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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年11月23日 (火)

先週の2歳戦(前)

ディープインパクト産駒が先週5勝を挙げ、初年度産駒の2歳戦勝利数記録である30勝(94年サンデーサイレンス)に並びました。今年はあと5週あるので相当な上積みが期待できそうです。おそらく45~50勝ぐらいは行くだろうと予想します。ちなみに、04年にサンデーサイレンスが2歳戦の最高記録である54勝を挙げたとき、同じ時期に34勝を挙げていました。これよりはやや遅いペースです。

サンデーサイレンスの初年度産駒は67頭。ディープインパクトの152頭に比べると半分以下です。ただ、30勝到達時点の出走回数を比べてみると、サンデーサイレンスの107走に対しディープインパクトは114走と、大きな差はありません。中身は濃いですね。

トップクラスの種牡馬が30勝に到達するまでにどれぐらいの出走回数を要したか比べてみます。

サンデーサイレンス 107走
ディープインパクト 114走 ←←←
アグネスタキオン  181走
クロフネ      186走
サクラバクシンオー 216走
ジャングルポケット 265走
ゼンノロブロイ   267走
シンボリクリスエス 280走
キングカメハメハ  284走
フジキセキ     288走
ネオユニヴァース  332走
スペシャルウィーク 355走
マンハッタンカフェ 357走

サンデーサイレンスとディープインパクトだけが別次元で、他の種牡馬とは一線を画しています。

土曜日の2歳戦で注目したいのは、京都6R新馬戦(芝1600m)を勝ち上がったリトルダーリン、東京5R新馬戦(芝1800m)を勝ち上がったコウヨウレジェンド。

リトルダーリンは「栗山ノート」で指名した馬です。春ごろは馬体重が380キロぐらいしかないという話もあったので、これはちょっと厳しいのかな……と思っていたのですが、初戦は404キロでした。あと20キロぐらいは増えてほしいですね。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は以下のとおり。

「◎リトルダーリンは『ディープインパクト×ロドリゴデトリアーノ』という組み合わせ。母エリモエクセルはオークス(G1)など4つの重賞を制した名牝。母方にセックスアピール(ラトロワンヌの強い凝縮)やリヴァーマン(ローマンを内包)を持つ配合パターンは好ましい。馬体は小さいようだが素質は高いだろう。」

「栗山ノート」のディープインパクト産駒の項では、母方に Riverman を持つ馬を何頭か選びました。“Pocahontas≒River Lady”が生じ、それらに含まれる Roman がディープインパクトの構成要素のひとつの核なので、好結果が期待できるのではないかと考えたからです。今週、京都2歳Sに出走するレッドセインツなどもそうです。

予想文にも書きましたが、La Troienne の強い凝縮がある Sex Appeal のような血は、おそらくディープインパクトに合うでしょう。
http://www.pedigreequery.com/sex+appeal

ディープインパクトにアメリカ血統が合うことは産駒のデビュー前から主張してきました。そして、La Troienne を持っていないため、そのエッセンスを濃厚に含んだ血を新たに注入することは悪くないでしょう。ですから、Sex Appeal の息子たち(トライマイベスト、El Gran Senor)を含んだ馬も何頭か指名しました。まだサンプルが少ないので何ともいえない状況ですが、数年経てばだいたい傾向が明らかになると思います。

このパターンの1頭がレッドディアーナ(母ケイウーマン)。同馬はそれだけでなく、3代母が River Lady なので大きな期待を掛けていました。しかし、聞くところによると肺炎に罹ってしまったようで、残念ながらデビュー予定は白紙に。素晴らしい配合馬だけに残念です。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105563/

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先週の2歳戦(前)を参照しているブログ:

コメント

大きな差はありませんとかサンデーと比較する中身がおかしいです
ディープは出走頭数が多いので新馬未勝利で勝ち数稼げますが
頭数少ないサンデーは上級クラスで勝たないといけないので
ハードルは遥かに高いのでは

他の種牡馬に比べればディープのここまでの成績は十分濃いですが

クロフネやジャンポケがフジキセキより遥かに優秀とは思えないです。

しかしなぜディープ産は出てきてるのが全体数の割に異常に少ない気がするのですが…

>つか様

「大きな差はありません」というのは単純に出走頭数を比べた場合のものですのでご理解くださいませ。おっしゃるとおり、いくらディープインパクトが凄いといっても、サンデーサイレンスの実績を超えるのはしんどいでしょう。それはサンデーを同時代に目撃した者の共通認識ではないでしょうか。

ただ、それは時代背景の違いというものも大きいと思います。94年当時は全体のレベルのなかで相対的にサンデーが抜きんでていました。サンデー系種牡馬は自身のみですから非常に有利です(笑)。トップクラスの種牡馬が高いレベルで拮抗している現代において、当時のパフォーマンスを再現することは、いかなる種牡馬であろうと難しいと思います。仮にサンデーが現2歳世代に67頭の産駒を送り込んだとして、94年と同じような成績を残せるかといえば、まず無理でしょう。

時代の違う種牡馬を比較しようとすれば、単純に割り切れない問題がいろいろ出てくるので、明確な答えは出てきません。最強馬論争と同じようにあとは想像力で補うという感じでしょうか。ディープインパクト産駒の大物は10月ぐらいから一斉に出てきた印象があり、2戦目、3戦目はこれからなので注目していきたいですね。

>tedd 様

種牡馬の能力は多面的なもので、表にあるものはその一面です。勝ち上がりの速度はひとつの評価基準になりますが、それだけではないということですね。

フジキセキの種付け初年度は、3歳春の皐月賞前に急遽種牡馬入りが決まったものですから、種付け開始時期が遅く、したがって繁殖牝馬の質もイマイチでした。しかも父サンデーサイレンスは同じ社台スタリオンステーションで現役バリバリ。状況的にかなり厳しかったと思います。初年度の種付けシーズンに、たまたまフジキセキの馬房を覗いた方に話を聞いたのですが、「馬房の隅でへたばって寝ていた」と。準備もないまま3歳春からハードなお務めを課されて相当参っていたようです(笑)。

出走数の割合について、詳しく統計をとったわけではないのではっきりとしたことは申せませんが、私の感覚ではそれほどおかしいという気はしません。産駒が152頭いたとして、故障やら何やらで競走馬になれない馬は一定割合いますし、仕上がりの関係でデビューが遅れる馬も少なくありません。馬房の関係で入厩を待たされる馬もいます。まだまだこれからではないでしょうか。

意外と勝ち鞍をあげてて、ビックリです。
私は最初、初年度はそこまで活躍しないだろと思っていましたが、いつの間にやらそんなに勝ち鞍をあげてたとは…。

ここ6週間で18勝ですから急激に勝ち星を伸ばしてきましたね。1週あたり3勝というペースです。父サンデーがこんな感じだったなぁ……という既視感があります。

初めて投稿させて貰います。ディープインパクト産駒の長所としては①仕上がりが早い②アベレージが高い③故障が少ない(馬体のバランスの良さと軽さの影響)で、短所としては①瞬発力がいまひとつ(エンジンのかかりが遅い)②スピードがあまりない(牝系がスピード血脈以外)③使ってからの上積みが少ないと感じています。タイプ的にはアベレージタイプ(スペシャルウィークやネオユニヴァースとは逆)で「超」がつく大物はなかなか出ないと思っています。そこで、栗山さんの「現時点」でのディープインパクト産駒の感じている特性を教えて下さい。

はじめまして。夏のローカルのころは物足りない面も目に付いたのですが、10月以降、そうした面はほとんど感じられなくなり、イメージはかなり上方修正されました。やはり厩舎の期待を背負う素質馬はこの時季から始動することが多く、そうした馬たちはデキがいいということでしょうね。

まず、誰が見てもそう感じると思うのですが、産駒が粒ぞろいで、能力のアベレージが非常に高いですね。これだけ産駒がデビューして現時点で勝馬率が50%というのは驚異的です。ソツがなく、レースに対して前向きで、しかもクレバーです。だから凡走が少ないのでしょう。脚質は万能。前に行ってしぶとい子もいますし、中団から鋭い脚を使う子もいます。逃げた馬は全勝しているという隠れたデータもあります。おっしゃるとおりボディバランスがよく、総じて小柄なので故障が少ないというのもいいですね。勝負どころの苦しい凌ぎ合いの場面で、グッと前に出てくるシーンが目に付くので、精神力とスタミナはかなりのものではないでしょうか。あとは成長力がどれぐらいあるかということでしょうね。このあたりが問題なければ大種牡馬への道が見えてきます。

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