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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月21日 (水)

グランデッツァ8馬身差圧勝

土曜札幌1Rの未勝利戦(芝1800m)は、グランデッツァ(1番人気)が軽く気合をつけた程度で後続を8馬身引き離しました。
http://www.youtube.com/watch?v=hvK5auo9EPM

単勝支持率82.2%(!)。どう考えても負けようがないメンバー構成だったとはいえこの数字は凄いですね。今年のJRAでこれを超える数字は見当たりません。

初戦はダッシュがつかず後方に置かれ、運が悪いことに上がり勝負となったため、位置取りの悪さが敗戦に直結しました。苦もなく3番手につけられた今回はその時点で勝負アリ、です。やや脚長の体型で、大きく柔らかいフットワーク。小回りコースよりは直線の長いコースに向くでしょう。走りっぷりを見ていてなぜかサクラユタカオーの若いころの姿がオーバーラップしました。古馬になって毎日王冠と天皇賞・秋を日本レコードで連勝した中距離王者です。同じ栗毛ということもありますが雰囲気が似ています。

桜花賞馬マルセリーナの半弟で、母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝です。『競馬王のPOG本』では「競合覚悟で上位指名すべき5頭」と「栗山ノート」にリストアップし、血統屋の電子書籍『種牡馬別好配合馬リスト アグネスタキオン編』でも牡馬のトップに据えました。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105989/

母マルバイユはマルセリーナとグランデッツァを連続して出したことにより、社台ファームを代表する名繁殖牝馬の1頭に躍り出ました。その豊かなスピードはアメリカ血統だけでなくヨーロッパ血統にも由来しており、ベースとして支えているのが Hyperion なので、大レース向きのしっかりとした底力を伝えています。2代母 Hambye には Ribot のクロスもあります。こういう血はアグネスタキオンと合いますね。

姉マルセリーナ(父ディープインパクト)は Burghclere≒Welsh Flame 3×4で、弟グランデッツァは Alcide≒Electric Flash 5×5。Welsh Flame は Electric Flash の娘なので、2頭とも似たようなポイントを強化しています。

           ┌ Donatello
         ┌○┤ ┌ Hyperion
Alcide ―――――┤ └〇┘
         └ Chenille

           ┌ Donatello
         ┌○┘
Electric Flash ―┤ ┌ Hyperion
         └○┤
           └ Chenille

アグネスタキオン産駒における Alcide 周辺の強化は、鈍重さを帯びるリスクを抱えるので、全体の血脈の質を十分吟味する必要があります。構わず走ったということはマルバイユのスピードの質が優れていることの証明でしょう。走るアグネスタキオン産駒は脚部不安の危険性をつねにはらんでいるので、来年のクラシックを見据えて大事に行ってほしいものです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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コメント

お久しぶりです。グランデッツァ良い走りでしたね。クラシック云々は時期尚早ですが、素質を感じました。
デビューから2戦見た印象だと小回りの札幌は走りづらそうですね(笑)。東京や外回りコースなどで見たいです。次走は札幌2歳Sらしいですけど、中1週ですし使って欲しくないですね(笑)。
馬のタイプとしてはスローの瞬発力勝負より、未勝利戦のようにペースが流れた方が走りやすそうに見えます。母系がスピードありますし、馬自体も少し行きたがりますしね。瞬発力が無いわけではないですが、将来的にはダイワスカーレットのようにスピードの持続力で押し切る馬になると予想してます。ただ、本格化は来年かなと。マルセリーナもエルフィンSから桜花賞の間に本格化したように見えたので、今年走るレースは少し苦労すると見てます。
アグネスタキオンの数少ない牡馬で、しかもグッドルッキングホースですし頑張って欲しいですね。しかし、こうやって2歳馬の未来を予想するのは楽しい事ですね。

栗山先生こんばんは
先日、先生のおっしゃった「鈍感であること」をきいてああこういうことも必要なんだと思いました。
ところで、ステイゴールド産駒でNijinskyと母の父メジロマックイーン以外で良さそうな配合てなんですか。ミスタープロスペクター系はあまり良くないんですか?

>ユウ様

どうもお久しぶりです。スローの瞬発力勝負になると、大トビなのでペースが上がったときに置かれてしまいます。機動力にも不安があるので、スローで馬群が密集するとそれを割って出るのが難しくなります。ある程度ペースが速くなるほうが乗りやすいのは確かでしょう。

それよりなにより、走るアグネスタキオン産駒は無事に走り続けることが第一です。外野が言うまでもなく陣営は最大限の注意を払っているとは思いますが、ついつい言いたくなってしまいますね、くれぐれも脚もとのケアはしっかりしてほしい、と。期待半分、不安半分です。

栗山先生お久しぶりです。私もグランデッツア期待してます。実際はナマ馬を見てからでないと判断できませんが、雰囲気は感じています。
タキオンはキャリアこそ少なかったですが、名馬中の名馬と思っております。父を彷彿させる走りを期待してます。

>ディープエックス様

おはようございます。ステイゴールドにはディクタスが入るので、基本的に何をつけてもアウト気味の配合になります。ですから、こういう配合がいいのでは、という具体的な目星がつけづらく、経験則に頼らざるを得ません。メジロマックイーンと Nijinsky 以外にこれといった成功パターンは見当たりませんが、しいて挙げれば Danzig でしょうか。ナカヤマフェスタやシルクメビウスが持っています。

Mr.Prosoector 系はあまりよくありません。重賞を勝ったのはアルコセニョーラぐらいしかいません。連対率や1走あたりの賞金額もステイゴールド産駒の平均に及びません。

>うまポーロ様

どうもお久しぶりです。まだ緩い感じで未完成ではありますが、そんな状態でこれだけ走るのですから先行きが楽しみです。ディープスカイ級の後継種牡馬がもう1~2頭、アグネスタキオンから現れてほしいところです。

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