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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月 1日 (木)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(5)

ダービーダンファームの現在のオーナーは、創業者ジョン・W・ガルブレイスの娘の息子、すなわち孫にあたるジョン・フィリップスです。生産馬や所有馬の名義は、以前からガルブレイス家やフィリップス家の個人であったり法人であったり共同所有であったり、その形態は無数のバリエーションがあります。それらを区分けするのは不毛な作業なので、ここではすべてまとめてダービーダンファームの馬とします。

Roberto と Ribot の組み合わせから誕生した名馬は、スタミナと底力に恵まれ、芝適性もありました。ダービーダンファームが作り出した名馬たちに潜む Ribot の血は、前回のエントリーでご説明した Graustark と His Majesty の全兄弟にほぼ限られます。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2011/08/dynaformer-ec72.html

ダービーダン方式は、サンシャインフォーエヴァー、ブライアンズタイム、Dynaformer といった牡馬だけでなく、数多くの名牝をも誕生させました。たとえば、Plenty of Grace(イエローリボンS、ダイアナH)とその4分の3妹 Soaring Softly(BCフィリー&メアターフ、フラワーボウル招待H)、Memories of Silver(ビヴァリーD.S、クイーンエリザベス二世チャレンジCS)、Ryafan(仏米でG1を4勝)など。最後の Ryafan はダービーダンファームの馬ではありませんが、血統は完全にダービーダン方式です。
http://www.pedigreequery.com/plenty+of+grace
http://www.pedigreequery.com/soaring+softly
http://www.pedigreequery.com/memories+of+silver
http://www.pedigreequery.com/ryafan

Plenty of Grace と Soaring Softly の姉妹は、Roberto と Graustark を併せ持ち、Soaring のファミリーに属しています。これは日本で走ったある名馬と同じパターンです。その名はグラスワンダー。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108676/

           ┌ Roberto
         ┌○┘
グラスワンダー ―┤
         └〇┐ ┌ His Majesty(=Graustark)
           └〇┤
             └〇┐
               └ Soaring

         ┌ Roberto
         │   ┌ Graustark(=His Majesty)
Plenty of Grace ―┤ ┌〇┘
         └〇┤
           └〇┐
             └ Soaring

グラスワンダーの生産者は、「フィリップスレーシングパートナーシップ&ジョン・フィリップス」。長ったらしくわかりにくい名前ですが、「ジョン・フィリップス」はダービーダンファームの現オーナーですから、実質的にはダービーダンファームの生産馬と考えて間違いありません。

怪物グラスワンダーはダービーダン方式によって生み出されました。桁違いの排気量、スピードもスタミナも十分という美点は、Roberto と His Majesty がベースとなって形作られたものです。(続く)

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(5)を参照しているブログ:

コメント

お昼休み中に、栗山先生のブログをチェックするのが日課となっているbrokkenです(笑)


先日からの、ダービンダン方式のお話は、非常に面白い内容です。


ブライアンズタイムに、ディンヒル肌を持ってくれば、この方式に当てはまりますね(^_^)

いつもお読みいただきありがとうございます。ダービーダンファームの連載は、日々の競馬とかかわりのない古い話(しかも外国)なので、たぶん受けが悪いだろうなと思っていました。そういっていただけると励みになります。

お察しのとおり、デインヒルはグラスワンダーの母と同じ「Danzig×His Majesty」ですから、これを持つ繁殖牝馬にブライアンズタイム系を掛ければ、ダービーダン方式で誕生したグラスワンダーに似てきます。ただ、Graustark≒His Majesty の全きょうだいクロスは鈍重さが表れやすいので、残りの部分にどうスピードを注入するかが重要になってきますね。

早速のお返事ありがとうございます(^_^)

栗山先生のブログは、ファンにとっては
貴重な交流の場でありますので、大変貴重です。


Graustark≒His Majestyの鈍重さについてですが…
ダンスインザダークにも入っていますが、
ジックリジワジワの脚を使うので
私も、同じように感じました(^_^)


ブライアンズタイムでGraustarkのクロスと言えば、タニノギムレットが思い浮かぶ事から、プラスかなと思ってましたが(それ以外の配合例は知りませんが...)、一般的にはやっぱり重いですか?

ダイナフォーマーもブライアンズタイムも、年は老いてもモノはバリバリ現役ですね。そういう家系なのでしょうか。

いつも楽しく読ませて頂いてます。
血統屋の一口ピックアップも楽しんでます。自分はキャロですが自分が選んだのが栗山さんと被ったのでテンション高まりました。
ところでダービーダン方式を読んで偶然かも知れませんがサクセスブロッケンの奥にもヒズマジェスティが入ってますね。たまたまかな…
方式が当てはまるとしてもやや重そうですよね。スピードアップがカギになりそうな配合ですよね。

書いてから気づきました。シンボリクリスエスにはゴールデントレイルがありませんね。方式とは少し違いました…

>brokken 様

ダンスインザダークの Graustark≒His Majesty クロスで成功した馬は記憶にありません。 Graustark クロスはスリーロールス、ウイングランツあたりですか。こちらも数は多くないですね。

>jiumi 様

じつはその点は次回のエントリーでちょうど記したところです。せっかくですのでそちらを回答に代えさせていただきます。

Roberto も Ribot も特別長生きしたわけではないのですが、ブライアンズタイムと Dynaformer はタフで息が長いですね。ダービーダン方式の配合は長寿という面でも新たな個性を形作っているのかもしれませんね。グラスワンダーにも長生きをしてほしいものです。

>キスラー様

「一口馬主好配合馬ピックアップ」をお買い上げいただき誠にありがとうございます。あの企画は「自分が出資できるかどうか」という基準で選んでおり、取り上げたものは全頭出資してもいいと考える馬たちです。今後も120%本気で診断していきますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

Roberto と Ribot は相性がいいのは確かですし、代が離れていて効果はどうかなという場合でも、それがあるだけで安心できるところがありますね。たとえば名種牡馬 Dansili とその全兄弟なども、His Majesty が父方の3代前、Roberto が母方の4代前にあります。
http://www.pedigreequery.com/dansili

父デインヒル、母 Hasili のニックスにダービーダン方式が介在しているのではないか、といった仮説を立ててあれこれ考えるのは楽しいですね。Golden Trail がなくともそれはダービーダン方式だと思いますよ。

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