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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年3月

2011年3月 2日 (水)

好調ネオユニヴァース産駒のエチゴイチエ

■土曜阪神6Rの新馬戦(芝2000m)は、好位追走の◎パッションダンス(1番人気)が抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=ljqOm-7qjaY

予想文を転載します。

「◎パッションダンスは『ディープインパクト×ジェイドロバリー』という組み合わせで、4分の3姉にアドマイヤキッス(重賞4勝)がいる良血。4頭の兄姉はいずれもデビュー戦で連対しており、初戦にきわめて強い血統でもある。ディープインパクト産駒も芝新馬戦で連対率47.6%。この条件は強いだろう。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103125/

これで兄弟5頭すべてデビュー戦で連対したことになります。新馬戦に強かった母の父ジェイドロバリーの影響でしょうか。ジェイドロバリーは従兄弟に Sadler's Wells や Fairy King、伯父に Nureyev がいる超良血ですが、母の父としてはもうひとつ。父としてそうだったように母の父としても底力に欠け、大レースでは信用できないところがあります。JRAの平地G1を勝った馬はまだ出ていません(障害ではキングジョイが中山大障害を2連覇)。ただ、芝の平地G1における最高成績は、本馬の4分の3姉アドマイヤキッスが記録した桜花賞(G1)2着なので、母の父がジェイドロバリーであっても、本馬に関しては大物感という面で懸念する必要はないかもしれません。

母方に Lyphard、Mr.Prospector、“Northern Dancer & Special”(たとえば Sadler's Wells、Fairy King、Nureyev、Number など)を併せ持つディープインパクト産駒には、トーセンラー(きさらぎ賞)、ハブルバブル(新馬勝ち。木・金のエントリーで紹介予定)、そして本馬がいます。

騎乗したリスポリ騎手は、「ヨーロッパの競走馬によくいるタイプの感じだった」(『週刊競馬ブック』)というユニークなコメントを残しています。あえてコメントするぐらい印象的だったということは、日本のほとんどの競走馬はヨーロッパのそれとはタイプが異なるのでしょう。もちろんそれは誰もが感覚的に分かっていることだとは思うのですが、具体的にどう異なるのか、できることならもっと詳細に訊いてみたいところです。

■土曜中山6Rの新馬戦(芝2000m)は、△エチゴイチエ(1番人気)が豪快に抜け出しました。
http://www.youtube.com/watch?v=M__giVavfKo

ネオユニヴァース産駒の3歳世代は年明けから絶好調。1、2月のわずか2ヵ月間で17勝を挙げています。これは全種牡馬のなかでアグネスタキオン産駒の18勝に次いで第2位。ディープインパクト、(16勝)、キングカメハメハ(13勝)、マンハッタンカフェ(13勝)を上回っています。昨年の同時期は11勝、一昨年は6勝だったので、大きく数字を伸ばしていることが分かります。なかでも芝1800~2000mの新馬戦では連対率38.5%、単勝回収率205%、複勝回収率240%という抜群の成績です。

エチゴイチエは「ネオユニヴァース×エリシオ」という組み合わせ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102911/

父ネオユニヴァースは、母方に Sadler's Wells や Nureyev を入れた配合からパンチの効いた産駒を出す傾向が見られます。ロジユニヴァース、アンライバルド、ゴールスキー、アイアムネオなどがこのパターン。Sadler's Wells は決して素軽い血ではないので、ネオユニヴァースと組み合わせる場合、スピードタイプの血を添えたいところです。エチゴイチエが母方に抱える Fairy King は、全兄の Sadler's Wells よりも速いタイプですが、エリシオを経由しているのでスピード感はありません。

これはネオユニヴァース産駒ではありませんが、“父サンデー系、母の父エリシオ”という共通点を持つサダムパテック(弥生賞に出走予定)は、2代母の父が Mr.Prospector です。同じく母の父にエリシオを持つコスモヘレノス(ステイヤーズS)も2代母の父は Mr.Prospector です。こういう血のサポートがないと鈍重さが前面に出てしまう危険性が高まります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102652/

エチゴイチエはハーツクライの従兄弟にあたる良血で、同じくサンデー系のサイアーラインに属しています。したがって、ハーツクライの配合的なキーポイントである Nothirdchance≒Revoked という相似な血のクロスを持ちます(5×5)。エチゴイチエの配合ではこれが思った以上に効果的なのかもしれませんね。このクロスについては、一昨年12月5日のエントリー「ミカエルビスティーと『Nothirdchance≒Revoked』」で解説しておりますのでご参照くださいませ。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2009/12/nothirdchancere.html

東京よりも中山のほうが良さそうな配合で、山吹賞(中山芝2200m)あたりはぴったりという気がします。

2011年3月 1日 (火)

阪急杯はサンカルロ

1400mという距離は、馬によって得手不得手がはっきりし、得意な馬は繰り返し好走する傾向があるように思います。阪急杯(G3・芝1400m)は、同競馬場・同距離で行われる年末の阪神C(G2・芝1400m)と結びつきが深いレースです。過去、阪神Cで連対した馬が4頭出走し、2頭が連対して1頭が3着という好成績です。

今年は、阪神Cの出走馬が2頭しかいませんでした。その2頭が、今回連対した○サンカルロ(4番人気)と◎ガルボ(1番人気)。この2頭の阪神Cは散々なレースでした。サンカルロは行くところ行くところ壁になって力を出せず。ガルボはインで詰まってしまいました。まともならこの2頭は勝ち負けになっていたでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=7OvRTrI-opE

阪神Cで勝ち負けになる馬なら、阪急杯でも当然好勝負になります。今回、枠なりでインを進んだガルボは、直線でやや窮屈になるシーンがありました。動きたいときに動けなかったのが痛かったですね。外を回ったサンカルロは、その間に抜け出してセーフティリードを取っていました。
http://www.youtube.com/watch?v=K-QG13qZSEk

『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想は○◎で馬連1270円、○◎△で3連複3500円的中。『ウマニティ』は連単系マルチ馬券なので馬単3300円、3連単22840円的中です。

サンカルロの母ディーバは3勝馬で、2代母ミスセクレトは伊2歳チャンピオン。母方に Mr.Prospector が入るシンボリクリスエス産駒は成功しており、とくに Crafty Prospector を持つものは、デビューした4頭中3頭が新馬勝ちを果たしています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102822/

サンカルロで思い出すのは新馬戦(東京芝1600m)。のちにラジオNIKKEI賞(G3)で3着となるストロングリターンが同じレースに出走しており、わたしはPOGの持ち馬でもあった同馬が本命、サンカルロは対抗でした。両馬は「シンボリクリスエス×Mr.Prospector 系」なので配合構造がそっくり。レースは、好位から抜け出したサンカルロが勝ち、出遅れて後方から猛追したストロングリターンがアタマ差2着。その後、わたしはずっとストロングリターン優位説を唱えていたのですが、サンカルロはそれをあざ笑うかのように3歳春に重賞(ニュージーランドT)を勝ち、今回、ふたつ目の重賞を手にしました。成績面では差をつけられましたが、ストロングリターンは気性難が出世を妨げたので、素質面の優位説を心のどこかでいまだに捨てきれていません^^
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006102934/

前哨戦で好走したシンボリクリスエス産駒は本番で軽く見ることにしているので、次走の高松宮記念(3月27日・G1・阪神芝1200m)では△ぐらいでしょうか。

競馬王 2011年11月号
『競馬王11月号』の特集は「この秋、WIN5を複数回当てる」。開始から既にWIN5を3回的中させている松代和也氏の「少点数に絞る極意」、Mr. WIN5の伊吹雅也氏が、気になる疑問を最強データとともに解析する「WIN5 今秋の狙い方」、穴馬選定に困った時のリーサルウェポン、棟広良隆氏&六本木一彦氏の「WIN5は『穴馬名鑑』に乗れ!」、オッズから勝ち馬を導き出す柏手重宝氏の「1億の波動(ワオ!)」、亀谷敬正氏&藤代三郎氏が上位人気の取捨を極める「迷い続ける馬券術」、夏競馬期間中WIN5を6戦3勝している秘訣を探る「赤木一騎の次なる作戦」など、この秋、一度ならず二度、三度とWIN5を的中させるための術が凝縮されています!! また「大穴の騎手心理」では、世界を股にかけるトップジョッキー・蛯名正義騎手をゲストにお迎えしました。その他、今井雅宏氏の「新指数・ハイラップ指数大解剖」や、久保和功氏の「京大式・推定3ハロン」など、盛り沢山の内容となっています!!