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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年5月12日 (木)

ケンタッキーダービーは Animal Kingdom(前)

5月は注目レースが目白押しで、国内レースを優先していると海外レースのフォローが追いつきません。

5月7日、ケンタッキーダービー(米G1・ダ10f)がチャーチルダウンズ競馬場で行われました。レース前日に昨年の2歳王者 Uncle Mo がスクラッチ。手綱を取るはずだったジョン・ベラスケス騎手はさぞかし落胆したことでしょう。しかし、運命とは分からないもので、代わりに騎乗した単勝オッズ20-1(21倍)の伏兵 Animal Kingdom で見事ケンタッキーダービー初制覇を達成しました。
http://www.youtube.com/watch?v=RxtLK9WT7J8

前走、スパイラルS(G3・AW9f)を勝って本番に臨んできたのですが、それまで一線級との対戦はありませんでした。「スパイラルSって何ぞや?」と思われるかもしれませんが、昨年まで「レーンズエンドS」として行われていたレースです。このレースは名称がコロコロ変わるので厄介です。80年代半ばから90年代後半までは「ジムビームS」でした。わたしなどはこの名称に慣れ親しんでいて、いまだにジムビームを飲む機会があると、ジムビームS→ブルーグラスS→ケンタッキーダービーという路線が酔いの回った脳裏に浮かんできます。Summer Squall や Hansel はこの路線を歩み、ケンタッキーダービーこそ勝てなかったものの、クラシックウィナーとなりました。20年も前の話です。

それはさておき、Animal Kingdom の血統はかなり興味深いものです。レース前、出走馬の血統表を眺めていたときに、「こんな血統でケンタッキーダービーに出てくる馬がいるんだなぁ~」と感心しました。「こんな血統」とは要するに“ダート競馬に適性がなさそうな芝血統”という意味です。じっさい、Animal Kingdom は過去4戦、オールウェザーと芝でしか走ったことがなく、ダートは初経験でした。
http://www.pedigreequery.com/animal+kingdom

父 Leroidesanimaux(ルロワデザニモーと読みます)はブラジル出身で、アメリカへ渡って芝G1を3勝し、05年に米芝牡馬チャンピオンに輝きました。日本ではただ1頭アーリーデイズ(現2勝)という産駒がデビューしています。わたしはこの馬をPOGで持っていました。血統的には中距離タイプですが1200m専門で、ダラッとした脚しか使えない馬です。Animal Kingdom のほかには Always a Princess(米G2インディアナオークスなど3つの重賞を制覇)を出しています。Leroidesanimaux 自身はアメリカ産の父とイギリス産の母から誕生しているので、血統にブラジルらしさはありません。
http://www.pedigreequery.com/leroidesanimaux

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コメント

Leroidesanimauxは、Dansiliのいとこですよね。血統だけ見たら芝でこそと思いますよね。

ケンタッキーダービーと関係ない話題ですが、コメントさせてください。 ローズキングダムの宝塚記念、武豊騎手からウィリアムズ騎手への乗り替わりについでです。個人的に納得できない乗り替わりですね。確かにジャパンカップ以降勝ってませんが、正直誰が乗っても勝ってないと思います。武豊騎手が特別下手に乗ってる印象もないですし、今の騎手成績で判断しすぎなのでは。今の有力馬はまず外国人騎手への流れは嫌ですし、自分と同じ気持ちの人も多くいるはずです。以前に有力馬は武豊騎手に乗り替わる流れがありましたが、あの時と同じくらい不快ですね。人と馬のつながりはドラマもありますし競馬の魅力の一つだと感じているのですが…。競馬が好きですし競馬界全体が盛り上がると嬉しいです。だからこそこういうニュースは残念ですね。

いつも楽しみに拝見させていただいてます。


父と母ともに世界的に異系の部類に入ると思いますが、特に父のルロワデザニモーの今後は栗山さん的にどういった見解をお持ちですか?

ブッラッシングブルーム系で日本でも特に母系でいい働きをしている馬が数多くいます。
もしかしたら日本でも大物を排出してくれるんではないかという期待を持ってます。

まだまだ素人ですが、ご回答楽しみに待っています。

>いなりわん様

おっしゃるとおり Dansili のいとこ、という点は大きなセールスポイントだと思います。Blushing Groom 系の栗毛、そして初ダートを難なくこなしたことからアラジ(全欧2歳チャンピオンでBCジュヴェナイルを制覇)を思い出しました。

>ユウ様

外国人騎手ならミラクルを起こしてくれるんじゃないか、という期待感が馬主&調教師サイドにあるのは確かだと思います。もちろん、それが正しい判断かどうかは別問題です。一枚上だなと思える腕達者がいる一方、そうでもない騎手も存在します。来日間もない外国人ジョッキーに有力馬がどんどん回っているのを見ると、ちょっと首を傾げたくなります。現在は舶来騎手信仰の高揚期ではないかと思うので、やがて落ち着くべきところに落ち着くのではないでしょうか。

>エモシオン様

いつもお読みいただきありがとうございます。Leroidesanimaux の現役時代はマイル前後で強かったですし、血統もいいですね。Dansili など活躍馬を続出させた大繁殖牝馬 Hasili と血統構成が似ています。この点に注目してひょっとしたら大成功も……と思って産駒アーリーデイズをPOGで指名したのですが、初年度産駒はわたしの期待ほどは走らず、ちょっと買いかぶりすぎたかなと思ったところへ、Animal Kingdom が大仕事をやってのけました。ヨーロッパ血統と相性がいいので、そのうちヨーロッパで名を成す産駒も出てくるのではないでしょうか。もちろん日本でも期待できると思います。

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