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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2010年3月26日 (金)

ディープインパクト産駒の成功する配合パターンとは?

怪物クラスの競走馬が必ずしも種牡馬として成功するわけではないことは歴史が証明するところです。しかし、その一方で、年度代表馬クラスのサンデーサイレンス産駒はたいてい種牡馬としても成功しているので、ディープインパクト産駒は走るのではないかと思っています。

新種牡馬産駒の配合評価ほど難しいものはありません。素軽さのレベルが分からないので、スピードとスタミナの配分をどの程度にすればよいのか、血統から類推して判断するしかないからです。ディープインパクトにもこれはいえます。

母系に Lyphard を持つサンデー系種牡馬は、バブルガムフェロー、メイショウオウドウ、ロサードなどの名前が挙がります。どれも種牡馬としてはスピードが足りません。ディープインパクトもこの配合パターンなので、大づかみの配合方針として、スピード面をしっかり強化することが必要だと思います。 Mr.Prospector などのアメリカ血統は合うと思います。

逆に、Lyphard はあまりいじらないほうがいいでしょう。クロスさせて実績のある血でもありません。ただ、成功するかどうかは別として、ダンシングブレーヴを母系に持つ配合には興味があります。ディープインパクトの母の父 Alzao とダンシングブレーヴはきわめて血統構成が似ているからです。スイープトウショウの半妹にあたるタバサトウショウの2008は Alzao≒ダンシングブレーヴ3×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008100662/

個人的には、Alzao の母 Lady Rebecca あたりが配合の急所なのかなという気がします。Lady Rebecca は「Sir Ivor×Roman」という組み合わせで、母は名牝 Pocahontas です。ディープインパクトは、「Halo≒Sir Ivor(2×4)」と「Admiral Drake≒Roman(6×5)」を持つので、この血を最大限に活かしています。血統構成の急所を強化することは配合のセオリーです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2002100816/

「Halo≒Sir Ivor」は、グッバイヘイローやジョリーズヘイローを出しています。
http://www.pedigreequery.com/halo
http://www.pedigreequery.com/sir+ivor

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Pharamond
Halo ――┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Mahmoud
       └○┘

       ┌ Turn-to
     ┌○┘ ┌ Mahmoud
Sir Ivor ┤ ┌○┘
     └○┤ ┌ Pharamond
       └○┘

「Admiral Drake≒Roman」は、ディープインパクト、ゼンノロブロイ、ブライアンズタイムなどを出しています。
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
Roman ――――┤ └ Plucky Liege
       │   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

Halo、Sir Ivor を継続したり、これらとよく似た構成の Drone を母系に入れた配合は好ましいですね。Sir Ivor の2代母 Athenia と4分の3同血の関係にある Menow とも相性がいいでしょう。

代は遠くなりますが、Roman と Admiral Drake の継続は地味ながら効果があると思います。また、Roman の娘 Pocahontas と、その母 How を強化した配合にも注目です。Tom Rolfe や Chieftain を母系に入れれば Pocahontas のクロスができますし、Ack Ack や Sham を入れれば How の全きょうだいクロスができます。

くどくどと細かい話を書きましたが、これはあくまでもオプションの話であり、この配合でなければ走らないというわけではありません。基本的な方針としてはワンポイントでもいいのでアメリカのスピード血統をしっかり入れる、ということです。兄弟や近親に活躍馬がいることも重要なポイントです。

ディープインパクトは柔らかい馬だったので、多少硬い血を入れても大丈夫でしょう。リルダヴァルとダノンパッション(ともに父アグネスタキオン、2代母ウインドインハーヘア)は、母の父がそれぞれサンダーガルチ、Woodman でした。いずれも Mr.Prospecotor 系の硬めの血です。このあたりはディープインパクト産駒の配合を考える上で大きなヒントになるような気がします。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103142/
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100999/

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ディープインパクト産駒の成功する配合パターンとは?を参照しているブログ:

コメント

はじめまして。
栗山さんの配合理論はとても参考にさせていただいております。

ディープの配合としてダンシングブレーヴとの配合が
よいとおっしゃっていますが、ということはコマンダーインチーフや
キングヘイローが母父にいてもよいのでしょうか?

とくにキングヘイローは母がグッバイヘイローですがそのへんは
どうなのでしょうか?

はじめまして。ブログをお読みいただき誠にありがとうございます。

ディープインパクトとダンシングブレーヴの配合は、良い/悪いという判断がつきかねるというのが正直なところです。成功するかもしれないし失敗するかもしれない、だけど「Alzao と ダンシングブレーヴ」の関係が特異なものなのでひょっとしたら……といったところです。ですから文中では「成功するかどうかは別として、ダンシングブレーヴを母系に持つ配合には興味があります」と記しました。ディープインパクトの子がデビューしたら、母系にダンシングブレーヴが含まれているか否かをチェックし、含まれている場合はじっくり観察してこの配合パターンの成否を判断したいと考えています。

新種牡馬の成功する配合パターンというものは、血統表で考えている段階ではすべて仮説です。自分では走るだろうと考えていても、じっさいに走ってみたら案外、ということもあります。観察しながら、認識を修正したり新たな視点を得たりして、正しいと思われる方向へ少しずつ近づいていきます。

コマンダーチンチーフとキングヘイローを比べた場合、個人的にはキングヘイローのほうがいいと考えます(現2歳世代にはいないようですが)。コマンダーインチーフはスピードがないので、その点がちょっと引っ掛かりますね。仮にディープインパクトがアグネスタキオンのような素軽いスピードを持っているなら、リトルアマポーラ(アグネスタキオン×コマンダーインチーフ)のような産駒を出せるかもしれません。これは実際に産駒が出てみないことには何ともいえないところです。

ちなみにリトルアマポーラについては1月24日のエントリーで触れておりますので、よろしければご参照くださいませ。

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