ヘクタープロテクター死亡
5月12日、北海道日高郡新ひだか町のレックススタッドで死亡しました。22歳。現役時代は仏2000ギニー(G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)など5つのG1を含めて12戦9勝の成績を挙げた名馬でした。
早熟のスピードタイプでローカル向き、といったタイプの種牡馬でしたが、全妹に Bosra Sham(英チャンピオンS、仏1000ギニー)、半弟にシャンハイ(仏2000ギニー)が出たこと、そして初期の産駒から Limnos(日本産馬初の欧州Gレース制覇)と Shiva(同G1制覇)が現れたことにより、海外での評価は高い種牡馬でした。イギリスへレンタルされたり、オーストラリアへシャトルで渡ったりと、まさに席が温まる暇がなかったという印象です。
初年度産駒がデビューした夏は印象的でした。同期にはリズムとスキャンというミスタープロスペクター産駒の新種牡馬がおり、いずれも華々しい競走成績を持っていたので注目されていたのですが、スタートダッシュを決めたのはヘクタープロテクターでした。7月8日に産駒がデビューしてから9月3日にエイシンイットオーが小倉3歳S(G3)を勝つまで、約2ヵ月間に13戦7勝(!)。前年にデビューしたサンデーサイレンスは13戦した時点で3勝だったので、その凄まじさが分かると思います。
Mr.Prospector 系のスピードタイプなので、ローカルの2歳短距離戦では信頼できる種牡馬でした。JRAではセンターライジング(サンスポ賞4歳牝馬特別)、キタサンチャンネル(ニュージーランドT)、プロモーション(クイーンS)など8頭が重賞を勝ちました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1993109152/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998104068/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1994108627/
海外での種付けからは、Royal Purler(フライトS-豪G1)、Hec of a Party(AJCイマンシペイションS-豪G2)、Shanty Star(クイーンズヴァーズ-英G3)、Vanquished(GCTCザプライムミニスターズC-豪G3)などが誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/royal+purler
http://www.pedigreequery.com/hec+of+a+party
http://www.pedigreequery.com/shanty+star
http://www.pedigreequery.com/vanquished2
代表産駒の Limnos と Shiva の兄妹は、Riverman≒Mill Reef 3×3に加え、父方のプレイメイトが持つ War Admiral と La Troienne の凝縮を、母方の Mr.Busher によって継続するという教科書のような配合でした。
http://www.pedigreequery.com/limnos
母の父としてはこれまでに、ブラックエンブレム、タイセイアトム、アドマイヤメインなどを出していますが、この3頭の母はそれぞれ「ヘクター×Vaguely Noble」、「ヘクター×ダイアトム」、「ヘクター×Assert」という配合。ヨーロッパのスタミナ血脈と結びついた牝馬が母となって良駒を送り出す傾向が見られます。
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