黛弘人騎手、油断騎乗により9日間の騎乗停止
土曜日の小倉最終レースで、メジロガストンに騎乗した黛弘人騎手が「決勝線手前で2完歩ほど追う動作を緩め2着」(JRAホームページより)となりました。
http://www.youtube.com/watch?v=QCNcvxI0dDs
87年10月の東京競馬で、天間昭一騎手(現調教師)がゴール前で手綱を緩めて後続に差されたことが問題になったとき、騎乗停止期間は「4ヵ月」でした。わたしはこういうケースで仮に半年間の騎乗停止処分が下ったとしても重いとは思いません。
メジロガストンの馬主であるメジロ牧場のブログに以下のような記述があります。
「黛ジョッキーから牧場に電話がありました。ガストンがもたれて斜行しそうになり、それを立て直すために上体が起きてしまったとのこと。しかもムチを入れようとおもった手が勝ったときのガッツポーズにとられてしまったそうです。」
http://ameblo.jp/mejiro308/entry-10813960180.html
JRAの説明は以下のとおり。
「黛騎手本人から事情聴取を行うとともに、パトロール映像を精査した結果、この行為は騎手としての注意義務を著しく怠った油断騎乗であると認め、騎乗停止30日としました。」
http://www.jra.go.jp/news/201102/022602.html
JRAは黛騎手の言い分を認めていません。「騎乗停止30日間」は競馬開催日に直すと「9日間」ということになります。
ゴール前の競り合いの最中、不用意に手綱を緩めたり腰を上げたりする騎手がよく目に付きます。今回は1着と2着が入れ替わったので目立ちましたが、2着と3着、あるいは3着と4着の争いでは、「最後までしっかりと追っていたら着順が入れ替わっていたのでは?」というシーンをたまに目にします。たった数メートル手綱を緩めたぐらいで馬のスピードは変わらないよ、という意見もあります。しかし、ファンの目にはそうは映らないでしょう。レースの公正性に対して疑念を抱かせる行為が競馬ファンの増加につながるとは思えません。
公正というものに厳格な態度を貫くJRAが、なぜこうした行為を放置しているのかよく分かりません。騎手を調整ルームに缶詰にすることよりも重要だと思うのですが。
http://www.jra.go.jp/kouza/yougo/sa_list.html
JRA公式HPにあるように、裁決委員が下せる最大の処分を下したのではないでしょうか。じ後、裁定委員会が開かれてもっと重い処分が下されると私は思いますし、そうでなければならないと思います。
投稿: とおりすがり | 2011年2月27日 (日) 01:02
動画見ました。これはイカンですねえ。それにしても八百長の類なら(ないと思ってますが)もっと上手くやるでしょうし、余裕かますほど後続と差があったわけでもないですし、いったい全体どうしてこんな騎乗になってしまったのか意味が分かりませんね。仰るとおり再発防止に全力を尽くす必要あると思います。
投稿: taku_neo | 2011年2月27日 (日) 01:28
>とおりすがり様
わかりやすい資料をご教示くださりありがとうございます。このあと開かれるであろう裁定委員会でそれなりの処分が下されるのでしょうね。前例に倣って4ヵ月程度の騎乗停止でしょうか。黛騎手の主張が一部認められれば短縮される可能性もありますが……。
投稿: 栗山求 | 2011年2月27日 (日) 03:07
>taku_neo 様
魔が差したということなのでしょうね。悪気があったわけではなく単なるミスだと思うのですが、プロである以上、結果責任を問われるのは当然です。競馬学校での徹底的な指導はもちろん、JRAが全騎手に通達を出すなり罰則を強化するなどの措置を講じ、騎手の意識改革に取り組まなければ、現状では何度でも同じような不祥事が起こるのではないでしょうか。
投稿: 栗山求 | 2011年2月27日 (日) 03:25
お返事ありがとうございます。JRAの週2日で2〜3場開催という数少ない騎乗機会のパイを、外国人や地方競馬の騎手とも争っている今の状況って、客観的にみたら相当危機感持つのが当たり前な気がするんですけどねえ。そうはならないほど、JRA所属ジョッキーは条件や環境等恵まれているのかもしれないですが。
投稿: taku_neo | 2011年2月27日 (日) 10:15
87年10月の東京競馬で、天間昭一騎手(現調教師)がゴール前で手綱を緩めて後続に差されたことが問題になったとき
↑
えーと些細なことながら、この部分ちょいと違います。目の前というかゴール前のスタンドで見てましたので見たままを述べさせてもらいますと、後続に刺されたのではなく、バテたと思った馬が盛り返してきたというのが真実です。ゴール前手綱を緩めたのは前にいたハヤテキリコを差して(もうバテたと思って2着を確保したと思ったのでしょう)安心したためだと思われます。私も枠連1点勝負で当り馬券を逃したのでよく覚えています(笑)。因果な最終レース。私の後ろの方からは「八百長だ!」、前の石畳のほうからは「引っ張った」と、もうそれは大騒ぎでした(笑)。
投稿: 競馬歴28年 | 2011年2月27日 (日) 23:57
>taku_neo 様
こんなことを述べるのは僭越であることを承知でいわせてもらえれば、1頭のサラブレッドが競走馬となるまでにどれほど多くの労力と金銭が絡み、携わった人々が着順ひとつに一喜一憂しているということを、騎手の方々にもう少し自覚していただけたら……と思うときがあります。たとえば牧場には、競走の着順に応じてJRAから生産牧場賞(と繁殖牝馬所有者賞)という交付金が出ます。条件によって1~3着、1~5着と対象は異なりますが、苦しい台所事情でやりくりしている中小牧場にとって、これをもらえるかもらえないかは死活問題です。馬券対象にならないところで勝負を投げたような騎乗をしているジョッキーをたまに目にすることがありますが、わたしの目には、彼らがそのことを理解しているとはとても思えません。じっさいに、生産者の方からそうした怒りの声を耳にしたこともあります。
投稿: 栗山求 | 2011年2月28日 (月) 01:55
>競馬歴28年様
ご指摘誠にありがとうございます。これは貴重な歴史的証言ですね~。当時は武豊ブーム、オグリキャップブームの前夜で、わたしもよく競馬場に行っていたのですが、その後の時代に比べてやや殺伐としていたというか、プロっぽいおじさんが多かったような記憶があります。「八百長だ!」「引っ張った」というシーンは目に浮かぶようです^^
投稿: 栗山求 | 2011年2月28日 (月) 02:11
本日、JRAに電話で問い合わせたところ、黛騎手に対する処分に関しては確定。
裁定委員会を開くつもりもないそうです。
本当に呆れました・・・今後、馬券を買うのを控えようと思います。
投稿: とおりすがり | 2011年2月28日 (月) 17:09
貴重な情報ありがとうございました。裁定委員会が開かれないというのはちょっと意外ですね。処分の内規でも変わったのでしょうか? それとも情状酌量の余地があったのか……。そのあたりの詳しい事情が分からないので何ともいえません。今回の事件は決して軽いものではないと思うので、二度とこのようなことが起こらぬよう、再発防止に全力を尽くしてほしいですね。
投稿: 栗山求 | 2011年2月28日 (月) 22:27
たしかに今回の件は1着か2着かで起こったので非常に目立ってますが、5着か6着か、あるいは8着か9着かというところでは日常茶飯事のように気を抜いたような騎乗は見受けられますね。個々の馬の状態など一概には言えない面もあるでしょうが、御指摘のとおり乗り手の自覚不足は大いにあるかと。。もちろん多数のジョッキーはしっかりやってるとは思いますが。
投稿: taku_neo | 2011年3月 1日 (火) 02:30
そうですね。騎手に対して意見を述べると全員がそうであるかのように受け取られることもあるのですが、ほとんどの騎手はしっかり仕事をしていると思います。
投稿: 栗山求 | 2011年3月 2日 (水) 03:42