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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年2月13日 (日)

クイーンCはホエールキャプチャ

昨年暮れの阪神ジュベナイルフィリーズ(G1・芝1600m)はレベルが高かったということでしょう。○ホエールキャプチャ(2番人気)が横綱相撲で押し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=0ktuZKaZ1Wc

◎ダンスファンタジア(1番人気)は直線で最内から外に出したロスが痛かったですね。この馬がどいたスペースに、2着の△マイネイサベル(5番人気)が突っ込んできて2着を確保。結果論ですが、動かずに前が開くのを待っていれば2着はあったと思います。ただ、それにしても動かなすぎた感もあるので、前走の反動があったのかもしれません。

ホエールキャプチャの配合はデビュー戦から高く評価してきました。昨年7月3日の新馬戦(函館芝1200m)に出走した際、いまはなき『web競馬王』に異例の長文予想を書いたのですが、それを再録します。

「◎ホエールキャプチャは『クロフネ×サンデーサイレンス』。この組み合わせでチヨダマサコの牝系を汲む配合といえばベストクルーズ(阪神ジュベナイルF-G1・3着、ファンタジーS-G3・2着)がいる。フレンチデピュティ系の配合で重要と思われるひとつのパターンは、同馬が持つブルームーンという血を刺激すること。ブルームーンとよく似た配合構成の血を母系に入れた馬はよく走っている。本馬の場合、それはサンデーに含まれるバニッシュフィアであり、ラバージョンの2代母であるブルーグロット。これらを併せ持つ配合はベストクルーズと同じなので高い期待が掛けられる。全兄は初勝利を挙げるまでに11戦を要したが、本馬は牝馬ということもあり仕上がりが早そう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100544/

Blue Moon は、フレンチデピュティの母の父の母。
Blue Grotto はラバージョンの2代母で、Blue Moon の全妹。
Banish Fear は Halo の母の父の母。
http://www.pedigreequery.com/blue+moon2
http://www.pedigreequery.com/blue+grotto
http://www.pedigreequery.com/banish+fear

          ┌○┐
        ┌○┤ └ Herodias
        │ └○┐
Blue Moon ―――┤   └○┐
(=Blue Grotto)│     └ Bathing Girl(=Over There)
        │ ┌ Blue Larkspur
        └○┘

       ┌ Blue Larkspur
Banish Fear ―┤ ┌ Over There(=Bathing Girl)
       └○┤
         └ Herodias

つまり、ホエールキャプチャには、Blue Moon=Blue Grotto≒Banish Fear というクロスがあります。フレンチデピュティ系の配合としては文句なしのA級です。

厳密にいえば Hail to Reason の母 Nothirdchance も Blue Moon に似ています。また、ホエールキャプチャの血統とは関係ありませんが、Nothirdchance と相似な血の関係にある Revoked や、Bluehaze、Blue Banner、Blue Eyed Momo といった「Blue」がつく一連の血脈、それから Busanda、Alondra などもこれらの仲間ですが、詳しく説明を始めると長大なものになるので割愛します。フレンチデピュティやクロフネ産駒の活躍馬はこのパターンが非常に多いですね。

土曜東京6Rの新馬戦(芝1600m)を勝ったリッチフロー(父フレンチデピュティ)は、Hold Your Peace≒Yes Dear 3×5という4分の3同血クロスを持つのですが、この2つの血の母は Blue Moon です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103007/

望田潤さんのブログを読んだら、水曜日に同じような内容のエントリーがありました。私と望田さんは配合の共同研究をしたことはないのですが、もともと同じ競馬通信社の仲間でしたから、アプローチの仕方は似ていて、血統を掘り下げていく過程で似たような結論に達することはしょっちゅうあります。ご参考までに。

ホエールキャプチャ≒ベストクルーズ≒レジネッタ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d7f6472ac0ed4ca142cd202b7aa530e8

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クイーンCはホエールキャプチャを参照しているブログ:

コメント

おはようございます。
クイーンCは、前走本命で悔しい思いをしたマイネイサベルを再度本命にしました。その前走、ペースが遅くて切れ負けした感じだったので、今回は馬場重くなりそうだったので十分勝ち負け出来るかと。ダンスファンタジアは前走厳しいペースを好タイム勝ちの反動はあると思って対抗にしました。結局、複勝のみで…。ホエールキャプチャは単純にGI好走の反動と、クロフネの重賞があまり信用出来なくて。栗山さんのホエールキャプチャの評価をちゃんと知っていれば(泣)。血統に関しては、亀谷さんとコラボした本で血統を調べる時に何度も繰り返し読み多少は頭に入ってきてはいるとは思うのですが、まだまだ勉強不足で、特に昔の牝馬は皆無に等しく、よく耳にするのはノーザンダンサーのクロスで4×3だとか、それくらいしか分かりません。例えば、ホエールキャプチャはヘイルトゥリーズンがクロスされていて、今日出走するダノンバラードはヘイローがクロスされていて、走りを見る限りかなりスピードがありそうですが。クロスされている血量よりどういう血筋なのかが大事なのでしょうか?

いつも読ませていただいております。
実はamazonで競馬通信社から出版されていた
「世界の名馬7代血統表」の購入を検討しているのですが、
この本は血統表だけなのですか?それとも配合や血統の解説は入っているのですか?何分値が張るものですので、
アドバイスいただきたいのですが。

>ダッテン牧場様

マイネイサベル本命、ダンスファンタジア評価下げはいい狙いですね。阪神JFの上位組と、デルマドゥルガーのような急成長組で3歳牝馬トップクラスの勢力図は固まっていきそうです。

血統表を見るときに、クロスというものにまず目が行きがちですが、いちばん大事なのは父と母ですね。同じ Hail to Reason のクロスを持っていても、父がリーディングサイアーであるのと、ランキング50位の種牡馬では、産駒のレベルはまったく違ってきます。母についても同様です。ブエナビスタのような存在は凡百の繁殖牝馬とはまったく違います。血筋が良くて、なおかつ配合が整っていることが重要です。社台レベルになりますと、種牡馬も繁殖牝馬も一流ですから安心して配合分析ができます。

次に大事なのは、血脈のイメージをしっかり持つことです。サンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムといったメジャーな種牡馬から、ちょっとさかのぼって Halo、Roberto、Mr.Prospector など、そういう血の特徴を自分のなかにインプットしておけば、それらが血統表のなかに存在したときに、どのような特徴が現れるかということをイメージしやすいと思います。この血はこういう特徴がある、という知識のストックは多ければ多いほどいいですね。それだけ血統表を読み解くヒントが得られるということですから。

クロスとは、ごく簡単にいえば過去の名馬の特徴を再現するということです。代が遠くなると影響力は落ちます。それぞれの血によって特徴はありますが、大事なのは、同じクロスでも種牡馬によって効果が違うということです。たとえば、Aという種牡馬では Halo クロスがやたらと走るけれど、Bという種牡馬はそうでもない、ということがよくあります。ですから、種牡馬ごとに過去の産駒の配合を調べておくのは重要です。そして、走るパターンを把握すれば、それは馬券やPOGやクラブ法人の馬選びに応用できるでしょう。クロスに限らず、特定の血を持つ馬が高い確率で走っている、ということもそうした作業から判明します。

便利なことに、「TARGET frontier JV」といった優れたソフトが存在するので、誰でも配合研究ができる時代になりました。ダッテン牧場様はもうお持ちだとは思いますが、持ってない方にはぜひオススメしたいですね。

>馬好き様

ご購入のご検討ありがとうございます。「世界の名馬7代血統表」は、7代血統表と馬ごとの1行解説です。たとえば His Majesty は「Graustark の全弟で、1982年の米リーディング・サイアー。Pleasant Colony などの父」。それがどんな馬で、どんな血統表であるのか、それを把握できるところに価値があるので、「7代」の2年後に出た「世界の名馬5代血統表」でも十分代用可能です。こちらをオススメします。ちなみに「7代」は、St.Gatien の父が違っていたり、その後判明した間違いの直っていない部分が数カ所あります。

丁寧な返信ありがとうございました。

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