Goldikova 敗れる
仏ドーヴィル競馬場で行われたジャックルマロワ賞(G1・芝1600m)は、今年の英2000ギニー(G1・芝8f)の勝ち馬 Makfi がゴール前で鋭い脚を繰り出して優勝しました。騎手は今回から手綱をとるクリストフ・スミヨン。
http://www.youtube.com/watch?v=1Xsfz1A3qDc
これを勝てば欧州G1勝ち数の新記録(11勝)だった Goldikova は断然人気を背負って2着。いったん先頭に立ったものの Makfi の末脚に屈しました。柔らかい馬場に苦しんだとのことです。時計の出るサンタアニタのブリーダーズCマイル(米G1・芝8f)で2連覇を果たしているように堅い馬場が得意なタイプ。昨年のジャックルマロワ賞は1分33秒50で6馬身差の圧勝でした。今年は1分39秒40ですからコンディションは相当悪いですね。陣営によればブリーダーズCマイル3連覇という秋の大目標は不変のようです。
Makfi の血統背景については、5月5日のエントリー「英2000ギニーは Makfi」で触れています。
http://blog.keibaoh.com/kuriyama/2010/05/makfi-a9ae.html
血統分析の部分を再録します。
「父 Dubawi は、わずか1世代を残して急逝した Dubawi Millennium の忘れ形見。現役時代にジャックルマロワ賞、愛2000ギニーなどG1を3勝した名馬で、初年度産駒となる今年の3歳世代から、この Makfi と伊2000ギニー(G3)を勝った Worthadd を出しています。出足好調ですね。
Makfi は、父 Dubawi(愛2000ギニー)、母の父 Green Desert(英2000ギニー2着)、2代母の父 Irish River(仏2000ギニー)ですから、ギニーレースに向いた血統です。父が持つ Sir Ivor≒Drone のクロスを継続している(6・6×4)ほか、Mill Reef≒Riverman 5×4などもあるので、配合的にはよくできていると思います。スローペースの切れ味勝負をズバッと突き抜けたので日本向きかもしれません。」
http://www.pedigreequery.com/makfi
父 Dubawi と2代父 Dubawi Millennium は、いずれもジャックルマロワ賞を制しています(2005年、1999年)。今回の勝利で親子孫3代連続制覇となりました。父 Dubawi は現3歳の初年度産駒から7頭の重賞勝ち馬を出しており、2世代目からもロベールパパン賞(仏G2)を勝った Irish Field(スペイン調教馬です)を出しています。非常に優秀な成績を挙げつつある若手有望種牡馬なので今後が注目されます。
http://www.pedigreequery.com/irish+field2
Makfi は、6月15日に行われた前走のセントジェームズパレスS(英G1・芝8f)で7着と敗れていますが、これは喉の感染症が原因だったようです。それ以外はすべて勝っており、通算5戦4勝という成績。いい切れ味を持った馬です。次走はムーランドロンシャン賞(9月5日・ロンシャン競馬場・G1・芝1600m)を予定しています。
いつも拝見してます。
栗山さんのエントリで、海外のレースを楽しむことが出来て、感謝してます。 実況はさっぱりわかりませんが(笑)。
ナカヤマフェスタとヴィクトワールピサの挑戦も前哨戦から楽しみです。私は未だに地上波オンリーのアナクロ野郎(笑)なもので。
個人的には、ロケットマンのスプリンターS参戦を心待ちにしてます。
投稿: ダンディ“ゲッツ”さっさん | 2010年8月16日 (月) 21:54
いつもお読みいただきありがとうございます。
気がつけば前哨戦まであと約20日。ホントにもうすぐですね。渡仏初戦はエルコンドルパサーでも負けたわけですから、本番につながる競馬ができれば十分ではないかと思います。
Rocket Man の母の父は懐かしの McGinty(83年の第3回ジャパンC5着)。血が続いていたんだなぁ……と、これだけでも感激ですね。
http://www.pedigreequery.com/rocket+man
投稿: 栗山求 | 2010年8月16日 (月) 22:47
栗山さん、初めまして。いつも勉強させてもらっております。
こうしてロケットマンの血統表を眺めてみますと、大変NZ色の色濃い血統ですよね。豪州がスプリント王国である一方、NZはステイヤーを育てる環境にあるのですが、そうした中からスプリンターズSに勝てそうな馬が出るというのも、面白いと思います。
ビービーガルダンの母もNZ産で、母父はウエストミンスターですが、こちらもNZ系スプリンターですね。
栗山さんのブログを読んでいると、サーアイヴァーの名前がよく出てきますが、NZはその系統であるサートリストラム→ザビールが、日本のサンデーサイレンスのように母系においても大変強力です。日本にもザビール肌の重賞馬がおりますが、なぜ日本はもっとNZから繁殖を導入しないものかと、ずっと不思議に思っておりました。
もっとも、ブラックタイプもわけがわかわりませんから、販売においては著しくアピール度に欠けるのでありますが。
とりとめのない内容でした。失礼いたします。
投稿: fastestindian | 2010年8月17日 (火) 16:15
はじめまして、いつもお読みいただきありがとうございます。
ニュージーランド血統にはたしかにオーストラリアにはないスタミナの蓄積があると思います。ただ、ここ数年のサイアーリストで上位を占める Volksraad(父 Green Desert)、Pins(父 Snippets)、O'Reilly(父ラストタイクーン)などはスピードタイプです。もちろん、スタミナ型の種牡馬もランキング上位で頑張っているので、日本と同様、いろんなタイプの競走馬が生産されているのでしょうね。馬の値段が格段に安く、それなりに走るので、オーストラリアはもちろんアジア圏でも人気があります。全生産頭数の半分近くが輸出されているほどです。売るためにスピード寄りの生産も盛んになってきているのかなぁとも思います。
ニュージーランドのリーディングサイアーである Volksraad は、Green Desert 系なので Sir Ivor を持っています。お隣のオーストラリアでも、現在の二強種牡馬といえる Encosta de Lago と Redoute's Choice がそれぞれ Sir Ivor を持っています。前者の近親 Flying Spur や、Zabeel の孫 Lonhro などはいうまでもありません。
ニュージーランドなどは繁殖牝馬に Sir Ivor の血が浸透しているでしょうから、もっと日本に入ってきてもいいのに、とは私も思うところです。超一流のクオリティを求めるとなると、やはり社台グループに期待するしかないのでしょう。ただ、ロックドゥカンブのように100%北半球血統ですとありがたみがないのですが……。
投稿: 栗山求 | 2010年8月17日 (火) 23:06