小倉2歳Sはエピセアローム
01年から昨年まで、小倉2歳S(G3)は10年連続良馬場で行われてきて、前半3ハロンの平均通過タイムは33秒3でした。今年は台風の影響で馬場発表は稍重。にもかかわらず、33秒4で通過しているのですからハイペースでした。
先に行った馬はペースがきつかったことに加え、外差しの馬場になっていたこともあり踏ん張りきれず。中団から後方に待機していた馬たちが差し込んで上位を占めました。
http://www.youtube.com/watch?v=h3loU7w-dcY
△エピセアローム(2番人気)の勝因は、展開だの馬場だのといった次元ではなく、見てのとおり1頭だけ図抜けていた能力です。前走の未勝利戦(芝1600m)は尋常ではない強さでした。今回は2ハロンの距離短縮、控える競馬など、越えるべきいくつかのハードルがありましたが、コーナーで若さを覗かせながらもねじ伏せました。現時点における2歳牝馬ナンバーワンです。浜中騎手はここ4年間で3勝ですからゲンのいいレースですね。
未勝利戦を圧勝した直後、7月26日のエントリーに以下の文章を記しました。
「エピセアロームはラターシュとエクセルサスの半妹。父ダイワメジャーは血統構成にやや硬いところが見られるので、母の父 Cozzene のような柔軟な血が入るのはいいでしょう。Cozzene は気難しいところがあり、産駒は逃げたり追い込んだりといった極端なレースで結果を残しています。今回の逃げ戦法は、馬が気分よく走れたという意味でもよかったと思います。」
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106383/
中距離血統なので1200m向きではなく、気難しい Cozzene を持つだけに、雨で緩くなった芝のキックバックを浴びたり、馬群に揉まれたり……といった際の不安があり、評価を下げてしまいましたが、ほかの馬とは地力が違っていました。脱帽です。
父ダイワメジャーは現役時代も種牡馬としても、サンデー系らしいスパッと切れるタイプではありません。現時点で〔7・16・3・52〕という成績が示すとおり詰めの甘さが目につきます。
ダイワメジャーのようなタイプの競走馬は、切れる馬の餌食となって大レースでは脇役に回るケースが多いのですが、そうはならずに数々のG1をものにしたのは、エンジンの性能がずば抜けていたからです。要するに心肺機能の強さですね。半妹ダイワスカーレットにしても苦しいと思われる場面から二枚腰、三枚腰の粘りを見せました。この血統の最大の長所でしょう。
今回のエピセアロームは勝負どころで大外を回り、距離ロスは大きかったはずですが、最後に垂れるどころかグンと突き抜けました。この頑張り、すなわち心肺機能の強さは、主に父ダイワメジャーから受け継いだものではないかと思います。
ダイワメジャー産駒に瞬発力が加われば怖いものなしです。したがって、Caro-Cozzene のようなスパッと切れる血を掛け合わせるのは好感が持てます。Halo≒Drone クロスが生じるダンシングブレーヴと相性がいいのも、父の硬さを解きほぐして瞬発力を引き出すという、配合的に望ましいベクトルに沿う部分が多いからでしょう。中距離血統なので距離が延びたほうがスムーズなレースができるはずです。
◎アイラブリリ(3番人気)は8着。ハイペースに巻き込まれたのと、騎手の談によると緩い馬場を気にしたとのことです。こんな馬場こそ得意だろうと考えたのですが、実際はそうではありませんでした。
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血 統 屋 http://www.miesque.com/
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今週のセントウルSには外国馬が2頭出走しますが、
海外のレース体系がよくわからないので、2頭の実績もいまいち分かりません。栗山さんは海外競馬に詳しいので、是非解説願えませんか?
投稿: 馬好き | 2011年9月 6日 (火) 15:02
了解いたしました。コメント欄ではなく独立したエントリーでやりたいと思います。予定としましては先週の新馬戦回顧が終わってからになります。よろしくお願いいたします。
投稿: 栗山求 | 2011年9月 7日 (水) 15:52