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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年6月 1日 (水)

Nureyev≒Sadler's Wells は道悪で花開く

日曜京都5Rの未勝利戦は、クレバーキング(3番人気)が後方から徐々に進出し、早め先頭で押し切りました。

道悪になるとキングカメハメハ産駒が台頭するケースが目につきます。とくに不良馬場の成績が良好です。「血統屋」ホームページに「Web 種牡馬辞典」というデータコンテンツがあるのですが、キングカメハメハの項を読むと「道悪は鬼」とあります。
http://www.miesque.com/j06-03.html

クレバーキングは母の父が Sadler's Wells。父キングカメハメハはそれと4分の3同血にあたる Nureyev を持っているので、Nureyev≒Sadler's Wells 4×2です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008101330/

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

キングカメハメハの父 Kingmambo は、Nureyev≒Sadler's Wells の4分の3同血クロスを持つ産駒が大成功しました。エルコンドルパサー(ジャパンC、サンクルー大賞典)、Henrythenavigator(英・愛2000ギニー)、Divine Proportions(仏1000ギニー、仏オークス)、Virginia Waters(英1000ギニー)など錚々たる顔ぶれです。したがって、キングカメハメハもこのクロスが成功するだろうと考え、初年度産駒はこの配合パターンをPOGで指名したりもしました。たしかショウナンサミットがそうです。しかし、走りませんでしたね。キングカメハメハ産駒におけるこの配合は総じて芝向きの軽いスピードを欠きます。

Sadler's Wells はヨーロッパ向きの重厚な血なので、道悪の適性が高いことで知られています。キングカメハメハ産駒の場合、この血が入ると重苦しさが前面に出てしまいます。ただ、その分、道悪は上手です。クレバーキングはこれまで5戦して4着が最高成績でしたが、不良馬場の今回、見事初勝利を挙げました。

エルコンドルパサーは父が Kingmambo で、母の父は Sadler's Wells。不良馬場の凱旋門賞で2着に粘ったのは血統的な背景のなせる業です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1995108742/

日曜東京4Rの未勝利戦(芝1800m)、水しぶきが上がる不良馬場のレースを勝ち上がったのはアルカセット産駒のファンフェアでした。アルカセットはキングカメハメハと同じく Kingmambo の息子です。そして、ファンフェア自身は2代母の父が Sadler's Wells。クレバーキングやエルコンドルパサーと同じ構造です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008105784/

Nureyev≒Sadler's Wells の4分の3同血クロスを持つ馬は、道悪になったら買いです。5代以内にこのクロスを持つ馬(エルコンドルパサーはすでに自身が持っているのでその産駒は除外)の馬場状態別連対率(芝)は以下のとおり。

良 ……14.9%
稍重……13.0%
重 ……25.8%
不良……35.0%

まさに道悪の鬼です。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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コメント

概論なのですが、サドラーズウェルズの血が2代目→3代目→4代目と変遷していく中で道悪適性とか底力の補強とかにつながっていく…

血統は本当に奥深い。

ヨーロッパナンバーワンの大種牡馬の血が日本で花開くのにも時間や累代を経ることが必要なのですね。
“ロマン”なんて一言で済ませられない、生産者や配合屋さんの意図や執念を感じられること。

血統を勉強していて、させて頂いてて、ホンマに幸せやなあ…と感じる瞬間。
いつもありがとうございます。

追記 プニプニヨークン、昨日の園田のA2戦で二番人気に推されましたが、ハナ切ること叶わず6着に敗れました。

しかし、中団から最後の直線で差し脚を伸ばし、負けはしましたがメンバー中上がり2位の末脚でした。
道悪でしたので、上がってくる馬も騎手も泥まみれでした。

途中あれだけ引っ掛かりながらのあの脚。

現場で見てたんですが、また泣いてしまいました(笑)。

次走以降も楽しみです。

血統はまさに生き物です。代を経るごとに変質していきます。同じ系統でも違った個性を身にまとうことは珍しくありません。配合とレースぶりを観察してそのあたりをフォローしていくことが大事ですね。

プニプニヨークンが敗れたのはクラスの壁かなと想像していたのですが、差して速い上がりを使うという競馬だったんですね。これが新たな境地を開拓するきっかけになるかも?

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