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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年2月10日 (木)

ファイングレインがフランスで種牡馬入り

2月2日、JRAのサイトに、サクセスブロッケンとファイングレインの競走馬登録抹消の記事がありました。前者は東京競馬場で誘導馬に、後者はフランスで種牡馬となるそうです。

ファイングレイン(父フジキセキ)は Pure Grain(愛オークス、ヨークシャーオークス)の全妹を母に持つ良血で、競走生活の晩年は衰えが目立ったものの、全盛期の5歳春に高松宮記念(G1・芝1200m)を制しています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2003102667/

海外のホースマンにとって、フジキセキとは“Sun Classique の父”という認識でしょう。Sun Classique はフジキセキがシャトル種牡馬でオーストラリアへ渡った際、そこでの種付けで誕生した世界的名牝です。
http://www.pedigreequery.com/sun+classique

オーストラリア生まれの南アフリカ育ち。南アフリカでケープフィリーギニーズ(G1・芝1600m)など3つのG1を制して同国の3歳牝馬チャンピオンとなり、その後、ドバイへ渡ってドバイシーマクラシック(G1・芝2400m)をレコードで勝ちしました。
http://www.youtube.com/watch?v=mY0dfCsmJkQ

Sun Classique は母方に Mill Reef を持ち、その母 Milan Mill 5×5というクロスを持ちます。ファイングレインも同パターンです。それだけでなく、配合構成がかなり似ています。ファイングレインの母ミルグレインと、Sun Classique の母ラストタイクーンは相似な血です。

              ┌ Northern Dancer
            ┌○┘
          ┌○┤ ┌ Buckpasser
ミルグレイン ―――┤ └○┘
          │ ┌ Mill Reef
          └○┘

            ┌ Northern Dancer
          ┌○┤ ┌ Buckpasser
ラストタイクーン ―┤ └○┘
          │ ┌ Mill Reef
          └○┘

フジキセキの成功パターンは幾通りかあるわけですが、こうした血統的共通項を見ると、ファイングレインと Sun Classique は似たような原理で走ったのだろうと想像できます。

Pure Grain の近親で、Sun Classique ときわめてよく似た配合構成を持ち、しかもG1勝ちの競走成績。フランスの生産者がファイングレインに白羽の矢を立てた理由が分かります。成功するかどうかは別として、目の付けどころの良さには感心しました。

昨年暮れ、マルカシェンクがフランスで種牡馬となるニュースが流れ、当ブログでも取り上げました(12月24日のエントリー)。しかし、その後、話は流れてしまったようで、日本で種牡馬入りすることになりました。さすがに2回連続でそんなことにはならないと思うので、何ごともなくフランスに渡ってほしいところです。

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ファイングレインがフランスで種牡馬入りを参照しているブログ:

コメント

栗山さん、はじめまして。
ダッテン牧場と申します。
初のブログ挑戦してみました、よろしくお願いします。
ひとつ質問があるのですが、フジキセキ産駒の海外成績ってどんな感じなんでしょうか?
Sun Classiqueという牝馬がドバイシーマクラシック芝2400を勝ったという事なんですが、日本のフジキセキ産駒があまり芝2400の重賞を勝つイメージがないので、海外だと距離適性が変わったりがあるのでしょうか?

はじめまして、こちらこそよろしくお願いします。

フジキセキ産駒の海外成績は、全体的に見ると良好とはいえません。Sun Classique が飛び抜けていて、あとはAJCサウスパシフィッククラシック(豪G3・芝1400m)を勝った Martiniforus ぐらいですか。

オーストラリアで誕生し日本に輸入されたわずかな産駒から、キンシャサノキセキがG1ウィナーとなっているので、同国で産まれた産駒も決してレベルは低くなかったように思います。おそらく育成を含めて競馬のスタイルが合わなかったということでしょう。

競馬のスタイルやその国の繁殖牝馬と合う合わないという部分は事前に予測したがく、それなりに成功している種牡馬が別の国ではサッパリだったり、逆に平凡な種牡馬が所変わって活躍馬をバンバン送り出したりと、そうした例は珍しくありません。国が変わって違ったタイプの産駒を出すこともよくあります。たとえば、日本ではあまり成功せず、マイル以下のダートで最も安定していたリズムという種牡馬が、ニュージーランドへ売却されると、メルボルンC(豪G1・芝3200m)の勝ち馬を出しました。配合や育成により競走馬の個性は大きく変化します。とくにスタミナは鍛錬によって伸びる部分でもあるので、Sun Classique のような例があってもおかしくないと思います。

なるほど。やはり競馬は深いですね。では、逆に短距離向き?のファイングレインがフランスで適性を見せて、フジキセキ系の逆襲に期待したいと思います。

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