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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月 2日 (金)

ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(6)

ダービーダンファームにゆかりの深いわが国の競走馬はグラスワンダーだけではありません。現役時代にダービーを勝ち、ウオッカの父としても名高いタニノギムレットもそうです。

父ブライアンズタイムは以前ご紹介したようにダービーダンファームの生産馬です(正確にはジョン・フィリップスの母でジョン・W・ガルブレイスの娘でもあるジョディ・ガルブレイス)。

2代母タニノシーバードは、オーナーの谷水雄三氏が先代の急死によってカントリー牧場を受け継いで間もないころ、アメリカへ渡ってセリで落札した馬です。父 Sea Bird、母の父 Graustark は、いずれもダービーダンファームの繋養種牡馬。生産者はジョン・W・ガルブレイスなので、実質的にはダービーダンファームです。

父と2代母、すなわち血統の4分の3までがダービーダン血統で、同牧場の名種牡馬 Graustark を3×4でクロスさせています。あの重厚感あふれる万能型のキャラクターは、ダービーダンファームが作り上げた血統的個性を強く感じさせるものでした。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999100226/

Ribot は劇薬のような血で、正しい使い方をすれば素晴らしい効果を発揮します。そのかわり、使用量を守る必要があります。近い世代では単独で使ったほうがいいタイプです。強いクロスを作った場合、鈍重さ、硬さ、気性の難しさといったものを表しがちなので、決して扱いやすい血ではありません。ただし、稀にハマったときは大きな効果を発揮します。タニノギムレットはそうした稀有な例でしょう。

ブライアンズタイム、サンシャインフォーエヴァー、Dynaformer、Memories of Silver、Ryafan などは、いずれも Golden Trail の牝系から誕生しています。Roberto と Golden Trail を組み合わせると、Admiral Drake≒Roman、Flaming Swords≒Dinner Time という相似な血のクロスが生じます。
http://www.pedigreequery.com/admiral+drake
http://www.pedigreequery.com/roman

         ┌ Sunstar
       ┌○┤
Admiral Drake ┤ └ Maid of the Mist
       └ Plucky Liege

       ┌○┐
       │ └ Plucky Liege
Roman ――――┤   ┌ Sunstar
       │ ┌○┤
       └○┘ └○┐
             └ Maid of the Mist

http://www.pedigreequery.com/flaming+swords
http://www.pedigreequery.com/dinner+time

         ┌ Man o'War
Flaming Swords ―┤ ┌ High Time
         └○┘

         ┌ High Time
Dinner Time ―――┤ ┌ Man o'War
         └○┘

これが Roberto と Golden Trail の特別な好相性の鍵ではないか、と思われます。(続く)

     ――――――――――――――――――――
      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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コメント

>>栗山先生

やはり、ダンスインザダークで Graustark≒His Majesty のクロスの
馬の成功例は少ないのですね。
先生のおっしゃるっとおりだと、私も思いました。

さて…今日の更新も大変、内容の濃いお話で、楽しみにしておりました。


Golden Trail と、Robertoの相性が良いというお話は、
ブライアンズタイム、サンシャインフォーエヴァー、ダイナフォーマーという、3頭を具体例で出して頂いたので、非常に考えさせられる内容でした。


このパターンから、昨年度のキャロット募集馬で…
ラスリーズ (マチカネヒザクラの2009)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103077/


という馬が、先生の理論に合致します。


実は、春先まで残っていた馬で…出資候補の一頭だったのですが…
今回のダービーダン方式のお話を見た時に、すぐに…
この馬を思い出しました(^_^)

また、つづきのお話を…新たな更新を心待ちにしております。


いつも、大変な時間を割いて…返信下さる事を感謝しておりますm(_ _)m

Golden Trail と Roberto の組み合わせから誕生した著名な馬としては、ほかに Darby Creek Road などがいます。Affirmed と Alydar が叩き合った歴史的なベルモントS(G1)で3着となった馬でもあります。この馬は Graustark または His Majesty の血を挟んでいません。その血を抜きにこのレベルの馬が誕生するのですから、Roberto と Golden Trail にも何らかのニックス的なものがあったとみるべきではないかと考えます。

Golden Trail と Flower Bowl は、いずれもブルックミードステーブルが生産した馬で、ウィンストン・ゲストを経由してダービーダンファームが手に入れました。牧場の継続的な発展には超一流の繁殖牝馬の存在は欠かせません。ダービーダンファームは外部から牧場に入れる繁殖牝馬の選択も絶妙ですね。おそらくオリン・ジェントリーが選んだのでしょう。

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