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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年1月25日 (火)

体調どん底でも勝ったリベルタスは強い

■土曜京都の若駒S(OP・芝2000m)はディープインパクト産駒のリベルタス(1番人気)がクビ、アタマ差の接戦を制しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Ka2seyS-tOo

レース後、騎乗した福永騎手、管理した角居調教師が、口を揃えて状態面の悪さについて語りました。G1を使ったことによる反動なのでしょう。11月30日のエントリー「ディープインパクトの格上がり戦」において、新馬戦を使ったあとの反動の大きさについて記しました。http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/11/post-9e63.html

ディープインパクト産駒は、目一杯に仕上げて好走した次のレースでは、反動が出やすいタイプなのかもしれませんね。ディープサウンドのホープフルSをはじめ、これまで敗因がよく分からない凡走がいくつかありましたが、それらはひょっとしたら前走の反動により目に見えない疲れが残っていたのかもしれません。まだ成長途上で身体が出来上がってないことも関係しているのではないでしょうか。

体調が整っていない状態でこれだけ走るわけですから、リベルタスの能力は信頼できますし強いと思います。クラシックが近づいてから調子が下降するよりも、いまのうちにどん底を通過しておくほうがいいでしょう。

■土曜中山の菜の花賞(3歳500万下・芝1600m)は1位入線のマヒナ(2番人気)が12着に降着となり、ヤマノラヴ(4番人気)が繰り上がって優勝しました。
http://www.youtube.com/watch?v=gWeYhAelElE

注目は2着に繰り上がったアカンサス(3番人気)。ミルレーサー≒Gana Facil 2×4という組み合わせのクロスを持ちます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102889/

        ┌ Le Fabuleux
ミルレーサー ―┤ ┌ In Reality
        └○┘

        ┌ Le Fabuleux
Gana Facil ――┤ ┌ In Reality
        └○┘

Fappiano 系は In Reality とニックスの関係にあります。これは非常に有名なものなので覚えておいて損はないでしょう。Unbridled's Song の父 Unbridled はこのニックスを持ちます。アカンサスの父フジキセキは、In Reality を持っているのでこのニックスを継続します。そして、フジキセキの母ミルレーサーは、Unbridled の母 Gana Facil と同じ「Le Fabuleux×In Reality」。フジキセキと Unbridled 系を組み合わせてみるのはおもしろいでしょう。高い効果が得られる可能性があります。

■土曜小倉のかささぎ賞(3歳500万下・芝1200m)はエーシンヒットマン(1番人気)が逃げ切り勝ち。3馬身半差の楽勝で、1分07秒6というタイムも優秀。レースレコードです。http://www.youtube.com/watch?v=V6VfbSkwpcY

母エイシンヘーベは小倉2歳S(G3)の3着馬。もともと高いポテンシャルがあることに加えて、父キングカメハメハと相性のいい Tourbillon 系の My Babu を5×5で持ち、さらにこれも相性のいいサンデーサイレンスを持つわけですから、ケチをつけるところが見当たらないですね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101274/

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コメント

リベルタスが若駒Sを親子2代制覇したのも、なにかの因縁かもしれませんね。
リベルタスの母カーリングは、ミルリーフ系のガルドロワイヤル産駒ですが、ディープとミルリーフの相性はどうなのか気になっていました。というのも、ディープとリヴァーマンの相性の良さは栗山さんが当初から指摘されていましたが、それとの関連で、リヴァーマンと構成の近いミルリーフあたりはどうかと思ったのですが(池江師がディープとミルリーフが似ていると言われてましたし)、それなりに結果が出ているようですね。
ディープ産駒の配合を考える際、レディレベッカが1つのポイントとされますが、ミルリーフやリヴァーマンとの関係を考えながらレディレベッカの血統表をながめていると、プリンスキロ3×4のクロスが気になってきました。プリンスキロはターントゥ系と相性が良いとはいえ、メジャーな血なので今さらではあるのですが、サンデー自身はこのへんの血を持たないので、後継馬たちも持ったり持たなかったりまちまちです。
まず気になったのは、ディープとトニービン牝馬の相性の良さとの関連性についてです。
笠雄二郎さんは、ニックスとは広義のインブリードではないかと指摘されていたと思います。ディープ×トニービン牝馬について、以前に自分もハイインローの継続の観点から投稿させていただいたことがありますが、サンデー×リファール×ハイインローだけで語ってもよいものかと考えていました。
そこで、他のサンデー系種牡馬とトニービン牝馬の相性はどうなのかということですが、サンデー自身を除けば、フジキセキの相性が良いと言われることが多いのではないでしょうか。
フジキセキには、リファールも無いし、ハイインローもほとんどありません。それでは、なぜフジキセキなのかということを考えた時、ミランミルの父プリンスキロが目につきます。
トニービンの配合を見ると、祖父カラムーンはいわゆる「グレビオ」となっており、父カンパラはそれをプリンスシュヴァリエで受けて、プリンスローズのクロスが生じています。このプリンスローズ系の血が入ることは、ホーンビームなどに代表されるハイインローのスタミナ血脈と並んで、トニービンの血統的な特徴と言えそうです。
フジキセキとの相性のよさが、プリンスローズ系にあったとすれば、トニービンとサンデー系との相性を考えるさいのもう1つの鍵は、プリンスキロ周辺の血にある可能性が出てきます。
そうだとすると、ハイインローとプリンスローズというトニービンの配合の2つの大きなポイントを、ディープの持つサンデー×リファール×ハイインローとプリンスキロが継続することで、相性の良さが生じているのではないでしょうか。

とはいえ、まだ即断は出来ないので、他の場合も考える必要があります。そこで次に、ディープとの配合において、BMSとして他に実績をあげている馬を探してみました。
BMSとして複数の勝ち馬を出した種牡馬は、トニービンの他に現時点では、リファール、アンブライドルド、カーリアンがいます。
この中でアンブライドルドとカーリアンには、先ほどのリヴァーマンやミルリーフと1つの共通点があります。
それは、望田さんの表現を拝借すれば、「ナスキロラトロ」ということになります。
以前から、ディープ産駒の母馬にやたらとラトロワンヌの血があることが、気になり続けていました。ディープ産駒の勝ち上がり馬38頭の母について、何頭にラトロワンヌの血があるか調べてみたりもしたのですが、28頭という結果は、ラトロワンヌのようなメジャーな血では多いと言ってよいのか心許ないところです。
そこで、なんとか絞り込むことは出来ないかと辿りついたのが、ナスキロラトロです。
ラトロワンヌを持つ28頭の母馬うち、24頭がナスキロラトロでした。しかも、該当しなかった4頭のうち、1頭にはナスルーラ、ラトロワンヌ、プリンスシュヴァリエの血があったので、ナスキロラトロもどきと言ってよいかもしれません。
ディープ産駒の勝ち上がり馬の母の6割以上が、ナスキロラトロの血をを持っていることになります。
ということで、サンデー系×カーリアン牝馬を調べてみると、サンデー自身以外では、スペシャルウィークやマンハッタンカフェが好相性のようです。スペシャルウィークにはプリンスキロが、マンハッタンカフェにはプリンスキロのクロス(ディープと同じくポカホンタスがいますね)とプリンスシュヴァリエがあります。
アンブライドルド牝馬は数が少なく、日本ではダノンバラード以外に中央の重賞を勝った馬はいませんが、その半兄ロードアリエスは京都新聞杯2着と最も重賞制覇に近づきました。その父シンボリクリスエスは、へイルトゥリーズン系のクリスエス産駒で、クリスエスのBMSがプリンスキロです。
サンデー自身は、ナスキロの血を持ちませんが、ナスルーラと近いロイヤルチャージャーの系統です。
ディープは、レディレベッカが入ることで、ロイヤルチャージャーが重ねられ、プリンスキロの血が入り、サンデーの持つ様々な米国血脈も継続されます。
そして、ロイヤルチャージャーとプリンスキロと米国血脈が、ナスキロラトロによって継続されることが、相性の良さの源泉となっているように思われるのです。
こうして見てくると、レディレベッカは、サンデー血脈のダイジェスト版+プリンスキロ、と考えることも出来るかもしれません。

ディープが種牡馬入りした時、バブルガムフェローを引き合いに出して、その先行きを危ぶむ意見もありました。
ディープとバブルガムフェローの違いは、何処にあるのでしょうか?
もちろん様々な要素があるのでしょうが、ディープの初年度産駒の傾向を見るかぎり、レディレベッカの持つ血の果たす役割はかなり大きいように思います。
ディープのことを「最もヘイロー的な種牡馬」と評したのは望田さんですが、種牡馬としてのディープにとって、ヘイローらしさを増幅させているのは、レディレベッカの血である可能性が高そうです。
逆に、レディレベッカ的な血の無いバブルガムフェローは、リファールの欧州的な重厚さが前面に出すぎて、日本向きの素軽さと切れに不足したのかもしれません。
やはり、栗山さんが指摘されるように、ディープ産駒の配合の急所はレディレベッカにあり、ということになりそうですね。
そんなことを考えていると、ハーツクライが気になってきたのですが、母アイリッシュダンスは、ナスルーラ、プリンスビオ、プリンスシュヴァリエ、マイビューパーズ(ウォーアドミラル+ラトロワンヌ+リヴォークド)の血を持っています。

追伸
全兄ブラックタイドのような、母ウインドインハーヘアの持つ欧州血脈が強く出ていると思われるタイプの場合、なおさらレディレベッカの血がONになるような工夫が必要になってきそうです。
全弟オンファイアは、すでに産駒がデビューしていますが、事前の予想を裏切って、短距離とダートで実績をあげています。
スピードがあるのにダートも走るということは、ブラックタイドとは正反対の、米国血脈が正面に出ている種牡馬と考えるべきでしょうか。
オンファイア産駒は、現在、中央と地方あわせて20頭が勝ち上がっています。
出世頭のシゲルキョクチョウは、BMSラストタイクーンでナスキロラトロもありますが、最初から突っ走るアメリカンなレースぶりです。
具体的な数字は後述しますが、勝ち上がったオンファイア産駒の中には、へイルトゥリーズンのクロスを持つ馬が多数いるのですが、へイルトゥリーズンらしい切れ味はあまり伝わらず、短い距離を前に行って押し切る展開で好走するケースがほとんどのようです。
これまでのところ、サンデーやレディレベッカの周辺をイジると、米国血脈が強化される形で産駒に伝わる場合が多いようですね。
これを個性と考えて素直に米国血脈を強化するのか、そのへんはもう充分だから触らずに欧州血脈を強化すべきか、難しいところでしょうか。
オンファイア産駒の勝ち上がり馬のBMSで目立つのは、フレンチデピュティ(1頭)とクロフネ(2頭)の親子です。
ディープ産駒のBMSとしても、フレンチデピュティとクロフネが1頭ずつ勝ち馬を出していて、フレンチデピュティのほうのボレアスは、ディープ産駒としては珍しいダートの活躍馬です。
フレンチデピュティとクロフネは、ナスキロラトロがあり、芝ダート兼用だし、ディープでもオンファイアでも走るということは基本的に血統の相性がよさそうなので、オンファイアの配合相手として狙い目でしょうか。
他に目立つ点として、オンファイア産駒の勝ち馬には、へイルトゥリーズンのクロスを持つ馬が8頭、サーゲイロードのクロスが4頭、あわせて12頭もいることがあげられます。
もう1つ目立つのは、母がボールドルーラーの血を持つケースで、全部で10頭と半数を占めています。
フレンチデピュティにもボールドルーラーがありますが、クロフネだとへイルトゥリーズンもあるので、クロフネのほうが父よりさらに相性が良いかもしれませんね。

力のこもった配合論、ありがとうございます。統計的なものを手がかりに配合の急所を炙り出していく手法は、地味なようですが着実で確実だと思います。他のサンデー系種牡馬との比較、持つ血脈/持たない血脈、といった視点もいいと思います。ディープインパクト産駒はまだデビューして半年ちょっとなので、まだサンプルが少なく、これから傾向が変わっていくでしょう。ただ、分かる範囲で結論を見出していくことは重要で、節目節目でそれを微調整していく作業は、一から結論を導き出していくことよりもはるかに労力が少なく、また全体を俯瞰する視点も得られるので有効です。長文ですので具体的な論評は控えさせていただきますが、楽しく読ませていただきました。

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