ラヴィアンクレールの「マンカフェ×エンドスウィープ」はニックス
■土曜京都9Rのこぶし賞(3歳500万下・芝1600m)は、ディープインパクト産駒のアルティシムス(4番人気)がしぶとく伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=FZihqCf2yj0
母アルーリングアクトは小倉3歳S(G3)の覇者。Mr.Prospector 3×3が手堅いスピードを安定的に伝えているようで、産駒はコンスタントに走っています。出世頭のアルーリングボイス(父フレンチデピュティ)は小倉2歳S(G3)とファンタジーS(G3)を勝ちました。アベレージヒッター型の繁殖牝馬といえるでしょう。その一方で大物感という面ではやや物足りないところがあり、アルティシムスがこれをどう克服していくかが今後の鍵でしょうね。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102629/
ディープインパクト産駒は基本的に外回りコース向きですが、この馬は母方の影響で内回りコースに向いているのかもしれません。フットワークからもそんな感触があります。秋山真一郎騎手によれば「荒れた馬場はうまい」(週刊競馬ブック)。これで道悪は2戦2勝です。
母方に Fappiano を持つディープインパクト産駒には、ダノンバラード、サイレントソニック、そしてこのレースにも出走したダコールがいます。相性がいいようですね。このほか、本馬には Pocahontas 5×6(Alzao の2代母、Tom Rolfe の母)があります。このクロスは注意したいところです。
3着ダコール(2番人気)は、福永祐一騎手によれば「切れ味タイプだからこんな馬場はもうひとつ」(週刊競馬ブック)とのこと。12キロ減の馬体重も影響したのかもしれません。休み明けを使った反動でもあったのでしょうか。次走、馬体が戻って良馬場の1600mなら絶好の狙い目でしょう。
■土曜東京9RのヒヤシンスS(3歳OP・ダ1600m)は、好位追走のラヴィアンクレール(5番人気)が抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=QQP4UD-zTAI
『競馬王のPOG本』の「栗山ノート」で取り上げた好配合馬です。母ダークエンディングはシリーンS(加G1・ダ8.5f)の勝ち馬。本馬は「マンハッタンカフェ×エンドスウィープ」ですからゲシュタルト(京都新聞杯)と同じ組み合わせです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102913/
日本に輸入後わずか3世代しか残せなかった名種牡馬エンドスウィープは、母の父としても優秀です。連対率は21.4%。母の父として連対率が20%を超える種牡馬は稀です。こぶし賞を勝った前出のアルティシムスも母の父がエンドスウィープですね。
エンドスウィープはサンデー系とニックスといえる関係にあります。なかでもマンハッタンカフェとの組み合わせはおもしろいと思います。エンドスウィープは Mr.Prospector と Northern Dancer を併せ持つのですが、これはマンハッタンカフェの交配相手としては有効なパターン。さらにはマンハッタンカフェの配合構成のなかで鍵となる Heliopolis を継続します。
前回のPOGではゲシュタルトを、今回はラヴィアンクレールを「栗山ノート」で取り上げました。どちらも走ったので「マンハッタンカフェ×エンドスウィープ」はニックスといってもいいでしょう。ほかにもう1頭、キッズアプローズという馬がいるのですが、全成績〔3・3・2・0〕と複勝圏を一度も外していません。
母ダークエンディングは File≒Fire Water 3×3という組み合わせのクロスを持ちます。これがパワーを補強しているものと思われます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a006881/
┌ Tom Rolfe
File ――――――┤ ┌ Double Jay
└○┘
┌ Tom Rolfe
Fire Water ―――┤ ┌ Double Jay
└○┘
そして自身は Promised Land≒Darlin Patrice 5×5という4分の3同血クロスを持ちます。なかなか洗練された配合です。
┌ Palestinian
Promised Land ――┤
└ Mahmoudess
┌ Palestinian
Darlin Patrice ―┤
└○┐
└ Mahmoudess
マンハッタンカフェは、ダート色の強い繁殖牝馬から芝をこなす産駒を作ることが珍しくないので、デビュー前は芝でも行けるんじゃないかと考えていたのですが、バリバリのダート馬でしたね。この日は東京ダートでマンハッタンカフェ産駒が3勝。プチ祭りでした。現3歳世代のマンハッタンカフェ産駒には、これも大物と評価されているグレープブランデーという馬がいます(2月9日のエントリーを参照)。どちらもデムーロ騎手が手綱を取っているので、聞けるものなら力量比較を聞いてみたいところです。
いつもお世話になっております。
ヒヤシンスSは前走の破壊的な末脚を繰り出したレーザーバレットが本物かどうか注目していたのですが、全く伸びずじまいで残念な結果でした。勝ったラヴィアンクレールは良いクロスがあるようですが、このクロスはテディ系で、今の競馬ではかなり異系の血だと思うのですが、異系がもたらす効果は大きいのでしょうか?
それとも同血クロスがやはり効果的なのでしょうか?
投稿: ダッテン牧場 | 2011年2月22日 (火) 20:41
レーザーバレットは横山典弘騎手のコメントを読むと前走の調子になかったようですね。反動があったのかもしれません。復調すれば走るのではないでしょうか。
異系の導入は配合にとって大事です。ただ、注意すべきは、異系というものは単に“非主流の父系”というわけではないことです。非主流の父系でも母方の血が主流血統であれば異系とは呼びづらいですね。血脈全体を見て判断しなければならないと思います。4分の3同血クロスは配合手法として普遍的なものなので効果的だと思います。主流の血で固めすぎて身動きがとれなくなったときに、異系の血で新鮮な活力を吹き込むことは非常に効果的です。
投稿: 栗山求 | 2011年2月23日 (水) 06:18