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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月12日 (月)

ヒルノダムールがフォワ賞2着

古馬によって争われた凱旋門賞の前哨戦・フォワ賞(仏G2・芝2400m)は、日本から参戦したヒルノダムールが2着と健闘しました。勝った Sarafina とは短首差。
http://www.youtube.com/watch?v=LXuaVG_Fayc

アウェイの不利を跳ね返し、地元フランスのトップクラスと互角の勝負に持ち込むのですから、日本の芝2400m路線はヨーロッパ列強と比べても遜色ありません。ヒルノダムールは“本当にロンシャンで走るのは初めてなのか?”と疑いたくなるくらい、スムーズに駆けていましたね。久々でこれだけのレースができれば本番でも期待できます。ナカヤマフェスタは最下位の4着とはいえ期待以上の走りでした。本番に間に合ったようです。

勝った Sarafina(1番人気)の瞬発力は惚れ惚れします。テンションが高く折り合いに苦労しながら、最後はズバッと決めました。同じくアガ・カーン四世殿下がかつて所有した Zarkava を思わせる切れ味です。
http://www.pedigreequery.com/sarafina5

同日に行われた3歳馬によるニエル賞(仏G2・芝2400m)は、仏ダービー馬 Reliable Man(2番人気)が2馬身差で完勝しました。日本から遠征したナカヤマナイトは6頭立ての最下位です。
http://www.youtube.com/watch?v=G2GpSm4ioeM

勝った Reliable Man は、パリ大賞典で3着と敗れた以外はすべて勝っています(通算5戦4勝)。今回、同レースで負かされた Meandre に2馬身差をつけたので、3歳牡馬ナンバーワンとして本番に臨みます。配合については6月8日のエントリー「仏ダービーは Reliable Man」をご覧ください。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/06/reliable-man-dc6e.html

さらに同日に行われた3歳以上の牝馬によるヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)は、中団追走の3歳馬 Galikova(1番人気)が差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=zMjRHGLCTGg

Galikova はG1を14勝している名マイラー Goldikova の半妹。6月の仏オークス(G1・芝2100m)では人気に推されながらも、同じ Galileo 産駒の Golden Lilac の2着に敗れました。これといって強敵が見当たらないここは順当勝ちでした。
http://www.pedigreequery.com/galikova

凱旋門賞は斤量が鍵を握ります。古馬は牡牝を問わずフォワ賞の斤量から1.5キロ増し、3歳牡馬はニエル賞の斤量から2キロ減。今回のフォワ賞とニエル賞は、いずれも2分32秒台でほとんど差がありませんでした。時計の比較にあまり意味がないとはいえ、レース内容がほぼ同じと仮定すれば、本番は3歳馬が有利と考えられます。

英ブックメーカーの凱旋門賞前売りオッズを見ると、現時点の1番人気は Sarafina で、単勝オッズは3.5~4倍ぐらい。以下、So You Think、Workforce、Nathaniel の3頭が団子で続き、そのあとに Reliable Man が8~9倍、Galikova が10~11倍といった感じですね。ヒルノダムールは13~21倍ぐらい。ナカヤマフェスタは26~34倍ぐらいです。これから本番に向けてオッズは変動していきます。

フォワ賞を勝った Sarafina、ニエル賞を勝った Reliable Man は、いずれも2代目に Sadler's Wells と Darshaan が並びます。前日の英セントレジャー(G1・芝14f132yds)を勝った Masked Marvel、1週間前の愛チャンピオンS(G1・芝10f)を勝った So You Think の父 High Chaparral、今年の英ダービー馬 Pour Moi、愛ダービー馬 Treasure Beach など、中長距離の大レースでは Sadler's Wells と Darshaan の組み合わせが目立ちます。
http://www.pedigreequery.com/reliable+man
http://www.pedigreequery.com/masked+marvel3
http://www.pedigreequery.com/so+you+think
http://www.pedigreequery.com/pour+moi4
http://www.pedigreequery.com/treasure+beach3

一方で、Galileo とデインヒルのニックスも猛威を振るっており、3歳世代の Frankel や Golden Lilac だけでなく、2歳世代からも5戦全勝の牝馬 Maybe(愛G1モイグレアスタッドSなど重賞3勝)が誕生しています。

最近のヨーロッパのトップホースたちは、ごく限られた数種類の血の組み合わせで誕生している感があります。以前に比べて血の幅が狭くなっているような気がしますね。こうした傾向が続けば続くほど、新たな活力の供給源としてサンデー系が入り込みやすくなっていくでしょう。

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ヒルノダムールがフォワ賞2着を参照しているブログ:

コメント

栗山先生こんばんわ。

昨日、私も…スカパーで観戦しておりました。
勝ったサラフィナの血統構成を見たときに、
以前書かれた6月8日の記事を思いだしました。


本年度のキャロット募集馬に…
この配合に合致する該当する馬がいます(^_^)
繁殖として、優秀になるのでは?
と思いました。

日本の芝が合うか?わかりませんが、
JCでウオッカに負けた…コンデュイットも
この配合ですね。

これだけ、大物がでれば…完全にニックスで良いと思います。

海外競馬はよくわからないので、セントウルと共に参考になります。スプリンターズの前には是非ともロケットマンに関する解説お願いできませんか。

毎度楽しく読ませて頂いてます。

フォワ賞・ニエル賞ではサドラー×ダルシャーンのニックスが盤石だということをより一層実感し大好きなニックスなので今後のさらなる大物出現に期待したいですね。

僕はフランスダービー馬が凱旋門賞を勝っているイメージがあるのでReliable Manが凱旋門賞を勝つと予想しています。

>brokken 様

どうもこんばんは。Dalakhani の子はコンスタントに走るわけではありませんが、ポツポツと大物が出ますね。この系統は母方に入っても好影響を与えるので繁殖牝馬としての価値もあるのではないでしょうか。日本の芝にフィットする産駒を作るには配合的な工夫が必要でしょう。

>馬好き様

了解しました。スプリンターズSの前にロケットマンの分析をしたいと思います。

>ネオユニ大好き様

お読みいただきありがとうございます。Reliable Man が凱旋門賞を勝てば、親子2代の凱旋門賞制覇となります。Darshaan は個人的に好きなのでこの系統が活躍するのは嬉しいです。休養前に比べて風格が出てきたような気も?

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