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くりやま もとむ Profile
大学在学中に競馬通信社入社。退社後、フリーライターとなり『競馬王』他で連載を抱える。緻密な血統分析に定評があり、とくに2・3歳戦ではその分析をもとにした予想で、無類の強さを発揮している。現在、週末予想と回顧コラムを「web競馬王」で公開中。渡邊隆オーナーの血統哲学を愛し、オーナーが所有したエルコンドルパサーの熱狂的ファンでもある。
栗山求 Official Website
http://www.miesque.com/

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2011年3月16日 (水)

スピード×スタミナの優位性

昨年12月1日、競馬国際交流協会と日本軽種馬登録協会が合併し、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルという組織が誕生しました。そのサイトには「海外競馬情報」というコーナーがあり、世界各国の競馬に関する情報を日本語訳で読むことができます。

2月25日、「スピード重視の種牡馬選びがチャンピオン血統に変化を与える」という記事がアップロードされました。
http://www.jairs.jp/contents/w_news/2011/4/4.html

内容は、現役時代にスプリンターやマイラーだった種牡馬の子が、2000~2400mの大レースを勝つ割合が以前に比べて増えている、というもの。昨年でいえば、ハービンジャー(父 Dansili)、Workforce(父 King's Best)、Twice Over(父 Observatory)、Snow Fairy(父 Intikhab)など10頭が該当します。03年は8頭、93年は7頭でした。

このパターンは、配合に関心を持つ者なら誰でも知っているポピュラーなものです。たとえば、100年近く前に活躍した Phalaris(1913年生)などがそう。現役時代はマイル以下で圧倒的な強さを誇り、引退後、英リーディングサイアーに二度輝いた名種牡馬です。スタミナ豊かな Chaucer を父に持つ繁殖牝馬との間に、Pharos、Fairway、Sickle、Pharamond を出しました。現代の主要父系はことごとく Phalaris から誕生しています。
http://www.pedigreequery.com/pharos

  Phalaris(1913)
    Pharos(1920)
    │ Nearco(1935)
    │   Nasrullah(1940)
    │   │ Grey Sovereign(1948)
    │   │ Bold Ruler(1954)
    │   │ Red God(1954)
    │   │ Never Bend(1960)
    │   Royal Charger(1942)
    │   │ Turn-to(1951)
    │   │   Hail to Reason(1958)
    │   │     Roberto(1969)
    │   │     Halo(1969)
    │   Nearctic(1954)
    │     Northern Dancer(1961)
    │       Nijinsky(1967)
    │       Lyphard(1969)
    │       Nureyev(1977)
    │       Danzig(1977)
    │       Sadler's Wells(1981)
    Sickle(1924)
    │ Unbreakable(1935)
    │   Polynesian(1942)
    │     Native Dancer(1950)
    │       Raise a Native(1961)
    │         Mr.Prospector(1970)
    Fairway(1925)
    │ Fair Trial(1934)
    │   Petition(1944)
    │     Petingo(1965)
    Pharamond(1925)
      Menow(1935)
        Tom Fool(1949)
          Buckpasser(1963)

現代の血統シーンで Danzig 系や Mr.Prospector 系が優位に立っているのも、スピード×スタミナの配合パターンが優れたものであることの証明でしょう。

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スピード×スタミナの優位性を参照しているブログ:

コメント

いつも楽しみに拝見させて頂いております。

一点、素朴な疑問なのですが、スタミナ×スピードの成功例は(つまり牡馬と牝馬のタイプをひっくり返した配合での成功例は)、比較的少ないように思われます。これには、どういった要因が考えられますでしょうか。

あるいは、「一代で成功したければ、スピード型種牡馬をつけろ」「牝系を繋ぎたければ、スタミナ型種牡馬をつけろ」といったところなのでしょうか。

いつもお読みいただきありがとうございます。スピード×スタミナの優越性は経験則といってしまえばそれまでですが、一般的に優秀なスピードというものはなかなか伝わりづらい、ということがあると思います。種牡馬というものは何百頭、何千頭から選ばれた存在で、そのスピードをもってしてようやくコンスタントに子に伝わります。スピードのある繁殖牝馬といっても、それは種牡馬ほど厳しい淘汰選択を受けたものではない、ということなのかなぁと考えます(優秀な繁殖牝馬はコンスタントに子に伝えるでしょう)。これは仮説と推理の世界ですね。

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