夏のローカルはサクラバクシンオーとジャングルポケット
昨日のエントリーでは、主要種牡馬の“中央開催”と“ローカル”における連対率をご紹介しました。
種牡馬ランキング上位10頭中8頭は、中央開催の連対率がローカルを上回っています。中央開催のほうがローカルよりも高額賞金レースが多く組まれているので、「中央開催に強い」というセールスポイントは収得賞金の多さに直結します。
例外はサクラバクシンオーとジャングルポケット。
サクラバクシンオーは7、8月の連対率が20%を超えています。この2ヵ月間は単勝回収率107%。すでに13世代がデビューを果たし、出走回数が1000回を超えているにもかかわらず、依然としてプラスをキープしているのですから凄いですね。この条件でいかに強いかが分かります。
先週日曜日も、新潟メインのNST賞(OP・ダ1200m)をアウトクラトール(1番人気)が勝ち、小倉11R・筑紫特別(500万下・芝1200m)をエナジーハート(6番人気)が勝ちました。6月19日から始まった夏のローカルでは連対率26.9%(167戦45連対)。高齢でもなお衰えない活力は見事というほかありません。
ジャングルポケットは底力のある中長距離型の種牡馬ですが、一方でローカル向きの高い適性も備えており、タスカータソルテやバトルバニヤンのようなタイプもひとつのスタンダードです。とくに北海道シリーズで強く、長距離戦を得意としているので、函館・札幌の芝2600mではほとんど無敵です。この条件では連対率54.5%(11戦6連対)。今週のみなみ北海道S(OP・芝2600m)にはグラスゴッドの登録があります。同コースで行われた前走の北海Hで単勝万馬券を出した馬です。
函館芝1800mの強さもかなりのもの。先週もトーセンジョーダンが漁火S(準OP)を勝ち、テイラーバートンがかもめ島特別(1000万下)で2着となりました。連対率は40%(20戦8連対)。今週土曜日に組まれた湯浜特別(500万下)にメジロジョンの登録があります。函館開催は今週がラストウィークなので期待したいところです。
あとは小倉芝1800~2000m、新潟芝2200~2400mあたりが得意条件。先週は小倉芝2000mでの活躍が目立ち、小倉記念(G3)でバトルバニヤン(4番人気)が2着、高千穂特別(1000万下)でロザリオ(10番人気)が2着と気を吐きました。今週日曜日に組まれた日田特別(500万下)にラッキーポケットの登録があります。
笠さんのブロブで「ウインバリアシオンは大物だ。ハーツクライ×ストームバードも良いし・・・」と書いておられました。ハーツクライは大好きでその産駒は応援しています。笠さんに直接聞くべきことと思いますがなかなか聞けないので教えて頂きたいのですが、何故ハーツクライ×ストームバードが良いのでしょうか?宜しかったら教えて頂けませんでしょうか?お願いします。
投稿: Bucchi | 2010年8月 4日 (水) 21:49
はじめまして
栗山さんのブログはよく見させてもらっていますが
一度聞いてみたいと思っていたことがありまして
初めてコメントさせていただきます。
わたしは競馬を見始めたばかりのころに活躍した
サクラバクシンオーやトウカイテイオーが種牡馬として成功して
その血統が続いていくことを期待していました。
が、現実にはショウナンカンプぐらいしか後継がおらず、
サクラバクシンオーからもう一頭くらいは
後継種牡馬が誕生してもらいたいとおもっているのですが、
栗山さんはどういった配合からならばそういった
期待の出来る産駒が生まれてくると考えてらっしゃるでしょうか?
余裕のあるときにでも構いませんので一度書いていただけるとうれしいです。
(代を経たノーザンダンサー系の牝馬、サンデー牝馬、ダンス牝馬あたりが
よく付けられているように見られますが、どんな相手でも走りっぷりが
バクシンオーの子っぽくなっている気がして良し悪しが…。)
ブログ内では見受けられませんでしたが、もし過去にどこかで書かれていたようならば
教えていただければ国会図書館辺りででも見てみますので。
長文失礼いたしました。
投稿: いち読者 | 2010年8月 5日 (木) 00:31
>Bucchi 様
笠雄二郎さんに電話でうかがったところ、「ニアリーはないけれど血統表全体の血脈のバランスがいい」とのことでした。
配合を判断する上で大事なのはまず全体のバランスで、細かいことはその次です。この順序は転倒させてはいけないと思います。「ハーツクライ×Storm Bird」は最初の部分、つまり「血統表全体の血脈のバランスがいい」ということです。
投稿: 栗山求 | 2010年8月 5日 (木) 12:14
>いち読者様
はじめまして。お読みいただき誠にありがとうございます。
サクラバクシンオーはかつてPOGで所有していた馬なので私も思い入れがあります。ショウナンカンプについては4月9日のエントリー(「隠れた名種牡馬ショウナンカンプ」)に記しました。もし受胎率がまともならサクラバクシンオーの後継種牡馬として名を成す種牡馬だと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/04/post-ce6c.html
種牡馬となるには重賞をいくつか勝つような競走成績が必要です。
「バクシンオー×サンデー」はコンスタントに走りますし、マイルあたりまで距離をこなす子も目につくのですが、大物が出ません。この配合で重賞を勝ったのはエーシンホワイティのみ。OP特別~重賞では連対率6%と不振です。エーシンホワイティが頑張らないかぎりこの配合から種牡馬は出そうにありません。
結局、Nijinsky、重厚な Hyperion 血脈(チャイナロックなど)といった定番のニックスを持つ馬が競走馬として大成しやすいので、これらの血を持つ馬は種牡馬となる確率が高いと思います(ショウナンカンプはまさにこのパターン)。あとは Known Fact、Dr.Fager あたりでしょうか。サンデー系のダンスインザダークは Nijinsky を含んでいるので可能性はあると思います。
投稿: 栗山求 | 2010年8月 5日 (木) 13:46
お忙しいのに笠先生に聞いて頂き大変ありがとうございました。血統表全体の血脈のバランスが大事なのですね。肝に銘じておきます。栗山さんが「ハーツクライ産駒は母方にしっかりとアメリカ血統を入れる必要がある。」とおっしゃっているのは、スピードの補充が必要ということでしょうか?聞いてばかりで申し訳ありませんが教えてください。
投稿: Bucchi | 2010年8月 6日 (金) 21:23
そういうことです。ハーツクライはやや完成が遅いタイプで、スピードのサポートも必要な血統だと思います。そのあたりを解決するにはアメリカ血統は必須ではないかと私は考えます。3代母の My Bupers あたりをうまく刺激できればなおいいかもしれませんね。
http://www.pedigreequery.com/my+bupers
細かいことをいえば、父 Bupers は Buckpasser の半兄で、La Troienne 血脈です。母の父 Revoked は Hail to Reason の母 Nothirdchance、フレンチデピュティに入る Blue Moon などと相似な血の関係にあります。このあたりを押さえつつ、いろいろ考えていくという感じでしょうか。
投稿: 栗山求 | 2010年8月 6日 (金) 21:53
良く解りました。そういう面で栗山さんが推奨しているダノンハローは条件を満たしているわけなんですね。Raise a Native でスピード補充しているのはダンス産駒と似てるなぁと思いました。大変ありがとうございました。
投稿: Bucchi | 2010年8月 6日 (金) 23:47