ノーブルジュエリー圧勝
土曜日の2歳戦では大物が1頭勝ち上がりました。阪神6R・新馬戦(芝1400m)の◎ノーブルジュエリー(1番人気)。スピードの違いでハナに立つと、直線で後続を9馬身ちぎりました。
http://www.youtube.com/watch?v=YDWXkJdHZWs
『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は◎△★で3連単68670円的中。予想文を転載します。
「◎ノーブルジュエリーは『スマーティジョーンズ×モンズン』という組み合わせの外国産馬。父スマーティジョーンズはケイアイガーベラ(プロキオンS)の父だが、芝・ダート兼用で、本馬は母ノーブルステラがドイツ血統の芝馬。現役時代にアメリカで芝重賞を4勝している。芝は問題なくこなすだろう。父スマーティジョーンズは新馬戦に抜群に強く、芝では連対率60%を誇る。水曜日のCWで好時計をマークしており、凡走はなさそうだ。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008110008/
1分21秒3という勝ちタイムは、芝1400mで行われた新馬戦の歴代ナンバーワン記録です。最終レースに同コースで行われた古馬1000万下でも3着に相当するのですから優秀ですね。
父 Smarty Jones はプロキオンS(G3・ダ1400m)をレコード勝ちしたケイアイガーベラの父で、現役時代は米二冠(ケンタッキーダービー、プリークネスS)を制覇。当ブログでも7月12日のエントリー「ケイアイガーベラとサンデー系」でちょっと触れたことがあります。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/07/post-4325.html
ケイアイガーベラとノーブルジュエリーのおかげで日本では産駒が走っているイメージがあるのですが、しかし、アメリカではサッパリの成績で、種付け料は年を追うごとにみるみる下がり、来年はケンタッキー州からペンシルベニア州に都落ちすることが決定しています。
母ノーブルステラはドイツで生まれてアメリカへ渡り、4つの芝重賞(9~12f)を制しました。「Monsun×Dashing Blade」ですから、仏オークス(G1)をはじめ4つのG1を制した名牝 Stacelita と同じ組み合わせです。
http://www.pedigreequery.com/stacelita
ノーブルジュエリーの配合は典型的なアウトブリードです。父はアメリカのスピード血統、母はドイツ血統を主体としたヨーロッパの中距離血統。ドイツ血統は、Sadler's Wells と結びつけばヨーロッパの芝2400m路線の活躍馬を出しますし、こうしてアメリカのスピード血統と結びつけば芝向きの優秀なスプリンター~マイラーを出します。もちろん、ブエナビスタやマンハッタンカフェなどのように、サンデーサイレンスとの相性も良好です。この幅広い対応力、奥の深さがドイツ血統の強みではないでしょうか。4月22日のエントリー「勢力を拡大するドイツ血統」で以下のように述べました。
「主要競馬国の血統は、昔の時代に比べてクロスオーバー化が進み、国ごとの個性といったものが消失しつつあります。そうした時代にあって、ドイツ型馬産によって育まれた血統が、貴重な異系――つまりは活力源――として引っ張りだこになるのは自然な成り行きです。サドラーズウェルズと結びつけばその味を引き立て、サンデーサイレンスと結びつけばその味を引き立てます。そうした万能調味料のような役割を果たしてるからこそ、ドイツ血統は世界的な成功を収めているのではないかと思います。」
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-5cf1.html
アメリカ血統とヨーロッパ血統の美点を融合したノーブルジュエリーは、じわじわと加速して粘り強いというタイプで、今回の競馬のようにハイペースで飛ばしてバテません。これは瞬発力を武器とするサンデー系とは対照的な特長です。クラスが上がってサンデー系の強豪とぶつかったとき、どんな競馬になるのか、そしてどっちに軍配が挙がるのか楽しみです。ちなみに、JBISサーチで調べたところ、母ノーブルステラは今年ディープインパクトの牝馬を産んでいるようです。
望田潤さんのブログを読んだら、ノーブルジュエリーをPOGで指名されていたとのこと。おめでとうございます。今度札幌へ行ったときは蟹料理が食べたいなぁ(笑)。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/
スマーティージョーンズが、米国では不人気とは知りませんでした。
現役時代は、印象に残る馬でしたね。
投稿: キングトップラン | 2010年12月 5日 (日) 12:38
学生の頃エルコンドルパサーのビデオ(世界への飛翔みたいなタイトル)借りてきて見たことがありました。その最後の血統解説、種牡馬としての所で血統評論家(どなたか忘れましたが)の方がエルコンドルパサーは複雑な血統構成のため真っ白なキャンバスに絵を描くような配合がいいとおっしゃってました。その時はスルーしていたのですがドイツ血統を持つ馬が多く活躍する現在エルコンドルパサーがドイツ血統をもつ馬と交配できたいたら素晴らしい馬が誕生していたのかなとふと思いました。
亡くなってしまった馬のことを言っても仕方ないのですが…。
ちょうど競馬が好きになった頃というのもあってあの世代の馬達には思い入れがありましてコメントしてしまいました。
投稿: たくぼん | 2010年12月 5日 (日) 21:16
>キングトップラン様
ケンタッキーダービーを勝ち、続くプリークネスSを11馬身半差で圧勝したときは、さすがにこれは三冠獲るだろうと思いましたが……。競馬は難しいものです。
投稿: 栗山求 | 2010年12月 5日 (日) 22:57
>たくぼん様
エルコンドルパサーはあのとおり異様なクロスの産物ですから、子供はやはりアウトに持っていきたいところです。オーナーの渡辺隆さんは以前からドイツ血統に深い関心をお持ちで、わざわざドイツへ行って Monsun を見てきたというのですから素晴らしいです。エルコンドルパサーがもう少し長生きしていれば“エルコン×ドイツ血統”は実現したかもしれませんね。Sadler's Wells とドイツ血統は相性がいいのできっと成功したと思います。
投稿: 栗山求 | 2010年12月 5日 (日) 23:11