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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年11月24日 (水)

先週の2歳戦(後)

土曜東京5Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がった▲コウヨウレジェンド(4番人気)は、重賞を勝ったアサヒライジングの全弟です。姉の主戦ジョッキーでもあった柴田善臣騎手が手綱を取ったので、先行抜け出しという戦法に迷いはなく、それがぴったり嵌りました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101842/

アサヒライジングは個人的に非常に好きな馬で、オークスや秋華賞では◎を打った記憶があります。重賞勝ちはクイーンC(G3)しかありませんが、アメリカンオークス(G1)、秋華賞(G1)、ヴィクトリアマイル(G1)でそれぞれ2着となりました。

その配合については、7月11日のエントリー「ジェッタ牝系とヒンドスタン」で触れておりますので、ぜひご覧くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-015d.html

母アサヒマーキュリーは「ミナガワマンナ×ボンモー×タマナー」。配合を眺めているだけで頭がクラクラしてきます。アサヒライジングの半姉にアサヒヴィーナス(父コマンダーインチーフ)という馬がいて、これも応援していたのですが、タップダンスシチーが圧勝したジャパンCの当日、ベゴニア賞の直線で前肢を折って死んでしまいました。ちょうど7年前ですか。あれはかわいそうでした……。

日曜日の2歳戦で注目したいのは、京都2Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がったボレアス、京都6Rの新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったアドマイヤコリン。

京都2R未勝利戦(ダ1800m)のボレアスは、これまでにデビューしたディープインパクト産駒のなかで、最も父に似たレースぶりだったと思います。スタートで安めを売って、勝負どころで大外からマクり、直線で楽々と引き離す。まるっきり親父と同じだなぁ~と、レースを見ながら思わずニヤッとしてしまいました。勝負服まで同じです。
http://www.youtube.com/watch?v=vJhYehBJ334

2代母クロカミは重賞2勝馬。Caerleon 産駒ではあるのですが、母の父 Desert Wine が強く主張しているようで、産駒はどれもこれも決め手のないダート馬ばかり。母クロウキャニオンもそうでしたね。半兄キラウエア(父キングカメハメハ)もダート馬なので、本馬もこの路線がいいでしょう。

京都6R新馬戦(芝1800m)の○アドマイヤコリン(1番人気)は逃げ切り勝ち。ディープインパクト産駒は本馬を含めて過去に6頭が逃げているのですが、すべて勝っているというデータがあります。母シルクプリマドンナはオークス馬。土曜日に京都の新馬戦を勝ち上がったリトルダーリン(父ディープインパクト)も、母エリモエクセルはオークス馬でした。先週は「ディープインパクト×オークス馬」が2頭新馬勝ちを果たしたことになります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103173/

牡馬ながら馬体重は420キロしかありません。母シルクプリマドンナはデビューから引退までに馬体重を28キロ増やしたので、この馬もまだ成長の余地があるでしょう。

母シルクプリマドンナは「ブライアンズタイム×Northern Dancer」ですから四冠馬ナリタブライアンと同じ。底力はあるものの重くて硬いという血統です。こういう繁殖牝馬に芝向きの軽快さを与えて走らせるのは難儀なのですが、ディープインパクトはそれをやってのけるのですからやはり優秀ですね。ただ、母の父は Roberto 系のブライアンズタイムですから決め手には乏しく、逃げの手に出たのは正解だったと思います。

父ディープインパクト、母の父ブライアンズタイムはいずれも Admiral Drake≒Roman が構成要素のひとつなので、その脈絡の効果も多少はあったかもしれません。内回りコースやローカルの小回りコースでさらに良さが活きるタイプだと思います。皐月賞で穴を開けるとしたらこのタイプでしょう。

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先週の2歳戦(後)を参照しているブログ:

コメント

栗山さんのディープインパクト産駒に対する見解、参考になりました。ありがとうございます。「成長力」は大事な要素ですよね。ハイペリオンの3×4を持ち、成長力に定評のあったノーザンテースト(個人的には一番成長力があると思っています)は勿論、サンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンといった大種牡馬は仕上がりの早さと成長力を兼備していましたよね。あくまで個人的な印象なのですが、現時点でのサンデーサイレンスの後継種牡馬で上記に挙げた「仕上がりの早さ」と「成長力」を兼ね備えたタイプは非常に少ないと感じています。(ダイワスカーレット、ブエナビスタ、シーザリオといった大物はいずれも母の父の影響が強いと思っています)ディープインパクト産駒が成長力を兼ね備えているのか楽しみですね。鍵となるのは牝系に入っているBustedの影響力次第だと予想しています。

自分なりの血統観で予測を立て、実際のレースでそれを検証していくという作業は楽しいものです。そして、足りないもの、過剰なものを見極め、ちょうどよい配合を模索し、それを翌年のPOGに応用する――と。毎年この繰り返しですが飽きません。Busted は晩成型のステイヤーですから、このあたりが表現されるようなら成長力も期待できそうですね。

あらためて栗山さんの解説を読むとますます応援したくなります。
アサヒライジングの仔は調べても出てこないのですが1頭もデビューしてないんですかね。タニノギムレットの仔を今年産んだみたいですが期待してまちたいです。

08年の秋まで走っていたので、順調なら今年の春に生まれているのかなぁと思っていたのですが、タニノギムレットですか。情報ありがとうございました。とりあえず順調に成長してほしいですね~。

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