Busted の影響が強いヴィクトワールピサ
先日、『競馬王』の企画で亀谷敬正氏と対談したときに、彼がおもしろいことを発言していました。5月号から引用します。
「ヴィクトワールピサは僕の知人がオーナーに購入を奨めたんですが、その人がヴィクトワールピサはバステッドとそっくりだと言ってましたよ」
じつは昨年夏、セレクトセールの取材に行った際、亀谷氏と一緒にその方と食事をする機会に恵まれました。この世界では引く手あまたの目利きで、数語交わしただけで本物と感じさせる見識をお持ちの方でした。
その方が「ヴィクトワールピサはバステッドとそっくり」と言ったと聞いて、帰宅してから Busted の立ち姿とヴィクトワールピサの馬体を見比べてみたところ、たしかに瓜二つでした。Busted のほうがやや腰高で顔が大きいのですが、脚が長くいかにもステイヤーらしい体型は薄気味悪いほど似ています。半兄のアサクサデンエン、スウィフトカレントとは明らかに違います。
ヴィクトワールピサの血統表を見ると、Busted の父 Crepello(英ダービー、英2000ギニー)をクロスで持っています(6×5)。また、Busted の母 Sans Le Sou は、ネオユニヴァースの3代母 Boulevard と血統構成がよく似ているので、Boulevard≒Sans Le Sou 4×5と表現できます。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102923/
http://www.pedigreequery.com/boulevard
http://www.pedigreequery.com/sans+le+sou
┌ Fair Trial
┌○┘
┌○┤ ┌ Portlaw
Boulevard ―┤ └○┘
│ ┌ Wild Risk
└○┘
┌ Wild Risk
┌○┘ ┌ Fair Trial
Sans Le Sou ┤ ┌○┘
└○┤ ┌ Portlaw
└○┘
つまりヴィクトワールピサは、Busted の父母(Crepello と Sans Le Sou)をしっかり強化した配合だからこそ、馬体にその特徴がよく表れているのではないかという気がします。
そして、それぞれの対応する血(父方の Crepello と Boulevard)がいずれもネオユニヴァースの母ポインテッドパスに含まれているので、同じサンデー系であっても兄スウィフトカレントとは性質が異なるのでしょう。
Busted は、2~3歳時はごく平凡な競走馬に過ぎなかったのですが、4歳を迎えて本格化し、コロネーションS(芝10f)、エクリプスS(芝10f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝12f)、アンリフォワ賞(芝2200m)と4連勝。英年度代表馬に選ばれました。Bustino、Mtoto、Erins Isle などを送り出した近年のイギリスを代表するステイヤー血統で、日本ではホクトボーイ(天皇賞)の母の父、ディープインパクトの2代母の父にこの血を見ることができます。
ヴィクトワールピサは Busted を強化しているので、2400mに距離が延びることについては心配いらないでしょう。
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