2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

« 『今、競馬で勝つための考え方』 | メイン | サッカーボーイ逝く(後) »

2011年10月 8日 (土)

サッカーボーイ逝く(前)

武豊騎手はディープインパクトの走りっぷりを「飛んだ」と表現しましたが、わたしがそれ以外に飛んだ馬として思い浮かべることができるのはサッカーボーイです。

レースシーンを描いた19世紀の絵画は、競走馬たちが四肢をいっぱいに伸ばして空中を飛んでいるように描かれています。サッカーボーイの走りはまさにそうしたイメージでしたね。

ひときわ目を惹く尾花栗毛と、派手なぶっちぎり勝ちがトレードマーク。圧勝シーンを盛り上げるのが上手い杉本清アナウンサーの実況と相まってアイドル的な人気がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=pl7tb4Kv02k
http://www.youtube.com/watch?v=c7m7zWgQaO4
http://www.youtube.com/watch?v=YaC2f5xY7HU

函館記念(G3・芝2000m)の1分57秒8というレコードタイムは驚天動地でしたし、それから3ヵ月後のマイルチャンピオンシップ(G1・芝1600m)では、+18キロの馬体重をものともせず4馬身差のぶっちぎり勝ち。杉本アナウンサーの「これは恐ろしい馬だ!」というフレーズが当時の心境を正確に代弁してくれました。まさに飛んでいましたね。

それより少し前、美浦の松山康久厩舎にダイナホットというスプリンターがいました。毛色を含めた外見はサッカーボーイによく似ており、中山芝1200mで時計勝負になったときに強い小器用な牝馬でした。サッカーボーイとダイナホットは4分の3同血の関係にあります。前者にはノーザンテーストが入り、後者には入りません。ノーザンテーストが入るのと入らないのとではこれだけ違うのかと、長らくリーディングサイアーの座にある血の偉大さを、この比較からあらためて認識した覚えがあります。

         ┌ ディクタス
サッカーボーイ ―┤ ┌ ノーザンテースト
         └○┤
           └ ロイヤルサッシュ

         ┌ ディクタス
ダイナホット ――┤
         └ ロイヤルサッシュ

「ディクタス×ノーザンテースト」は有名なニックスで、サッカーボーイのほかにもイクノディクタス、ムービースター、ディクターガール、クールハートをはじめ多くの活躍馬が誕生しています。総じてトビが大きいので平坦コースを得意としました。ディクタスは非主流のフランス血統で固められており、ノーザンテーストは Lady Angela 3×2という主流血統の塊。対照的な個性がぶつかり合ったことが成功の要因でしょう。

サッカーボーイの母ダイナサッシュはそれに加えて Nearco 4×4・4という煮詰まった構成ですから、ディクタスとの配合で弾ける度合いも大きかったのではないかと思います。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1985103538/

望田潤さんのブログにもサッカーボーイの配合についての考察があります。ご一読ください。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/80feff355f84b7396496dbaddfe94191

ちなみに、ディクタスの「Sanctus×Worden」という組み合わせは、同じく種牡馬として成功したサンシーと同じです。サンシーの代表産駒ハギノトップレディ(桜花賞、エリザベス女王杯)は、2代母ミスマルミチが Nasrullah 3×3、Nearco 4・4・4ですから、サッカーボーイと似たような構造です。(続く)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1977104003/

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
     ――――――――――――――――――――

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/427673/27242121

サッカーボーイ逝く(前)を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!