ダービーダン方式の至宝 Dynaformer(1)
ヨークシャーオークス(英G1・芝12f)は8月18日にヨーク競馬場で行われました。「オークス」と名がつくものの3歳馬限定戦ではなく、20年前からは古馬も出走可能となっています。牝馬12ハロン路線の最強馬決定戦、といった位置づけです。
今年は4歳勢の Midday が2連覇を捨てて牡馬相手のインターナショナルS(G1)に回り、Snow Fairy が柔らかい馬場を嫌って回避したため、やや寂しいメンバー構成となってしまいました。勝ったのは1番人気の3歳馬 Blue Bunting。これで3つめのG1制覇です。
http://www.youtube.com/watch?v=gqbrPId6Wx8
今年の春、人気薄で英1000ギニー(G1・芝8f)を勝った際は、デットーリ騎手のファインプレーという印象しかありませんでした。7月の愛オークス(G1・芝12f)でスタミナを証明し、今回のヨークシャーオークスでタイトルを上積み。勝負強さが持ち味です。
父 Dynaformer もパワー十分ですが、母 Miarixa は「Linamix×Akarad」ですから道悪の鬼といえる配合。Blue Bunting の道悪巧者ぶりは主にこのあたりから受けた影響であるような気がします。
http://www.pedigreequery.com/blue+bunting
最近はヨーロッパで活躍するアメリカ産馬が減少傾向にあります。とくに12ハロン路線で通用するのは、Kingmambo、Dynaformer 産駒ぐらいでしょうか。両者とも高齢化しており、21歳の Kingmambo は昨年限りで種牡馬生活を引退しました。
しかし、26歳の Dynaformer はまだ現役バリバリです。繋養するスリーチムニーズファームが公示した11年の種付け料は15万ドル。これは A.P.Indy、Street Cry と並んで全米トップの価格です。22歳時の種付けで誕生した現3歳世代から、Blue Bunting のほかに White Moonstone(フィリーズマイル-英G1)、Brilliant Speed(ブルーグラスS-米G1)を送り出しており、老いてなお衰えない活力は瞠目すべきものです。
Dynaformer はアメリカで繋養されているので、アメリカ血統を持つ繁殖牝馬との交配が多く、これまでにビッグレースを勝った大物は、無敗でケンタッキーダービーを制した Barbaro を筆頭に、Mr.Prospector などのアメリカ血統を持つものがほとんどです。Blue Bunting の母はヨーロッパ血統で固められているので珍しいタイプといえるでしょう。(続く)
http://www.pedigreequery.com/barbaro4
度々お邪魔します。
ダービーダンと言えば日本ではブライアンズタイムを思い出します。
Golden Trail牝系についてはサンシャインフォーエバーもそうですが、「相似の配合」が興味深いところです。
ブログのネタがなくなると申し訳ないので、コメントはこの辺で終わりにして(笑)、続編の記事を楽しみに待ってます。
投稿: TACO | 2011年8月20日 (土) 10:02
お察しのとおり、その方向に話を持っていきたいと考えています(笑)。最近アメリカで気になる馬が出てきたので、そのあたりのアップデートな話もからめていけたら、と。
投稿: 栗山求 | 2011年8月21日 (日) 06:41