強い牝馬クロス+Ribot 系
6月8日のエントリー「仏ダービー、英ダービー」で、Machiavellian について触れました。それについて読者の方からご質問があったので、お答えしたいと思います。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/06/post-f907.html
Machiavellian は、現役時代は3戦全勝で仏2歳チャンピオンとなり、3歳時の英2000ギニー(G1・芝8f)はラチ沿いに押し込まれる不利があり2着。スムーズな競馬ができていれば勝っていたかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=9e08GlaJuzo
この馬の成功は、母 Coup de Folie の配合パターンに負うところが大きいでしょう。偉大な繁殖牝馬 Almahmoud を3×3というクロスの形で持っています。
http://www.pedigreequery.com/coup+de+folie
Coup de Folie はオマール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬で、繁殖牝馬としては歴史的な成功を収めました。前出の Machiavellian のほかに、Exit to Nowhere(ジャックルマロワ賞-仏G1、イスパーン賞-仏G1)、Coup de Genie(モルニ賞-仏G1、サラマンドル賞-仏G1)、ハイドロカリド(アスタルテ賞-仏G2)、Ocean of Wisdom(ラロシェット賞-仏G3)といった優駿を送り出しています。
Coup de Folie の配合は、ある大種牡馬の構成と非常によく似ています。子孫が世界的に大繁栄しているデインヒルです。
http://www.pedigreequery.com/danehill
Coup de Folie は、Almahmoud 3×3で、母の父は Ribot 系の Hoist the Flag。一方、デインヒルは、Almahmoud の娘 Natalma の3×3で、母の父は Ribot 系の His Majesty です。
要するに、いずれも名牝の強いクロスを持ち(しかも双方がクロスさせた馬は親子の関係にあります)、底力に秀でた Ribot 系を母の父に持ちます。Coup de Folie もデインヒルも、サラブレッド生産界の歴史のなかで巨人といえる存在です。2頭が似たような配合パターンから誕生したことは偶然とは思えません。優れた能力をコンスタントに伝える何ものかがこの配合に秘められているのでしょう。ここから学べるものは少なくないと思います。
須田鷹雄さんが主宰する光文社POGの07-08年の大会で、私はダービー馬ディープスカイ(父アグネスタキオン)を指名して幸運にも優勝することができました。
ディープスカイの母アビは、Coup de Folie とデインヒルを連想させる配合パターンです。Miss Carmie 4×3という牝馬クロスを持ち、母の父は Ribot 系の Key to the Mint。“強い牝馬クロス+Ribot 系”という、まさに公式どおりの配合です。
http://www.pedigreequery.com/abi2
名牝の強いクロスを母方に持つ、というパターンは、名種牡馬によく見られます。Seattle Slew、その息子 A.P.Indy、古くは Hyperion などもそうですね(Seattle Slew は全きょうだいクロス)。
http://www.pedigreequery.com/seattle+slew
http://www.pedigreequery.com/ap+indy
http://www.pedigreequery.com/hyperion
ディープスカイは現在、日高町のダーレージャパンスタリオンコンプレックスに繋養されています。きっと成功するでしょう。
非常に良く理解できました。やっぱり良い畑とういかボトムラインと言うのは非常に大事なのですね。これから「母方の名牝の強いクロス」注意して見てみます。オーストラリアから本当にありがとうございました。
投稿: Bucchi | 2010年6月13日 (日) 23:55
本日帰還しました。
ちなみにエルコンドルパサーも母に Special=Lisadell 3×2という牝馬の全きょうだいクロスがあります。
ソシアルバターフライ3×3のトウショウフリートは、ほんのわずかな産駒しか残しませんでしたが、シーイズトウショウの母の父となりました。
こういう血が母方に入った場合は要注意ですね。
投稿: 栗山求 | 2010年6月15日 (火) 23:16