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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月18日 (日)

ディープインパクト産駒 Barocci が仏G3で2着

9月17日、仏ロンシャン競馬場で行われたプランスドランジュ賞(G3・芝2000m)で、ディープインパクト産駒の Barocci(牡3歳)が2着と健闘しました。
http://www.youtube.com/watch?v=yLTBNnjNrSE

今年の春、準重賞のオムニウムII賞(芝1600m)を制した際に当ブログで取り上げたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/barocci-601b.html

その後、重賞ばかり使って4、6、5、7着。勝負になっていないわけではないけれど馬券には絡まず、という微妙な成績でした。今回は横一線の2着争いからわずかに抜け出たという内容で、スミヨン騎手が距離ロスを抑えて上手く乗ったという印象です。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

プランスドランジュ賞が日本のどのレースに該当するかというと、適当なものが浮かばず困るのですが、強いて挙げれば朝日チャレンジCや鳴尾記念あたりでしょうか。年の前半に活躍して後半尻すぼみになるよりも、この時期に浮上してくるほうが来年に繋がります。

その10日前、仏サンクルー競馬場でディープインパクト産駒の2歳牝馬 Beauty Parlour がデビュー戦を8馬身差で圧勝しました。この馬は Barocci の全妹です。08年に社台ファームで誕生した Barocci は、その年のうちに母バステットとともにフランスへ渡りました。母は翌春ディープインパクトの牝馬を出産。これが Beauty Parlour です。
http://www.pedigreequery.com/beauty+parlour3

芝とオールウェザーの中距離戦において、日本産馬の実力は世界のトップクラスと比べて遜色ないレベルにあります。ステイゴールド産駒のナカヤマフェスタ(凱旋門賞-2着)や、ネオユニヴァース産駒のヴィクトワールピサ(ドバイワールドC)の活躍がそれを証明しています。先日フランスで行われたフォワ賞(G2)でもマンハッタンカフェ産駒のヒルノダムールが僅差の2着でした。ディープインパクトは日本のトップ種牡馬であり、その産駒が仮に海外で通用しなかったとしたら、逆にそのほうが意外です。

とはいえ、日本とヨーロッパの馬場には大きな隔たりがあるので、ヨーロッパにおける主流血統を交配牝馬から取り入れて、その産駒が問題なく走るということであれば、日本とヨーロッパの距離はさらに縮まります。Barocci と Beauty Parlour の兄妹は Storm Cat 系の Giants Causeway を母の父に持ちます。日本の馬場ではちょっとどうかなという血統構成ではありますが、力のいるヨーロッパの深い芝ではこの種のパワー血統が頼りになります。このほか、ヨーロッパに根を下ろしている主流血統には Danzig や Sadler's Wells などがあり、こうした血とうまくフィットするかどうかがディープインパクトの海外戦略にとって重要ポイントとなるでしょう。現段階ではうまく行っているのではないかと思います。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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ディープインパクト産駒 Barocci が仏G3で2着を参照しているブログ:

コメント

こんにちは、毎度読ませて頂いてます。

ディープインパクトもやはり他のサンデー種牡馬と同様に欧州仕様の牝馬がいいんでしょうか?
欧州に沢山いるであろうサドラー×ダルシャーン牝馬との配合も気になりますね!!

ディープインパクト産駒晩成説についてローズSとセントライト記念の結果を受けてどう感じましたか教えてください。

>ネオユニ大好き様

ディープインパクト産駒はさまざまな配合パターンから走る馬を出しています。アメリカ血統のピリッとしたスピードは基本にあったほうがいいと思いますね。そこにヨーロッパの底力を上積みできればなおいい、という感じでしょうか。

>ディープエックス様

わたしのスタンスにとくに変化はありません。ローズSのマルセリーナは馬体が太く、レースではやや引っ掛かりましたね。セントライト記念のトーセンラーは2着を確保して秋競馬の滑り出しとしては上々でしょう。ほかの産駒は実力的にまずまず妥当な着順ではないでしょうか。

たとえばオペラハウス産駒は晩成型の傾向が認められますが、3歳夏を越してすべての産駒が魔法のように強くなるということはありません。血統を考える上で重要なのは「敏感であること」、そして「鈍感であること」です。産駒の傾向変化を敏感にとらえることは大切ですが、1つ2つのレースで考えを左右するとたいてい早合点となります。目の前のレース結果に流されない鈍感さもまた大切だと考えます。

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