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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年9月23日 (金)

世界レベルの良血ゲンテン

■月曜札幌5Rの新馬戦(芝1500m)は、◎ゲンテン(1番人気)が抜群のスタートから先頭に立ち、そのまま逃げ切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=gxujW6HsAQA

予想は◎〇▲で馬単610円、3連単3550円的中。『ブラッドバイアス・血統馬券プロジェクト』に提供した予想文を転載します。

「◎ゲンテンは『バーナーディニ×ニューメラス』という組み合わせの外国産馬。父バーナーディニは現役時代にプリークネスSなどG1を3勝した名馬で、種牡馬としても初年度産駒から主要G1勝ち馬を送り出して成功している。母ミステリブルはアルゼンチンの大レースを勝ちまくった名牝で、亜1000ギニー、エストレージャス大賞ジュベナイルフィリーズなどG1を7連勝し、同国の2歳・3歳牝馬チャンピオンに選出された。本馬はキラルー≒デムア≒トゥーハーバーズ5・4×4というユニークなクロスを持つのでおもしろい。本質的にはパワー型かもしれないが、そうしたタイプでも頑張れる札幌芝1500mなら排気量の違いで押し切れるとみる。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009110063/

父 Bernardini は現在アメリカで最も勢いのある A.P.Indy 系のなかでも次代のエース格と目される若手注目株。現役時代に米最優秀3歳牡馬に選ばれた名競走馬です。種牡馬としても初年度産駒の現3歳世代から3頭のG1ホースを誕生させ、好スタートを切っています。いずれは種牡馬ランキングの上位に食い込んでくるでしょう。

母 Miss Terrible はG1を7連勝したアルゼンチンの名牝。ジェイドロバリーの全弟 Numerous を父に持ち、Gold Digger≒Good Manners 3×3、Trevisa=La Dogana 5×4が配合上のキーポイントです。
http://www.pedigreequery.com/miss+terrible

ゲンテンは名種牡馬と名牝の間に誕生したので血統的な価値が高いですね。今年のファシグティプトンフロリダセールでノーザンファームの吉田勝己氏が47万ドルで落札しました。現在の馬主はノーザンリバーやヘニーハウンドなどをお持ちの林正道氏です。

予想文にも記したとおり、ゲンテンには Killaloe≒Demure≒Two Harbors 5・4×4というトリプルの4分の3同血クロスがあります。
http://www.pedigreequery.com/killaloe
http://www.pedigreequery.com/demure
http://www.pedigreequery.com/two+harbors

        ┌ Dr.Fager
Killaloe ―――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Demure ――――┤
        └〇┐
          └ Cequillo

        ┌ Dr.Fager
Two Harbors ――┤
        └ Cequillo

狙ったものなのか偶然なのかは分かりませんが鮮やかです。

いかにもアメ車的な雰囲気を漂わせる馬で、瞬発力で勝負するタイプではありませんが、馬力あふれる先行力を武器に自分のレースができたときは強いでしょう。ハマれば重賞でも好勝負になるはずです。適距離は1400~1800mではないかと思います。

■月曜阪神5Rの新馬戦(芝1800m)は、〇エタンダール(1番人気)が外から伸びて差し切りました。
http://www.youtube.com/watch?v=sfNR2rs7aUg

レースが発走する前に強い雨が降り出し、パンパンの良馬場ではなくなりました。母ミスペンバリーは「Montjeu×ハイエステイト」というヨーロッパ型の重い配合で、これにディープインパクトを掛けて誕生したのがエタンダール。雨はプラスに働いたはずです。

忙しい競馬には向かず、距離は延びれば延びるほどいいので、2000m以上で時計が掛かりそうなときに買いたい馬です。高速馬場でヨーイドンの競馬になるとつらいでしょう。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009104372/

◎モンテエクリプス(2番人気)は3着。素軽い血で構成され、馬体が小型なので(馬体重426キロ)、こちらはスピードの出る軽い馬場のほうがいいでしょう。イメージとしては京都芝1600mが合いそうです。

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      血 統 屋 http://www.miesque.com/
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コメント

プニプニヨークン通信です。

今日はA1戦。1700㍍だったんですが、向こう正面から乱ペースになり、あっと言う間に捕まったヨークンは抵抗する術がありませんでした。最下位でした。

私も仕事休みで、目の前で見てました。切ないもんでした。

ただ、これで終わったわけではありません。

ヨークンにはまだまだこれからがあります。A1でまだ2戦目。

これからも応援して行きます!

エタンダールの母ミスペンバリーは、ディープのお相手として、ちょっと面白い血統のような気がします。
栗山さん御指摘のサドーラーズウェルズ系×ミルリーフ系のニックスの他に、まず目につくのは、スペシャル=サッチ4×4の全姉弟クロスでしょうか。エルコンドルパサーのスペシャル=リサデル4×4・3ほどの派手さはありませんが、やはりどうしても目がいってしまいます。
それから、やたらと目につくのが、ナスキロやグレビオの血です。
また、欧州血脈主導とはいえ、ララン5×6のクロスに、レイズアネイティヴやブルーアイドモモやポカホンタスの血などもあり、適度に米国血脈も入っています。
ハイインローとナスキロの両方のいいとこ取りで成功した例というと、まずトニービンが浮かびます。しかし、トニービン産駒の日本での成功例をみると、母馬から米国血脈が補われている例が多いようです。
ミスペンバリーも、欧州血脈主体という点と、ナスキロ+ハイインロー中心の血統構成という点においては、トニービンと共通するので、産駒が成功するか否かは、米国血脈が上手く活かされるかにかかっていると思われます。
さいわい、ディープはラトロワンヌと相性が良く、ちょっと薄いながらもポカホンタス5×8のクロスが生じるのも好都合ではないでしょうか。
ミスペンバリーは、藤沢和厩舎に預けられた外国産馬ですから、それなりに期待されていたのでしょうが、やはり日本の軽い芝が合わず未勝利に終わりました。しかし、ディープの血と上手くマッチすれば、日本の馬場でも走れる産駒が出せるのではないかと期待しています。

3着のモンテエクリプスは直前の大雨に泣かされましたね。いちおう良馬場のままでしたが、ちょっとオークス直前の雨に泣いたマルセリーナを思い出しました。
今回の場合は、レース後あっという間に雨があがってしまい、いったい何だったのでしょうね。

追伸
エタンダールの全兄にクリサンセマムという馬がいて、これがなかなかの好馬体の持ち主なのですが、やはり欧州血脈的な重さがあって、現状は1勝にとどまっています。馬格に恵まれた兄に較べ、弟のエタンダールのほうはディープ産駒らしいコンパクトな造りで、かなり違ったタイプに出ているようです。見栄えのよさは兄のほうなのですが、弟にはキビキビした素軽さがあり、育成を担当した坂東牧場でも「馬なのに垂直にジャンプできる」と評判になっていたそうです(馬の垂直とびは想像もつきませんが)。
そこで、両馬について調べてみたのですが、全兄弟・同馬主・同厩舎ながら、藤原英調教師は弟のほうに大きな期待を寄せていたらしいことが分かってきました。
まず、兄弟の所属するクラブ馬主の持ち馬の育成は、グローバルで一括して行なわれるのですが、エタンダールだけは藤原師の指示で坂東牧場での育成に変更されています。
坂東牧場を出発した後は、大樹ファーム産にもかかわらず、グリーンウッドに入っています。もちろん、社台系以外の生産馬がグリーンウッドを利用することもあるでしょうが、藤原厩舎の非社台生産馬は、宇治田原優駿ステーブル入りするのが普通です。
ゲート試験のためにいったん栗東に入厩した後、今度はヒルサイドステーブルに入っているのですが、ヒルサイドといえば、ノーザンファームしがらき内に同居し施設を共用している育成場です。最近は社台系の馬でも、社台F産=グリーンウッド、ノーザンF産=NFしがらきという棲み分けになっているそうなので、非社台系にもかかわらず両方の施設を経験した馬は珍しいのではないでしょうか。
この兄弟は両馬ともクラブの最高募集価格馬でしたが、兄クリサンセマムの場合、通常通りのグローバル→宇治田原のコースだったので、エタンダールに対する藤原師の期待度はかなり高いように思われました。
藤原師は、基本的にPOG絡みの取材は受けられないので、毎年どの馬が期待馬なのか分かりにくいのですが、エタンダールのケースはかなり分かりやすい部類かもしれませんね。

追々伸
本題からは外れますが、ヒルサイドSがNFしがらきに同居している件についても調べてみました。
しがらきの育成場は、もともとは社台とは無関係の会社が建設を進めていたのですが、資金繰りに行き詰まり、建設は中断し放置されていたようです。
これに社台が目をつけ、用地を買収し建設を引き継ごうとしたのですが、前の会社の中断・放置問題から地元の不信感が根強く、地元との調整は難航したらしいです。
その時、間に入って調整役を引き受けたのが、地元の信楽牧場(山田牧場)でした。信楽牧場は、乳牛の酪農中心の牧場ですが、栗東に近い地の利を活かして馬の育成も行なっています。この調整が功を奏して、無事に建設は再開しオープンの運びとなりました。
そこで、調整役の御礼にNFしがらき内の60馬房が、信楽牧場に提供されることになったようです。
その馬房を利用してオープンしたのが、ヒルサイドSになります。調教施設も全面的に共用ですので、非社台馬にとっては便利な育成場と言えそうですね。
ご存じの方も多いとは思ったのですが、興味深かったので別枠で書かせていただきました。

>ダンディ“ゲッツさ”っさん様

目の前で応援しているときに限って、ということってありますよね^^

自分のレースができなかったときに脆いというのは逃げ馬の宿命なので、今回は致し方ないところでしょう。

>toku 様

エタンダールの全兄クリサンセマムは、じつは昨年某POGで指名していた馬で、初戦内容が悪かったため全弟のエタンダールはスルーしてしまいました。2代母が Mill Reef≒Shore 3×3、母が Special≒Thatch 4×4、自身が Sans Le Sou≒Camenae 5×6という上品な展開で、おっしゃるとおりアメリカ血統も割合は少ないながらしっかり入っています。ヨーロッパ型のディープ産駒として一発があっても……という期待で下位指名しました。全弟のエタンダールのほうが明らかに器が上なので、ダービーや菊花賞が時計のかかる馬場になったらおもしろいかもしれませんね。

藤原英昭調教師の期待度を育成の道筋をたどることで証明していく、という手法はスリリングかつおもしろいですね。NFしがらきとヒルサイドSの関係も知らないことだったので大変勉強になりました。ありがとうございます。

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