ドクタースパート死す
88年の3歳世代は、オグリキャップ、サッカーボーイ、スーパークリークなど競馬史に名を刻むスターホースが目白押し。2つ下の90年世代も、メジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマーのメジロ三銃士が現れて賑やかでした。しかし、その間に挟まれた89年世代はひたすら地味で、結果的に最も目立った馬は15歳まで走ったミスタートウジンだったような気がします。
ドクタースパートはあまり強いとはいえない世代の皐月賞馬。道営競馬の出身です。地方競馬でデビューした馬が牡馬クラシックを勝ったのは、いまのところこの馬が最後です(牝馬はオグリローマンが94年の桜花賞を勝っています)。地方出身の皐月賞制覇はその16年前にハイセイコーが成し遂げていますが、ドクタースパートとハイセイコーは同じダルモーガンの牝系から誕生しているという共通点があります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1986101204/
ダルモーガンは大井競馬場がオーストラリアから輸入した牝馬で、俗にいう「豪サラ」。ハイセイコーはチャイナロックの子、ドクタースパートの母の父タケシバオーもチャイナロックの子なので、両者は牝系が同じというだけでなくチャイナロックが入る点も同じです。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a000b7f/
ドクタースパートは新冠の須崎光治さんが生産しました。須崎光治さんといえばスズユウ(東京ダービー、帝王賞、東京大賞典)の生産者としても知られています。スズユウはドクタースパートの2代母の半弟。ややこしいので牝系図に示します。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1978103154/
ダルモーガン(f.1950.Beau Son)
ロンジー(f.1954.ビッグヴイ)
│パルスター(f.1966.シプリアニ)
│ ロダンエーコ(f1.1972.ロダン)
│ │ドクターノーブル(f.1980.タケシバオー)
│ │ ドクタースパート(c.1986.ホスピタリテイ)
│ スズユウ(c.1978.トラフィック)
ハイユウ(f.1961.カリム)
ハイセイコー(c.1970.チャイナロック)
ドクタースパートの父ホスピタリテイは、大井競馬で羽田盃を含め8戦全勝、中央移籍後もセントライト記念を制した名馬です。つまり、ドクタースパートは父も牝系も大井競馬と深いつながりがあります。パワー満点の配合(母は Rockefella 3×5)なので、不良馬場を泥だらけになって抜け出してきた皐月賞は、この馬に最も合った舞台だったといえるでしょう。
あらためて血統表を眺めると時代を感じさせます。父ホスピタリテイ、母の父タケシバオーはいずれも Hyperion 系。ちなみに、翌年の皐月賞を制したハクタイセイはハイセイコー産駒で、これまた Hyperion 系でした。トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスが相次いでデビューを果たした90年代前半に、日本血統は大きく転換していきます。ドクタースパートやハクタイセイは、前時代の末尾に現れた活躍馬です。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1987104019/
ドクタースパートについて印象に残っているのは、皐月賞を除けば中央転入初戦の京成杯3歳S(G2)ですね。当時は笠松出身のオグリキャップが競馬ブームを盛り上げ始めたころでした。ドクタースパートも「道営の北海道3歳優駿をレコード勝ちした大物」という触れ込みだったので、どんなものだろうかと観戦に出掛けたのを覚えています。パドックでは決して見栄えはしないものの、キャリアがある強みなのか、ほかの7頭とは完成度が違っていました。それが強く印象に残りました。レースでは後方待機策から追い込んで前をキッチリとらえました。
ちなみに、そのレースにはエレクトロアートという牝馬が出走していました(6着)。しかし、どう記憶をまさぐっても当時の姿が思い出せません。オルフェーヴルとドリームジャーニーの2代母です。
天皇賞三連単的中おめでとうございます!
うらやましいな〜21万馬券(^^)展開の読みは合ってたんだけどなあ(^_^;)
大きいレースでこういう馬券を取ると、その季節が来るごとにいい思い出がよみがえりますもんね。
馬券はダメでしたが迫力のあるいいレースでした。
また来週から頑張りたいと思います!
投稿: たくぼん | 2011年10月30日 (日) 20:32
ありがとうござます。買うときにオッズを見ていなかったので配当を聞いてビックリしました。
天皇賞・秋の大穴馬券で記憶に残っているのは、サイレンススズカが競走中止した98年のレースですね。馬連をたまたま少し買ってたんですが、レース後、まったく喜ぶ気にならず払い戻す気にもなれませんでした。結局、1ヵ月ぐらい経ってからしっかり配当を受け取りましたが……。金銭欲に負けました(T△T)
投稿: 栗山求 | 2011年10月31日 (月) 06:10
Dr.スパートは短距離から長距離まで重賞を勝ちましたね。サイヤーラインを考えると短いタイプかと思っていましたから、ステイヤーズSだったでしょうか?勝った時はビックリでした。馬体もしっかりとしたカタチの良い馬でしたし、クラシック勝ちもフロックではないでしょう。ただし日本の競馬ではスピードが不足してたかな、この系統はダートをもっと走らせば良かったかと今なら思います。
投稿: うまポーロ | 2011年11月 1日 (火) 01:11
ドクタースパートは、母ドクターノーブルが「タケシバオー×ロダン×シプリアニ」というスタミナ配合で、なおかつ Rockefella 3×5ですから、このあたりが持久力の裏付けとなっています。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1980103176/
たとえば、ニホンピロウイナー産駒ながら菊花賞3着となったメガスターダムは、Rockefella の息子チャイナロックを3×4で持っていました。このあたりの血が伝えるスタミナは優れたものがあります。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1999107236/
おっしゃるとおり、現代的なスピードという点から見ればちょっと厳しいものがありましたね。
投稿: 栗山求 | 2011年11月 1日 (火) 12:44