函館2歳Sはファインチョイス
02年以降、函館2歳S(G3・芝1200m)では牝馬が必ず連対しており、03年と07年は1、2着独占でした。そして今年も牝馬のワンツーフィニッシュ。牝馬の出走馬はわずか4頭だったので強いというしかありません。この10年間に連対した20頭中13頭が牝馬です。
勝った○ファインチョイス(2番人気)は好位から危なげのない競馬で抜け出しました。3着は外から差した▲アイムユアーズ(5番人気)。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』の予想は○▲で馬連2610円的中です。
http://www.youtube.com/watch?v=FvwYdqejSe4
配合に関しては7月27日のエントリー「ファンタジーSあたりに向きそうなファインチョイス」をご覧ください。クラシックを勝つような底力は感じられませんが、軽快なスピードがモノをいう2歳戦では強そうです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/07/post-d911.html
父アドマイヤムーンは新種牡馬。先週はこのほか土曜新潟のダリア賞(2歳OP)でレオアクティブが2着となりました。現時点では申し分のない滑り出しです。このあたりは新種牡馬の勝ち上がり頭数の新記録(当時)を樹立した父エンドスウィープの影響なのかもしれません。仕上がりが早く2歳戦に強い、という特長は商業的なセールスポイントとしても大きく、9月のサマーセールや10月のオータムセールでは産駒の価格が違ってくるでしょうし、来春は種付け希望が殺到するでしょう。
この時期に活躍すると、早熟タイプで成長力が乏しいのではないか、という疑念が持たれやすいのは事実です。アドマイヤムーン自身は、2歳時に重賞を勝ったあと、3歳でも重賞を勝ち、4歳で本格化しました。まだデビューを待つ有望馬がたくさんいるので、それらがどの程度やれるのか楽しみです。
「栗山ノート」で挙げたアドマイヤムーン産駒5頭のうち、アンブロワーズの2009は骨折のため引退となったようです。サンデーサイレンスのクロスを持つ初めての活躍馬となるかも、と期待していただけに残念です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106077/
◎コスモメガトロン(1番人気)は4着。稽古の動きは惚れ惚れするもので、大きなフォームだけに1200mはやや忙しいか……という懸念はあったのですが、能力で押し切るほうに賭けました。今回は敗れましたがいいものを持っている馬だと思うので、続けて注目していきたい馬です。道中、パチャママとファインチョイスに挟まれながらの追走で、馬が嫌気を出した面があったのではないでしょうか。4コーナーで脱落したとき、単にバテたのならそのまま後退するはずですが、直線でまた盛り返しているので、メンタル面が影響を及ぼした可能性があると思います。
こんばんは。
ファインチョイスはうまく抜け出して、いい競馬しましたね。今年期待されている有力種牡馬と言えば、ダイワメジャーとアドマイヤムーンですが、ムーンが先に重賞馬を出しました。まだまだ始まったばかりですが、ムーンとメジャーの仔がクラシックで競うところを見たいですね。
ところで今回は、POG馬のアイムユアーズが出走したので、この馬の複勝だけ買って眺めてました。ダイナカールの牝系にあたる同馬ですが、配合としては近親度は高く思えます。代を経ることで、以前に比べるとやや勢いに欠けてきているように思えるダイナカールの牝系ですが、このような強いクロスを入れることで、血が活性化されるようなことはあるのでしょうか?
投稿: secret | 2011年8月 9日 (火) 22:13
こんにちは。ダイワメジャーとアドマイヤムーンはいい勝負ですね。どちらもそれなりに持ち味があり、夏競馬では存在感を示すことができたと思います。社台系の大物種牡馬は、有力産駒を秋競馬にデビューさせるケースが多いので、競馬が中央場所に戻ってからはそうした馬たちとの戦いが始まります。そこからが本当の勝負です。
アイムユアーズはおっしゃるとおり、Fairy King=Sadler's Wells 2×4(あるいはファルブラヴ≒サドラーズギャル1×3)というキツめのクロスを持っています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106210/
母の父エルコンドルパサーの配合(Special 牝系の多重クロス)を考えれば、アイムユアーズが持つクロスは表面的なものにとどまらない“深度”を持つことが分かります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/
父系にしても牝系にしても、1頭の馬が持つ影響力は限られています。それは代を経るごとに小さくなり、やがて消えてしまいます。これは仕方がないことです。かつては活躍馬を次から次へと生み出した牝系が、涸れた泉のように凡庸なラインに成り下がるという例は珍しくありません。ですから、そうなる前に外部から活力を導入する必要があります。
やり方はさまざまです。たとえば、その牝系を名牝系たらしめた配合的なキーポイントを見出し、それを強調するというもの。また、異系を導入して新たな活力を導入するというのも定番の手法です。遺伝的な緊張と緩和を繰り返しつつ、良質な形質をうまく次の代に繋げていく必要があります。そうでなければ、どんなに優れた牝系であっても、前述のようにやがては“涸れた泉”になってしまいます。
アイムユアーズのような配合によって、牝系が活性化されることは、もちろんあると思います。血の構成はかなり緊張しているので、次の代は異系を入れて緩和させたいですね。
投稿: 栗山求 | 2011年8月10日 (水) 11:23