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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年4月11日 (月)

桜花賞はマルセリーナ

フォーエバーマークが緩みのないペースで逃げ、締まったラップの好レースとなりました。34秒台前半の上がりで後方から飛んできた上位3頭の力が抜けていたと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=wvBG6JNtrPY

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は○◎▲で的中。馬連620円、3連複1480円でした。ウマニティは連単マルチで買っているので馬単1230円、3連単5880円的中です。

勝った○マルセリーナ(2番人気)はこれで4戦3勝。先着を許したのは牡馬のレッドデイヴィスとオルフェーブルのみですから、牝馬同士ではトップクラスの力量の持ち主であることは明らかです。父ディープインパクトはいうまでもなくサンデーサイレンスの最高傑作。種牡馬としても2歳種牡馬記録をことごとく塗り替えるなど、期待どおりの成功を収めつつあります。最初のクラシックレースで見事に勝ち馬を送り出しました。今年のセレクトセールでは人気沸騰となるでしょう。

マルセリーナはスタートの出が悪く、4コーナーでは後方のインという絶望的な位置取り。しかし、1頭分だけ開いた進路をうまくすり抜けることができました。もちろん詰まっていたらアウト。運も実力のうちです。狭いスペースを抜けてこられたのも、一瞬でビュンと伸びる脚があるから。これがある馬は馬群をこじ開けることができます。ウオッカなどはそうでしたね。速い脚を使えない馬は、モタモタしているうちにドアが閉まって終了です。

母マルバイユはアスタルテ賞(仏G1)など3つのマイル重賞を制した名牝。母の父 Marju、2代母の父 Distant Relative は欧州マイルG1の勝ち馬。この距離は合います。母方に入るラストタイクーン、Habitat、Round Table は父ディープインパクトと相性がいい血です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103009/

ディープインパクトとラストタイクーンの組み合わせからは、ほかにターゲットマシン、レッドディアーナ(素質を高く評価されながらもデビュー前に病死)などが出ています。一方、Habitat との組み合わせからは、Barocci、リトルダーリン、テンペルなどが出ています。いずれも回転の速いフットワークを伝えるスピードタイプの血で、大トビの父ディープインパクトとフィットするのだと思われます。Danzig なども似た傾向の血です。

Burghclere≒Welsh Flame 3×4が底力をサポートしているほか、薄いながらも名牝 Pocahontas のクロス(5×8)があります。代が遠いので効果あるかどうかは別として、ディープインパクト産駒のこのクロスは好きなパターンではあります。あとはディープインパクト自身が持たない名血、たとえば Nasrullah、Ribot、Tom Fool、Djebel あたりを母方から複数取り込んでいるのは好感が持てますね。

前述のとおり、母は競走成績も血統もマイラー型ですが、ディープインパクトはそうしたタイプの繁殖牝馬を相手にして、意外に距離をこなす産駒を出す傾向があります。2400mはベストではないものの守備範囲内ではないかと思います。安藤勝己騎手も「距離が延びても大丈夫なタイプ」(ラジオNIKKEI競馬実況web)と語っています。今回は序盤にやや行きたがるシーンがあったので、そのあたりが出なければ、といったところでしょう。

2着◎ホエールキャプチャ(1番人気)は16番枠がアダとなりました。内に潜り込むことができずに終始外を回らされ、4コーナーでは内から張られてさらなる距離ロス。勝ち馬とは実力差はないと思います。こちらも2400mはこなせるでしょう。

3着▲トレンドハンター(4番人気)にマイル戦は忙しいですね。2400mのほうが断然いいタイプです。

4着△メデタシ(11番人気)は前走のチューリップ賞(3着)で、2着ライステラスよりもはるかにいい競馬をしていました。ここにきて上昇しています。

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桜花賞はマルセリーナを参照しているブログ:

コメント

マルセリーナは、スタートが悪く道中の位置取りも後方で、直線も前が開かずにハラハラしましたが、強引にコジ開けた後は弾けてくれました。ディープ産駒のG1制覇一番乗りですね。
ディープ×ラストタイクーン系は、栗山さんが推奨されていた配合で、初年度から見事な結果を出しました。
また、マルセリーナの血統には、非常にハイペリオンの血が多く含まれており(ホーンビームの名前もありますね)、そのへんも大レースでの強さにつながっているのかもしれません。
それから、個人的には、マルセリーナの馬体の変化に驚いています。
POG本に掲載されたマルセリーナの画像は、胴に伸びがなく、極端な腰高で、牝馬によく見られる後駆でスピードとキレを生み出すマイラー体型でした。
しかし、桜花賞直前の雑誌に載った画像では、胴に伸びが出ていて、とくに前駆が大きく発達し、胸前の筋肉は牡馬なみの盛り上がりでした。
短期間にこれだけ馬の形が変わるくらいの変化は、やはりハイペリオンの賜物でしょうか。
ディープ産駒で馬の形が急激に変化した例として、牝馬の代表例がマルセリーナだとすれば、牡馬ではトーセンラーだと思います。
POG本の頃のトーセンラーは、前駆と後駆はガッチリしているものの、胴に伸びがなく、全体に小さくまとまっている印象でした。
しかし、きさらぎ賞の頃には、無駄な肉が削ぎ落とされ、急激に父ディープそっくりな馬体へと変貌していました。
トーセンラーは、マルセリーナ以上にハイペリオンの血が多く、トゥザグローリーと較べても遜色ありません。
ハイペリオンの力というのは凄いものだと、あらためて感心させられました。

追伸
ディープ産駒は、年が明けて1~2月には全体に成績が下降気味でしたが、暖かくなって完全に盛り返してきました。
一般に晩成寄りの血統にとって、年明けの1~2月はもっとも鬼門な時期で、早熟な馬だけでなく普通タイプの馬にまで追い越される苦しい季節です。2歳時には素質だけで勝てた相手が成長してきて、一時的に逆転されるケースも多いでしょう。
一部では、こうした状況を「失速」と捉える向きもあったようですが、個人的には必然だと考えています。
ディープ産駒の3歳1~2月の不振は、おそらく来年以降も繰り返されるでしょう(こればかりは打開策が無さそうです)。
今回の桜花賞でも、マルセリーナの成長とは対照的に、ハブルバブルやメデタシの馬体には成長途上を強く印象づけられました。
抽選にもれてニュージーランドTにまわったドナウブルーなどは、1頭だけ2歳馬が紛れこんだかのようでした。ドナウブルーの母は、2歳時がピークの早熟馬でしたが、その母からドナウブルーのような馬が出るということは、かなり晩成的な要素があるということになりそうです。
ディープ産駒の本当の活躍は、むしろこれからなのかもしれませんね。

こんにちは。

桜花賞は堅めで買い目絞った結果…(泣)
前日まではやたらと内目有利でダンスファンタジア◎と決めていたのですが、日曜日は打って変わって外伸びに変わった感じがして、急遽外目枠の予想に変えたまでは良かったのですが。
雨の影響もあったのでしょうが馬場の予想も大変です。

>toku 様

おっしゃるとおり、マルセリーナの母マルバイユは Hyperion だらけです。イギリスのスプリンター~マイラー血統は、Hyperion がベースとなっていて、そこがアメリカ系の血と大きく異なる点です。トーセンラーの母プリンセスオリビアも、ハイハット≒Aureole 4×5に Sadler's Wells ですから迫力十分です。成長力の有無というのは競走馬にとって大きなファクターで、クラシックの時期になるとそれは痛感します。勝ち上がりのいい配合と、クラシックで勝負になる配合は、この時期になると鮮明に色分けされてきますね。

種牡馬ごとの活躍サイクルというのは、個性を把握するためにも重要な視点だと思います。晩成型であることと3歳1~2月の失速をリンクさせる発想はおもしろいですね。馬を仕上げる側は、初年度のディープ産駒の走りから教訓を得て、2年目以降、またいろいろ工夫してくるでしょう。それで変わってくる部分と変わらない部分があり、後者はその馬に備わった本質的なキャラクターですから、このあたりをヒントに種牡馬ディープインパクトの個性を解き明かしていきたいですね。ベタな表現で恐縮ですが上質の推理小説のようです。

>ダッテン牧場様

わたしもこの土日、最も多くの労力を注いだのは馬場予想だったような気がします(笑)。馬の予想よりも難しかったです。馬場は生き物ですね。うまいジョッキー、うまい競馬ファンは、このあたりの風向きを読む力に長けています。わたしは見込み違いばかりでイマイチでした……。

お疲れさまです、栗山さま。私の桜花賞馬単馬券は桜の花びらのように散りました、マルセリーナ単勝のみ的中。マルセリーナ→トレンドハンター馬単1点のみは撃沈(涙)ホエールキャプチャはクロフネ産駒で嫌ったんですよ~成長度?クイーンCのレベルor直行、馬体減など考えて‥。オークスでも上位3頭の着順が入れ替わるだけの様な気がします、授業料払ったと思って皐月賞で出直しです。

マルセリーナの単勝はお見事です。馬単惜しかったですね~。わたしは直前までどっちにしようか二択で迷ったのですが、結局ホエールキャプチャに……。皐月賞もまた悩ましいレースです。開幕週なので前が止まらない馬場でしょうか。しかし、同条件のフローラSでは案外差しが決まったりもします。

こんにちは。

昨日投稿させていただいたのですが、
もしかしてちゃんと投稿できてなかったかと思い、
再度させていただきました。
重複していたら申し訳ありません。
もしくはあまりにも幼稚な質問だったので、
取り上げられなかったのかな…と。

僕はマルセリーナを本命にしたのですが、それは種牡馬も気になったからです。

近年の桜花賞勝ち馬を種牡馬で考えてみると、
サンデー直仔、アドマイヤベガ、アグネスタキオン、フレンチデピュティ(母父SS)、
スペシャルウィーク、キングカメハメハとダービー馬輩出もしくは自身がダービー馬や、
もしくは東京のマイルG1に強い種牡馬が多いかな?と。

特に近年はオークスに直結することが多いので、こんなアプローチも面白いんじゃないかと。
そして今年の出走馬で当てはまるのはディープ産駒かクロフネ産駒(母父SS)でした。

あと今年のトライアルはマルセリーナのシンザン記念も含めて、
結構中身が濃いレースが多かったと思っています。
例年以上に中間ラップの締まったというか、単にスローという訳では無いような…
ですので断然人気のレーヴが離脱したのなら、別路線組の台頭があってもいいかと。

単なるこじつけかもしれませんが、クラシック血統ってあるのでしょうかね?
ダービー馬の仔はダービー馬といったように。

よろしくお願いいたします。

お手間をお掛けしてしまい申し訳ありません。投稿の記録を探してみたのですが見当たらないので、おそらくシステム上のバグなどで反映されなかったものと考えられます。お詫びいたします。

マルセリーナ本命はお見事です。たしかにここ最近の桜花賞を見るとそのような傾向が見られますね。東京コースのG1、とくにダービーが種牡馬選定レースとして有効に機能しているということなのでしょう。社台グループがそのタイプの競走馬に種牡馬としての価値を見出し、良質の繁殖牝馬をあてがうということでもあると思います。

クラシックは質の高いメンバーが集まるので厳しいレースになることが多く、そこで強い血統というのは要するに底力がある血統です。かなり乱暴に種牡馬を4パターンに分類すると以下のようになります。

(1)コンスタントに走るけれど大レースに弱い種牡馬
(2)アベレージは低いけれど大レースに強い種牡馬
(3)コンスタントに走り大レースにも強い種牡馬
(4)アベレージが低く大レースでも勝負にならない種牡馬

クラシック血統のカテゴリーに入るのは(2)と(3)です。サンデーサイレンスは(3)で、サンデー系はさまざまな個性はあるにしても基本的にはクラシック血統です。山野浩一さんは(1)のタイプをハンディキャップ血統と呼びました。これは分かりやすい概念だと思います。

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