アラン・ポーターの「世界の最新血統」
アラン・ポーターはイギリス生まれの血統評論家で、十数年前、私が当時関わっていた『週刊競馬通信』という血統専門誌に連載を持っていました(『Patterns of Greatness』『Patterns of Greatness II』の翻訳)。この人の配合研究の深さは一目置くところであり、昨年から『週刊競馬ブック』誌に不定期ながら新たな連載を持ったのは喜ばしいかぎりです。
ただ、素晴らしい連載だけに、残念なところもあります。文章の見せ方です。ページの制約があるのは分かるのですが、さかのぼった代の細かな血統を論じているのに、4代血統表が1つ掲げられているだけでは、おそらく一読して誰も内容を理解できないでしょう。「Throughbred Horse Pedigree Query」などの海外血統検索サイトを利用して、研究したい人は研究してください、ということなのかもしれませんが、文中の馬名がすべてカタカナ表記なので、初心者の方はそれをアルファベットに置き換えるのも一苦労だと思います。アルファベットがなければ血統表検索ができません。
補足の血統表を増やす、アルファベットを併記する、という改善がなければ、いいことが書いてあるのにほとんど読む人がいないという、じつにもったいない連載になってしまうと思います。
今週号の文中に登場する「スリーパーツ・シスター」という用語もどうでしょうか。一読してこの意味を理解できる人は少ないと思います。「4分の3同血」という血統用語が日本にあるのですから、それを使ったほうがいいのではないでしょうか。
厳しいことを書き連ねてしまいましたが、この素晴らしい連載を多くの人に読んでほしいという気持ちから出たものなのでお許しを。
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