Iffraaj と Park Appeal 牝系(前)
昨年、ディープインパクトは新種牡馬の勝利数新記録を樹立しました。勝ち上がり頭数は、中央34頭、地方1頭で計35頭と、これも新記録です。従来の記録は03年にトワイニングが記録した34頭(中央10頭、地方24頭)でした。ただ、トワイニングの場合、日本にやってくる以前にアメリカで種牡馬生活を送っていたので、厳密な意味での新種牡馬というわけではありません。
世界に目を向けてみると、昨年、新種牡馬の勝ち上がり頭数ナンバーワンだったのは Iffraaj(父 Zafonic)。その数38頭。これはヨーロッパ繋養の新種牡馬としては新記録でした。
http://www.pedigreequery.com/iffraaj
Iffraaj は「イフラージ」と読みます。その語感から察するとおりダーレーグループの馬で、現在、モハメド殿下がアイルランドで所有するキルダンガンスタッドに繋養されています。2011年の種付料は15000ユーロ(約165万円)。昨年は6000ユーロだったので、初年度の成功を受けて一挙に2.5倍となりました。
代表産駒の Wootton Bassett は、昨年秋の凱旋門賞当日、ロンシャン競馬場で行われたジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を逃げ切りました。当日、現場で見ていたのですが、リズミカルなピッチ走法でスイスイと走る姿が印象的でした。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg
それまで4戦全勝ながら一般戦での出走経験しかなく、しかもイギリスからの遠征馬とあって力関係が把握できず、4番人気と伏兵の1頭に過ぎませんでした。Iffraaj の評判はその時点で鳴り響いていましたが、大物を出したというニュースは耳にしていなかったので、勝ち上がりだけ得意なスピードタイプかもしれないとタカを括って馬券から外したところ、鮮やかに勝たれてしまい、凱旋門賞の軍資金を減らしてしまったという苦い記憶があります。
http://www.youtube.com/watch?v=raN_FsHh7Qg
http://www.pedigreequery.com/wootton+bassett
それはともかく、この勝利がモノをいって、2010年の全欧2歳種牡馬ランキング(英愛仏伊独の獲得賞金)では Galileo に次ぐ第2位でした。繁殖牝馬の質が低いなかでのこの成績ですから、能力は高いと思います。もっとも、あくまでも2歳戦に限った成績なので、成長力についてはこれから試されることになります。Wootton Bassett のほかには、10月に仏ドーヴィル競馬場で行われたレゼルヴォワール賞(G3・芝1600m)を Espirita が勝っています。(続く)
http://www.pedigreequery.com/espirita6
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