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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
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2011年1月23日 (日)

Iffraaj と Park Appeal 牝系(後)

Iffraaj の血統で注目すべき点は、Park Appeal のファミリーに属することです。

 Park Appeal(f.1982.Ahonoora)チェヴァリーパークS(英G1)、他
  Pastorale(f.1988.Nureyev)
  │Kareymah(f.1996.Zafonic)カルヴァドス賞(仏G3)
  │Iffraaj(c.2001.Zafonic)パークS(英G2)[2回]、他
  アルヴォラ(f.1990.Sadler's Wells)
  │ディクタット(c.1995.ウォーニング)スプリントC(英G1)、他
  Cape Cross(c.1994.Green Desert)ロッキンジS(英G1)、他
  Vincennes(f.2004.King's Best)ケルン牝馬マイレ(独G3)

Park Appeal は現役時代、チェヴァリーパークS(英G1・芝6f)とモイグレアスタッドS(愛G1・芝6f)を制し、愛2歳牝馬のフリーハンデでトップにランクされた一流のスピード馬。その半姉に Desirable(チェヴァリーパークS)、半妹に Alydaress(愛オークス)がいるように、母 Balidaress の代からすでに名牝系と呼んで差し支えないのですが、そこから説き起こすと話が広がりすぎるので、Park Appeal 以降に話を絞ります。

この牝系から出た重要な馬は、Iffraaj のほかに、Cape Cross、ディクタットがいます。

Cape Cross は現役時代にG1を勝ったスピード馬でしたが、種牡馬としては期待をはるかに上回る成功を収め、09年のカルティエ賞年度代表馬 Sea the Stars や、04、06年の同年度代表馬 Ouija Board などを出しています。
http://www.pedigreequery.com/cape+cross

ディクタットは現役時代、スプリントC(英G1・芝6f)とモーリスドギース賞(仏G1・芝1300m)を勝ったほか、安田記念(G1)で2着という成績があり、種牡馬としても日本で2年間(08、09年)種付けを行いました。Dream Ahead(モルニ賞、ミドルパークS)と Rajeem(ファルマスS)が代表産駒。この2頭はいずれも「ディクタット×Cadeaux Genereux」という組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/diktat

Iffraaj は現役時代、パークS(英G2・芝7f)を2連覇したほか、レノックスS(英G2・芝7f)を4馬身差で圧勝しました。ただ、G1では2着が最高です。05年にスプリンターズS(G1)の選出馬となりましたが、出走を辞退しています。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj

この3頭の牝祖 Park Appeal は、「Ahonoora×Balidar×シーホーク」という組み合わせで、The Phoenix 4×4という配合。主流から遠く離れた極上のアウトサイダー血統です。The Phoenix は日本ではライジングフレームの父として有名ですが、世界的にはメジャーとはいえません。Park Appeal は、非主流血脈で構成されながら高い能力を持つという点に価値があります。主流血統に対して大きなインパクトとなります。
http://www.pedigreequery.com/park+appeal

Iffraaj の特長として挙げられるのは堅い馬場への適性。現役時代、英ヨーク競馬場の芝6ハロンで、60キロを背負い1分08秒74というタイムを出しました。近親のディクタットは先に記したとおり安田記念2着馬で、Cape Cross 産駒の Ouija Board はジャパンC3着馬ですから、この牝系は日本向きの適性があるのではないかと思います。ただ、切れ味のあるタイプではないので1200~1400mがベストでしょう。

ちなみに Iffraaj とディクタットは単に近親というだけでなく、血統構成もよく似ています。

          ┌ Gone West(≒ウォーニング)
        ┌○┘
Iffraaj ――――┤ ┌ Nureyev(≒Sadler's Wells)
        └○┤
          └ Park Appeal

        ┌ ウォーニング(≒Gone West)
ディクタット ―┤ ┌ Sadler's Wells(≒Nureyev)
        └○┤
          └ Park Appeal

したがって成功パターンも似たようなものになるかもしれません。ディクタットが成功した Cadeaux Genereux 牝馬との交配はぜひ試してほしいものですね。残念ながら初年度にこのパターンは1頭もいませんでした。

Iffraaj 産駒はまだ日本で走っていませんが、いずれ入ってくるのは間違いないので、そのときは注目したいですね。

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Iffraaj と Park Appeal 牝系(後)を参照しているブログ:

コメント

まさかPark Appealからこれだけの活躍馬が出ていたとは…隔世の感がします。
牝系と同様にAhonooraという種牡馬も奇跡的な存在でしたね~流石にTourbillonと言ったところでしょうか。
ところで個人的に昨日の若駒ステークスは、今年のクラシックを占う重要なレースになった気がします。

Ahonoora は非主流のスプリンター血統のなかから忽然と現れて、いつのまにか現代血統のなかで無視できない存在となったわけで、おっしゃるとおり奇跡的という表現が妥当だと思います。産駒のドクターデヴィアスが英ダービーを勝ったときはビックリしました。こうした非主流血統をいかにして取り込み、その活力を活かしていくかということは、主流血統に関することと同じくらい大きなテーマではないかと思います。

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