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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月29日 (金)

Sadler's Wells 死亡(前)

「この種牡馬は凄いんじゃないか?」と初めて感じたのは88年のデューハーストS(英G1・芝7f)です。英2歳チャンピオン決定戦というべきレース。この年は、新種牡馬 Sadler's Wells を父に持つ Prince of Dance と Scenic が1着同着で勝利を分け合いました。

Sadler's Wells は現役時代、愛2000ギニー(G1・芝8f)など3つのG1を制しました。ただ、3歳春は同じヴィンセント・オブライエン厩舎に所属する El Gran Senor(英2000ギニー、愛ダービー)との使い分けによって、裏街道を歩まざるをえませんでした。

冒頭のデューハーストSには El Gran Senor の初年度産駒 Saratogan も出走していました。結果は3着。Sadler's Wells は現役時代の鬱憤を晴らすかのように、種牡馬としては El Gran Senor よりも格上であると示したのです。

初年度産駒にはこのほか、オールドヴィック(仏ダービー、愛ダービー)、In the Wings(BCターフ)、フレンチグローリー(ロスマンズ国際S)などがいます。当時から Northern Dancer 系の真打ち登場、という別格の扱いでしたね。

血統面の優秀さも評判を後押ししたと思います。母 Fairy Bridge は Nureyev の半姉。そして、Sadler's Wells と Nureyev はいずれも Northern Dancer を父に持ちます。要するに両者は4分の3同血(父が同じで母が親子)です。
http://www.pedigreequery.com/sadlers+wells
http://www.pedigreequery.com/nureyev

         ┌ Northern Dancer
Sadler's Wells ―┤
         └○┐
           └ Special

         ┌ Northern Dancer
Nureyev  ――――┤
         └ Special

Nureyev は当時すでに Miesque、Theatrical、Sonic Lady といった産駒を出して大ブレイクしており、その4分の3同血ですから成功は堅い、と見られていました。ちなみに、この2頭を使った4分の3同血クロスはポピュラーなもので、今週の天皇賞・春に出走するコスモメドウなどはこのパターンです(Nureyev≒Sadler's Wells 4×2)。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007110045/

産駒がデビューして3年目の90年に英愛リーディングサイアーに輝き、翌年、ジェネラスを擁する Caerleon にタイトルを譲ったものの、92年に奪回すると04年まで13年連続でその座を守りました。通算14回、13年連続という記録は、18世紀の大種牡馬 Highflyer の通算13回、12年連続を上回る新記録です。(続く)

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