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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年3月29日 (月)

お疲れさまアルティマトゥーレ

高松宮記念の本命はプレミアムボックスだったのですが、とうとう最後まで外伸びの馬場にならず、しかもスタートで大きく出遅れてしまい、その時点で万事休す。個人的には盛り上がる場面の少ないG1でした……。

スタートで躓いたアルティマトゥーレが勝ち負けに加わってきたのには驚きました。これで引退とのことですが繁殖牝馬としても期待大です。3代母 Ski Goggle は、社台ファームの総帥であった故吉田善哉氏が配合を考えた馬です。
http://www.pedigreequery.com/ski+goggle

若いファンのなかには「社台グループ=大量生産方式」というイメージから吉田善哉という人物を誤解されている方がいらっしゃるかもしれません。

彼が生産界の巨人となりえた理由はいくつも挙げられます。忘れてならないのは並々ならぬ血統知識があったこと。その水準は当時の生産界にあって群を抜いていました。欧米における父系・牝系の最新トレンドに精通し、どの血がどんな特徴を持っているのか細かなところまで把握していました。社台グループを発展させた「事業家としての吉田善哉」ばかりがクローズアップされ、「血統家としての吉田善哉」が過小評価されている気がするのは残念なことです。

Ski Goggle (父ロイヤルスキー)は、「名牝 Uvira 4×5」という、ピンポイントで狙ったとしか思えないクロスを持っています。この牝系に特別な力が備わったのはここからです。同馬は現役時代にNY牝馬三冠のひとつエイコーンS(米G1)を制し、繁殖牝馬としても大成功しました。娘のスキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)を制覇。そして孫のエアトゥーレは阪神牝馬S(G2)を勝ったほか、フランスに遠征してモーリスドゲスト賞(仏G1)で2着となりました。この馬がアルティマトゥーレの母です。4代連続で走っているわけですから素晴らしい名牝系です。

ちなみに、アルティマトゥーレの半弟で皐月賞を制覇したキャプテントゥーレ(父アグネスタキオン)は、ロイヤルスキー3×4というクロスを持っています。ロイヤルスキーはその生涯に2頭のG1馬を出しました。1頭は Ski Goggle、もう1頭はアグネスフローラ(桜花賞)です。ロイヤルスキー産駒は「素軽いけれど底力に乏しく、ローカルが得意なマイラー」といったイメージでしたが、Ski Goggle とアグネスフローラは違いました。アグネスフローラはアグネスタキオンの母なので、キャプテントゥーレはこの2頭の血を引いています。ロイヤルスキーのクロスはあまりいいイメージが湧かないのですが、キャプテントゥーレの場合、この2頭を経由したクロスだからこそG1を勝てたのだと思います。血統表を見るたびにささやかな感動を覚えます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102216/

アルティマトゥーレの子は、順調にいけば2013年にデビューします。初年度に何を付けるのか楽しみです。

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