分を強調するのはリスキーだと学びました。

メジロアレグレットは、母が著名馬ではあるものの、瞬発力不足を補う配合的な仕掛けがありません。しかし、ラプリメーラには Halo≒Sir Ivor 3×5があります。Halo 的な軽さや瞬発力を増幅するクロスです。これがなければ指名することはなかったでしょう。

Alcide≒パラディシアの重さが勝つか、Halo≒Sir Ivor の軽さが勝つか、明日のレースは注目してみたいと思います。ダメなようなら Alcide≒パラディシアは諦めます。

ニエル賞、フォワ賞展望(前)

レースは9月12日(日)ですから明後日です。8日の追い切りは雨の中で行われました。関係者のコメントを読むかぎり、ヴィクトワールピサもナカヤマフェスタも順調のようですね。

9日は晴れときどき雨で、10、11日は晴れの予報(両日とも降水確率5%)。レース当日は雨のち曇りの予報(降水確率95%)ですから、馬場状態は日本でいうところの稍重ぐらいではないかと思います。両馬とも良馬場以外はダメというタイプではなく、おそらく対応できるでしょう。

ヴィクトワールピサが出走するニエル賞(G2・芝2400m)は、パリ大賞典の1、2着馬 Behkabad と Planteur のラインに、ヴィクトワールピサが対抗できるかどうか、というところですね。

7月14日のパリ大賞典(G1・芝2400m)は、今回と同じコースで行われ、この2頭が後続を5馬身ちぎりました。3着 Jan Vermeer は、6月27日の愛ダービー(G1・芝12f)で Cape Blanco(先日の愛チャンピオンSを5馬身半差で圧勝)から2馬身差の3着ですから弱い馬ではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=IMq9eEl911Q

現在、凱旋門賞のアンティポストでは、Bahkabad が2番人気(5~7倍)、Planteur が3~5番人気(8~11倍)。個人的には古馬の Fame and Glory(現在1番人気)よりも伸び盛りの3歳勢のほうが怖いと思います。もし仮にヴィクトワールピサがここを勝つようなら凱旋門賞の最有力候補に昇格します。負けたとしても悲観する必要はありません。大きく離されなければ十分だと思います。

Behkabad は文句なしの名配合です。バランス、風格、血脈構成、すべてにおいて申し分ありません。アガ・カーン四世殿下の配合には感動があります。財力と配合哲学を併せ持つオーナーブリーダーにのみ許される“名血を育むための歴史的視点”が感じられるからです。父は Sea the Stars を送り出した Cape Cross。牝系は3代連続でパターンレースを勝っており、2代母 Behera は凱旋門賞で2着となりました。ここを勝てば凱旋門賞は1番人気でしょう。すでにいくつかのブックメーカーは1番人気に推し始めています。
http://www.pedigreequery.com/behkabad

Planteur は、母の兄弟に02年のニエル賞勝ち馬 Pushkin、ジャパンC4着の Policy Maker がいます。仏ダービー(2着)でもパリ大賞典(2着)でも、直線でムチが入るとヨレるところが見られました。気性的な成長によりこのあたりが解消すれば楽しみですね。配合的に決め手が甘そうなところも見受けられます。馬場が渋ったほうがいいタイプかもしれません。
http://www.pedigreequery.com/planteur

Shamalgan はフランス産のチェコ調教馬で、仏2000ギニー(G1)3着、ユジェーヌアダム賞(G2)2着という成績。ユジェーヌアダム賞を勝った Shimraan はドーヴィル大賞典(G2)4着ですから、ここではやや荷が重い感じです。
http://www.pedigreequery.com/shamalgan

ニエル賞とフォワ賞を比べると、今年はニエル賞のほうがメンバーが揃っています。フォワ賞に出走していれば断然人気を背負うはずだった Fame and Glory は回避してしまいました。ニエル賞には本番の凱旋門賞で有力と目されている Behkabad と Planteur が出てくるわけですから、ヴィクトワールピサにとってハードルは決して低くありません。ただ、私は好勝負に持ち込めると思っています。

フォワ賞については明日。

2010年9月 9日 (木)

戸塚記念はハーミア

9月8日夜、川崎競馬場で行われた戸塚記念(ダ2100m)は、1番人気に推された牝馬のハーミア(父フィガロ)がビクトリースガのマクリを封じて勝ちました。これが重賞初制覇です。

父フィガロは懐かしいですね。新馬-京都3歳S(OP)を連勝し、グラスワンダーが勝った朝日杯3歳S(G1)で3着に食い込んだ馬です。朝日杯は Storm Cat を持つ馬がやたらと走るのですが、その一番最初の例だったと記憶しています。通算成績3戦2勝。伊達秀和さんの持ち馬でした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108837/

種牡馬としては地味な存在で、02年から昨年まで8年間の平均種付け頭数は14頭。伊達さんが所有するサンシャイン牧場に繋養され、自家牝馬を中心に種付けを行ってきました(現在は優駿スタリオンステーションで種付け)。代表産駒のアンパサンドは東京ダービーと報知オールスターCの勝ち馬です。

ハーミアとアンパサンドは配合構成がよく似ています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105461/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004105545/

        ┌ フィガロ
ハーミア ―――┤
        └○┐
          └ ボニータ

        ┌ フィガロ
アンパサンド ―┤
        └○┐
          └ ボニータ

両馬ともサンシャイン牧場の生産馬。ボニータの母は伊達さんが所有した桜花賞馬ブロケードです。フィガロとボニータの組み合わせはよほど合うようで、まったく同じ配合パターンを持つデリスという2歳牝馬が、先週大井で新馬戦(ダ1200m)を勝ちました。同馬はハーミアと同じく荒山勝徳厩舎に所属しています。いずれ重賞戦線を賑わす馬に成長するかもしれません。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105499/

        ┌ フィガロ
デリス ――――┤
        └○┐
          └ ボニータ

2010年9月 8日 (水)

橋本邦治さん死去

先月19日にお亡くなりになったとのことですが、9月に入ってから知りました。87歳。大川慶次郎さんより7歳年上で、大正生まれ(大正11年/1922年生)では最も長く現役でいらした競馬関係者ではないでしょうか。つい数年前までラジオNIKKEIの競馬中継に出演されていたイメージがあります。

『日本の名馬』(サラブレッド血統センター)の118頁に、「私と競馬」と題する橋本さんの文章が載っています。抜粋します。

「私の家は、昔府中にあった。そんな関係もあり、父が野戦重砲兵だったりしたため、子供のころから馬が好きだった。そのうえ、目黒から東京競馬場が移転してきたりしたため、なにもわからないうちから、競馬は見ていた。だから、ガヴアナーが『ダービー』に勝った後で急死して、墓地に運ばれる、悲運な姿を見たことを覚えている。」

ガヴアナーは第4回のダービー馬。死んだのは1935年(昭和10年)ですから75年前です。橋本さんはそのときの光景を目撃しています。

また、『優駿』04年10月号にはこんな記述があります。

「私も、馬房によこたわるトキノミノルを見舞ったが、“これがあのダービー馬か”と、目を疑いたくなるような寂しい姿だった。」

トキノミノルは1951年(昭和26年)の二冠馬で、通算10戦全勝。ダービー制覇から17日後に破傷風により死亡しました。橋本さんは死の床にあるトキノミノルも目撃しています。

時代が下り、日本テレビの名物番組『11PM』で、大橋巨泉氏と競馬コーナーを持ったと聞きますが、残念ながら記憶にありません。私にとって橋本さんは『話のかいば』の著者です。NAR地方競馬全国協会の機関誌『地方競馬』に連載されたコラムをまとめたもので、91年にJRA馬事文化賞を受賞しました。競馬に関する幅広い蘊蓄を90のチャプターに分けてエッセイ風に記したものです。読みやすくて好きな本でしたね。「父は、明治の日本画家、橋本雅邦の六男」というプロフィールの記述を見て、へぇ~と感心したりもしました。この本を Amazon で検索しても引っ掛かってきません。現在入手は困難かもしれません。晩年はJRA賞の記者投票でたびたび独創的な票を投じることで話題になりました。

私はよく中山競馬場行きのバスでお見かけしました。雨の日も風の日も変わることなく座席に腰掛けていらっしゃいました。奥様らしきお連れの方と一緒のことが多かったですね。自分はあの歳まで競馬場に通う気力を保てるだろうか……と、そのお背中を見ながら思ったものです。合掌。

2010年9月 7日 (火)

9月の中山開幕週とダンスインザダーク

ダンスインザダーク産駒の競馬場別連対率(芝)を調べると、中山コースは「14.0%」で最下位。“ダンスインザダーク産駒は中山芝では信用できない”ということは、血統で馬券を買う人にとっては経験的・感覚的に身についていることだろうと思います。たとえば、中山のG1レースで同産駒を切るのは昔からのセオリーです(過去22戦して一度も連対していません)。

ただ、1年のうちここだけは狙えるというポイントがあります。9月の中山開催です。連対率「21.5%」ですから普通に買えます。開幕週に限れば「29.4%」。むしろ積極的に狙ってみたい、という数字ですね。

開幕週は馬場コンディションがいいので、時計が速く前が止まりません。ハイペースのままバテずにゴールになだれ込むという競馬になりがちです。ラップの起伏が少なく、平均して速くなります。したがってギアチェンジや決め手はあまり必要とされません。

ダンスインザダーク産駒の弱点は、ほかのサンデー系に比べると瞬発力がイマイチで、エンジンの掛かりが遅いこと。ギアチェンジが上手くないので機動力に欠けます。基本的にこういうタイプは中山では買いづらいですね。ただし、9月の開幕週は話が別です。一本調子の競馬になりやすいため、こうした弱点が露呈しづらいのだろうと思います。とくに注目したいのは芝1600mと芝2000m。この2つのコースでは抜群の成績を誇ります。昨年の京成杯オータムH(G3・芝1600m)はダンスインザダーク産駒のザレマが勝ちました。

サンプルは少ないものの、シンボリクリスエス産駒も9月の中山開幕週を得意としています。芝で9戦して3連対。連対率33.3%です。同馬については6月6日のエントリー(「高速馬場とシンボリクリスエス」)でその特徴を分析しました。抜粋してみます。

「『ハイペースへの耐久力とスピードの持続力』を活かす展開になれば、シンボリクリスエス産駒は生き生きと躍動します。そうした競馬になりやすい高速馬場ではつねにマークが必要です。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-5cad.html

開幕週に強い、という条件を備えた種牡馬であることがわかります。ダンスインザダーク産駒と同じくマークが必要です。昨年の紫苑S(OP・芝2000m)を11番人気で制したダイアナバローズはシンボリクリスエス産駒でした。

9月8、9日に『馬券師倶楽部2』再放送

『馬券師倶楽部2』の「栗山求(後編)」です。放送スケジュールは以下のとおり。

   9/8(水) 16:00~16:30
   9/9(木) 10:00~10:30

CS放送の“MONDO21”で観ることができます。よろしかったらどうぞ。

2010年9月 6日 (月)

日曜日のレースあれこれ

■小倉2歳S(G3)は◎ブラウンワイルド(1番人気)がギリギリ差し切りました。前走のフェニックス賞(2着)は馬を見てピンと来なかったのですが、今回は良かったと思います。稽古の動きからしてまったく違っていたので、体調がグンと上向いていたのでしょう。予想は◎○△で3連単23440円的中。血統解説は7月17日のエントリー(「ブラウンワイルド、新馬戦レコード勝ち」)をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-66b2.html

毎年思うのですが、同日同距離で行われる2歳未勝利戦と勝ち時計がほとんど変わりません。この日も未勝利戦が1分08秒8で、小倉2歳Sが1分08秒7。重賞に出ている馬たちは、仮にマイペースで逃げたり少頭数で走れば、たいていこのぐらいの時計では走れるはずです。ただ、多頭数のゴチャゴチャした競馬になると勝手が違ってきます。精神的なたくましさや経験値が大きくモノをいうレースですね。

■札幌日経オープン(OP)はトウカイメロディ(1番人気)が完勝。前走のみなみ北海道S(OP)で2着に負かしたホクトスルタンと斤量差が一気に4キロ縮まっていたものの、伸び盛りの勢いが買われて1番人気となり、堂々とそれに応えてみせました。

父チーフベアハートは薄味の種牡馬で、自身の特徴を産駒に伝えるというよりは交配相手の特徴を出しやすいタイプです。母方からスタミナを受ければマイネルキッツ(天皇賞・春)になり、スピードを受ければビービーガルダン(阪急杯、キーンランドC)になります。トウカイメロディの場合、母が「ジェネラス×リアルシャダイ」ですからスタミナタイプ。菊花賞(10月24日・G1・京都芝3000m)で買おうと密かに狙っていた方は多いかと思いますが、この快進撃では密かどころではなくなってしまいましたね。春のクラシック上位組が前哨戦で躓けば1番人気の可能性も……。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007106596/

■札幌4Rの新馬戦(芝1800m)は、9月3日のエントリー(「今週の新馬戦はルルーシュに注目」)で取り上げたルルーシュがハナ差で勝利を飾りました。着差はわずかでしたが、中だるみのないラップはなかなか優秀。終始外を回っていたので内容は悪くなかったと思います。藤沢流の仕上げでしょうから使って変わりそうですね。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!