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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月

2011年4月 4日 (月)

大阪杯はヒルノダムール

昨年1月の若駒S(OP)以来1年以上も勝ち星のない△ヒルノダムールが単勝1番人気。これは危ないのでは、と思っていたら勝ってしまいました。「御見それしました」という言葉しか出てきません。
http://www.youtube.com/watch?v=Pd1lYKP7cls

藤田騎手がうまく馬群を捌いてインから上昇し、距離ロスを最小限に抑えたのが勝因でしょう。今週からBコースだったので内側の馬場状態がよく、ここを通った馬は簡単に止まりませんでした。

配合については昨年1月23日のエントリー「若駒Sはヒルノダムール快勝」をご覧ください。世代の二番手集団に落ちたかと思わせてまたトップ争覇圏に返り咲くしぶとさ。これはたいしたものです。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/01/post-39a6.html
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100727/

レースを見ていて一瞬勝ったと思ったのがハナ差2着のダークシャドウ(8番人気)。昨年4月、経験馬相手に大出遅れから上がり33秒5の鬼脚を繰り出して勝利したデビュー戦は、ターゲットマシンのデビュー戦と似て強いインパクトがありました。続く2戦目を勝ったあと『web競馬王』に書いた論評の一部を転載します。

「『ダンスインザダーク×プライヴェートアカウント』という組み合わせで、半兄にユノナゲット、ダノンブライアン(いずれもOP)がいる。母方に速いアメリカ血統を入れているためダンスインザダーク産駒にしては俊敏さがあり、前走の上がり33秒5は初出走馬であることを考えれば高い価値があった。ヘイロー≒サーアイヴァー3×4、ディナーパートナー≒バックパサー5×4は好感が持てる。今回は好スタートを決めた出た時点で勝負あったという雰囲気。ここは単なる通過点だろう。」

前走の調布特別(1000万下・芝2000m)は手合い違いという内容の楽勝でしたが、このメンバー相手に別定戦で勝ち負けになるとは驚きです。ここまで無理をせず大事に使われてきたことで、晩成の大器が花開こうとしているのかもしれません。前記の論評を書いたあと、同じく半兄のチョイワルグランパがシリウスS(G3)で3着となっています。母マチカネハツシマダは優秀な繁殖牝馬ですね。2代母 Yousefia は名種牡馬 Green Desert の全妹です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102929/

◎ダノンシャンティ(5番人気)は4着。ハイペースだったとはいえ、前が止まらない馬場コンディションの内回りコースで、最後方追走&大外回しはつらかったと思います。レコード決着のなか、1、2着馬よりも2キロ重い59キロを背負って上がり33秒6ですから、負けたとはいえ胸を張れる内容でしょう。今回はパドックからテンションが高く、引っ掛かるリスクを考えてあの位置取りになったのだと思います。

2011年4月 3日 (日)

日経賞はトゥザグローリー

少頭数のスローペースという興趣を削ぎがちな展開ではありましたが、直線の攻防は迫力満点、見応えがありました。やはりメンバーがそろった競馬は違います。2馬身半差で勝った◎トゥザグローリー(1番人気)の力が抜けていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=wLAZz-ZWSLM

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎○▲で完全的中。ただ、上位3頭に人気が集中していたため馬単も3連単も激安でした。予想文を転載します。

「◎トゥザグローリーは『キングカメハメハ×サンデーサイレンス』という組み合わせ。母トゥザヴィクトリーはエリザベス女王杯(G1)を2連覇したほか、ドバイワールドC(G1)でも2着となった名牝。スケールの大きさを感じさせる血統だ。有馬記念(G1)3着がフロックでないことは前走の京都記念(G2)快勝で証明した。現在の阪神芝は末脚のしっかりした馬が有利なので、終い確実に伸びるこの馬に向いているだろう。ローズキングダムよりも1キロ軽い58キロは有利。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1996107386/

昨年春の青葉賞(G2)ではペルーサに4馬身差をつけられたのですが、今回は逆に2馬身半差をつける完勝。立場が逆転しました。昨年12月の中日新聞杯の回顧で「過剰と思えるほど代々 Hyperion を入れてきた牝系なので、成長力に関しては太鼓判を押せます」と記したとおり、一戦ごとにパワーアップしています。やや頭が高いフットワークは優雅とはいえませんが、それでグングン伸びてくる迫力はなかなかのもの。宝塚記念でヴィクトワールピサとの対決が実現するなら楽しみです。

○ペルーサ(2番人気)は課題だった出遅れ癖が治まってきたのはいい傾向です。しかし、それと同時に、かつて持っていた規格外の迫力、破天荒なきらめきが薄らいできたような気がします。いまは飼い慣らされた猛獣のようであまり怖くありません。ちょっと残念な気もします。

▲ローズキングダム(3番人気)はトゥザグローリーを負かしにいき、突き放されたところでペルーサに差されました。トゥザ、ペルよりも1キロ重い59キロを背負っていたことを考えれば勝ち馬に次ぐ内容でした。ただ、世代ナンバーワンの評価は遠くなりましたね。

今回のメンバーで天皇賞・春(G1・芝3200m)の争覇圏にあるのはトゥザグローリーとマイネルキッツの2頭でしょうか。

2011年4月 2日 (土)

シンザン生誕50周年

2011年4月2日は、五冠馬シンザンが誕生してちょうど50年目にあたります。

シンザンの現役時代はわたしが生まれる前のことなので、書物やビデオで得た知識しかありません。
http://www.youtube.com/watch?v=t2WcWf4FJD4
http://www.youtube.com/watch?v=VIPeQb2R2lk
http://www.youtube.com/watch?v=5nhCFDEu-9I

競馬に関心を持ち始めたころはもちろん生存しており、産駒も現役で走っていました。ミナガワマンナは菊花賞を勝ち、ミホシンザンは皐月賞と菊花賞の二冠を制覇。皐月賞を5馬身差で圧勝したミホシンザンが骨折し、三冠の夢が絶たれてしまったときは、ちょうどレーヴディソールの骨折の報を聞いたときのような虚無感を覚えました。

内国産種牡馬が冷遇されていた時代、種牡馬ランキングの1位から20位までほとんど輸入種牡馬が占めていた70年代に、シンザンが成した功績は、現代のわれわれが考えるよりも大きかったと思います。内国産種牡馬への根強い偏見があるなか、シンザンを繋養した谷川牧場の谷川弘一郎氏が涙ぐましい努力をして繁殖牝馬を集めたことは有名です。シンザンが切り開いた道を、アローエクスプレスやトウショウボーイといった次の世代の内国産種牡馬が歩んでいったわけです。

父ヒンドスタンは60年代に計7回リーディングサイアーとなった名種牡馬。アガ・カーン三世殿下が生産所有した名血で、その牝系は Uganda にさかのぼる名門です。

Uganda(f.1921.Bridaine)仏オークス、ロワイヤルオーク賞
 Ukrania(f.1926.Ksar)仏オークス
 Udaipur(f.1929.Blandford)英オークス、コロネーションS
 │Clovelly(f.1938.Mahmoud)
 ││Pangani(f.1945.Fair Trial)
 ││ ソーダストリーム(f.1953.Airborne)
 ││ │アローエクスプレス(c.1967.スパニッシュイクスプレス)
 ││ │         朝日杯3歳S、京成杯、NHK杯
 ││ シザラ(f.1955.Marsyas)
 ││  バンブーシザラ(f.1969.テスコボーイ)
 ││   バンブーアトラス(c.1979.ジムフレンチ)
 ││                   日本ダービー
 │Sonibai(f.1939.Solario)
 │ ヒンドスタン(c.1946.Bois Roussel)愛ダービー
 Una(f.1930.Tetratema)
 │Palestine(c.1947.Fair Trial)英2000ギニー
 Umidwar(c.1931.Blandford)チャンピオンS

シンザンは Gainsborough 4×4を持っています。これは、同年にカナダで生まれた大種牡馬 Northern Dancer、ソ連の歴史的名馬 Anilin と同じ配合パターン。東洋の片隅で生まれた馬ではあっても、世界的な血統の潮流に取り残された配合ではありませんでした。
http://ahonoora.web.fc2.com/sinzan.html
http://www.pedigreequery.com/northern+dancer
http://www.pedigreequery.com/anilin

配合についてはもう少し補足しなければならないことがあるのですが、長くなってしまうので、エントリーを改めて来週あたりに書きたいと思います。

2011年4月 1日 (金)

ディープインパクト産駒の Barocci がフランスで勝利

Omnium II は19世紀末のフランスの名馬で、仏ダービーをはじめ大レースを勝ちまくり、引退後は仏リーディングサイアーにもなりました。Tourbillon の父として知られる Ksar(凱旋門賞2回、仏ダービー)は Omnium II 3×2です。
http://www.pedigreequery.com/ksar

この馬を記念したオムニウムII賞(芝1600m)は、リステッドレースではありますがそこそこ重要度の高いレースです。フランスの3歳牡馬のトップクラスは、シーズン最初のレースとして、4月半ばにロンシャンで行われるフォンテンブロー賞(G3・芝1600m)か、3月にサンクルーで行われるオムニウムII賞を使ってくることが多いですね。

日本で生まれ、フランスに輸出されたディープインパクト産駒の Barocci は、昨年10月のデビュー戦で2着。今回のオムニウムII賞は約半年ぶりのレースでした。結果は以下のとおり。

■オムニウムII賞(3/31・サンクルー・芝1600m・7頭・不良馬場)
1着 Barocci     1分48秒90
2着 Private Jet     短首
3着 Two for Two      2

見事勝利を飾りました。勝利騎手はクリストフ・スミヨン、調教師はエリー・ルルーシュです。芝1600mで1分48秒90という勝ちタイムですから、ペースが遅かったにしろ馬場は相当悪いですね。母の父 Giant's Causeway や Hypericum≒Aureole 6×6のパワーが活きたように思います。また、Round Table が入るディープインパクト産駒は走るなぁという印象です。
http://www.pedigreequery.com/barocci2

ディープインパクトの母方に潜む Lady Rebecca を刺激する配合は好みなのですが、Sir Gaylord≒Secretariat 6×5・6、Pocahontas 5×7を持つこの馬はまさにそのパターンです。

Giant's Causeway が入るので、あくまでも欧州仕様ながら、配合的には見どころがあります。今後は、仏2000ギニーに直接向かうのか、フォンテンブロー賞あたりを挟むのか、現段階では分かりませんが、いずれにしろ非常に楽しみです。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!