ダノンシャンティ種牡馬入り
先月、屈腱炎を発症したダノンシャンティが、現役続行を諦めて種牡馬入りすることが決まりました。繋養先は社台スタリオンステーション。同所には今年、すでに同じフジキセキ産駒のキンシャサノキセキがスタッドインしています。フジキセキ系の興隆は数年前までは想像しづらいところでしたが、このほかにもファイングレインが今春からフランスで種牡馬入りしており、今後の展開が楽しみな状況となってきました。
父フジキセキは今季体調を崩し、種付けを休んでいます。19歳という年齢はもう若くありません。累計3000頭以上に種付けしてきたアイアンホースも、いつかは役割を終える日が来ます。有能な息子たちが相次いで種牡馬入りしたのはいいタイミングかもしれません。
ダノンシャンティはその能力と配合を早くから評価してきました。共同通信杯、毎日杯、NHKマイルCと、予想はいずれも◎。NHKマイルCの予想文をあらためて掲載します。
「◎ダノンシャンティは『フジキセキ×マークオブエスティーム』という組み合わせ。母シャンソネットはシングスピールやラーイの半妹にあたる良血。2代母グローリアスソングはカナダ年度代表馬、米最優秀古馬牝馬。『ヘイロー3×3』だけが目立つ単純な配合に見えがちだが、じつはそうではなく、アンガール≒エルバジェ4×4、ミランミル5×6など、重厚な血が全体をしっかり支えている。それ以外にもダンスインザダークなどに見られるブルースウォーズ=ブルーヘイズの全兄妹クロスを持つなど、底力を感じさせる緻密な配合構成で見どころがある。母の父マークオブエスティームから受け継いだ切れ味は非凡。前々走の共同通信杯は展開のアヤで2着に敗れたが、前走の毎日杯は上がり33秒4、左ムチ一発で楽々と差し切った。東京芝マイルはほぼベスト条件なのでしっかり結果を出すはず。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007105709/
毎日杯のような超スローペースでも、NHKマイルCのような超ハイペースでも、パフォーマンスが変わらなかったというのは大きなセールスポイントです。瞬発力があり持続力もあります。要するに単純に能力が高いということですね。それに加えて、予想文に記したとおり配合に豊かな奥行きがあり、しかも名牝 Glorious Song の孫ですから、種牡馬としても高いポテンシャルを秘めている可能性があります。現役時代に松田国英厩舎に所属したキングカメハメハ、クロフネ、タニノギムレットがいずれも種牡馬として成功しているのは心強いジンクスです。社台グループが誇る良血牝馬群の手厚いバックアップがあれば、かなりの成功を収めたとしても不思議はありません。
★「ダノンシャンティ屈腱炎」(4月21日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/04/post-88c5.html
★「ファイングレインがフランスで種牡馬入り」(2月10日)
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/02/post-eb65.html
こんばんわ。毎日ブログを楽しみに読ませて頂いております。
エルコンドルパサーの配合の素晴らしさに魅かれて血統研究を始めるようになった私にとって、ダノンシャンティの様にヘイローの3×3という濃いインブリードを持つ馬が競走馬として成功するのは非常に喜ばしい事です。
ダノンシャンティの血統のポイントはヘイローの3×3はもちろんですが、ナスルーラ系×プリンスキロ系の望田さんなどが仰る「ナスキロ血統」の4×5・5という配合にもあると思います。(フジキセキの母母母、ミルリーフ、マークオブエスティームの母母母)
ですので、ダノンシャンティの産駒の配合で、ヘイローとナスキロ血統をいじるのが面白いと思うんですよね。
そうなれば、ナスルーラと相似的な血統であるロイヤルチャージャーとプリンスキロの配合のサーゲイロードを父に持つ、ヘイローと相似的な血統であるサーアイヴァーが爆発力を生まないかな、と思っています。
ダノンシャンティ×サーアイヴァーを持つ母という配合の馬の走りを見るのが今からとても楽しみです。
投稿: 多根拓二 | 2011年5月19日 (木) 22:32
こんばんは。いつもお読みいただきありがとうございます。
母の父 Mark of Esteem は Mill Reef≒Homespun 3×3で、ダノンシャンティ自身は Millicent≒Mill Reef 4×5。いずれも Nasrullah と Princequillo の組み合わせです。これに加え、Sun Princess≒Mahmoud 4×3で形成された Halo を3×3で持っているわけですから、これは相当な爆発力を感じさせます。図太い欧州血脈を繊細に重ねた部分が、こうしたスピード血脈を支える土台になっているのでしょう。
多根さんのアプローチは理にかなっており、配合の流れをよく把握されたもので好感が持てます。Sir Ivor は確かに良さそうですね。いずれ誕生する初年度産駒にも何頭か含まれているはずなのでいまから楽しみです。
投稿: 栗山求 | 2011年5月20日 (金) 02:57
配合に興味を持ち始めて、勉強するに辺り見つけた栗山さんという存在に好感が持てると仰って頂けるのは非常に光栄な事です。
そう仰って頂けたのでいろいろと考えてみるとダノンシャンティ×カワカミプリンセスなんて夢の様な配合だと思うんですよね。
血統、配合を学べる機会があまりないので困っていたので、「血統屋」の発足は本当に助かります。
私が言える立場ではないですが、ブログや血統屋の活動など頑張ってください。
投稿: 多根拓二 | 2011年5月22日 (日) 21:01
「ダノンシャンティ×カワカミプリンセス」は良さそうですね。何を主張されたいかは血統表を見ておおよそ理解できます。血統表を介して配合した者の企図を読み取れるというのは楽しいものです。
あたたかいお言葉ありがとうございます。いろいろなコンテンツがありますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
投稿: 栗山求 | 2011年5月23日 (月) 03:50