高速馬場とシンボリクリスエス
土曜東京11R・湘南S(準OP・芝1600m)は、勝ちタイムが1分31秒7。先日のNHKマイルCでダノンシャンティが出した日本レコードにコンマ3秒と迫る快時計でした。ここ2週、雨が降ったり馬場が使い込まれたりで、時計が掛かり始めたなと思ったら、今週は春開催が始まった当初のコンディションに戻ったようです。
土曜日の競馬で戦果を挙げたのがシンボリクリスエス産駒。芝レースで2勝、2着1回という成績。第9Rのロベリア賞(3歳500万下・芝1800m)でオリエンタルジェイが1着、第11Rの湘南Sでソーマジックが2着と、とくに特別戦でその走りが目立ちました。
シンボリクリスエスは「Roberto 系×Seattle Slew 系」という組み合わせ。Roberto も Seattle Slew も、一瞬の切れ味には欠けるものの持続力に秀でた血です。このタイプの配合は、荒れ馬場専用のパワー型に出ることが多いのですが、シンボリクリスエスのいいところは時計の速い決着にも対応できることですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999110099/
シンボリクリスエス産駒は東京芝1600mの鬼です。連対率は36.8%。この数字は、東京競馬場がリニューアルした03年4月以降、当コースで50走以上した種牡馬のなかでは断然トップです(2位はキングカメハメハの27.8%)。単勝回収率102%、単勝適正回収率120.5%ですから馬券的にも信頼できます。
この戦績を勝ちタイムで色分けするとおもしろいことがわかります。サンプルは良馬場のみで、2歳戦は除外します。
★1分34秒未満で決着したレース…………連対率50.0%
★1分34秒以上で決着したレース…………連対率22.2%
速いタイムで強く、遅いタイムでイマイチ、という傾向が表れています。一般的に、勝ちタイムの速いレースは道中のペースが緩みません。湘南Sのラップは以下のとおり。
12.4 - 11.1 - 11.5 - 11.2 - 11.3 - 11.3 - 11.1 - 11.8
11秒台前半のラップがフラットに続きます。おそらくシンボリクリスエス産駒はこういう展開に向いているのでしょう。
2代父 Roberto は、72年のベンソン&ヘッジズゴールドC(英G1・芝10.5f)で、アメリカ人のブラウリオ・バエザ騎手を背に、ハイペースで飛ばして逃げ切り勝ちを収めました。名馬 Brigadier Gerard の連勝記録を「15」で止めたことでも知られる歴史的なレースです。コースレコードを1秒7も短縮する快走でした。
http://www.youtube.com/watch?v=GNsATgJA50g
母の父の父 Seattle Slew は、アメリカ馬らしい先行力を武器とする米三冠馬。同じ三冠馬の Affirmed を相手に逃げ切った78年のマールボロC(米G1・ダ9f)は、Seattle Slew の持ち味が活きたベストレースのひとつでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=RBHczmcKS5M
こうした名馬から影響を受けたシンボリクリスエスは、決め手には乏しいもののハイペースへの耐久力とスピードの持続力に優れています。遅いタイムでイマイチ、というのは、おそらく道中のペースが緩んで決め手勝負に持ち込まれるケースが多いからでしょう。「ハイペースへの耐久力とスピードの持続力」を活かす展開になれば、シンボリクリスエス産駒は生き生きと躍動します。そうした競馬になりやすい高速馬場ではつねにマークが必要です。
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