【阪神JF・オマケの消去法】
「今週の阪神のG1レース、いってみれば女の子の名門校お受験っすよね」
名門とお嬢様に弱いアフター競馬評論家の鬼野谷が、姪の中学受験合格を願って湯島天神に祈念してきた帰りに顔を出した。
「知ってた? 大学別生涯給料ランキングってのが経済専門の週刊誌『東洋経済』に載ってたんすけど、ベストスリーの1位が神戸女学院、2位が聖心女子、3位が津田塾で、なんと東大・早慶を抑えての女御三家。競馬王のオバミホも女子大っす」
「オンナの時代も極まれりって感じだね」
「新生児の名前もずいぶんと変わってきたっすよ。今年生まれた赤ちゃんの名前、某大手受験予備校の調査によるとね、ベスト100のなかに『心』って付く名前が12個も入ってるんすよ。12位『心春』・19位『心結』・36位『心音』『心愛』・41位『心美』・45位『心優』・48位『心菜』・53位『こころ』『心咲』・64位『心』・79位『心花』95位『心晴』っす。全部読めますか?」
「19位『心結』や45位『心優』なんて難しいね。なんて読むの?」
「両方とも、みゆ、っていうそうっす」
「それにしても、心を欲している時代なんだね。ところで、1位は?」
『結衣』って書いて、ゆいちゃんが1位だそうっすよ」
「夏川結衣ってきれいな女優がいるけど、昭和にはあまり見なかった字だね」
「そうなんすよ。見ないっていえば、阪神JF、牝馬限定G1となった平成3年以降、馬券にからんだ馬名を五十音表でつぶしていくと、小さい文字を除いて、ゆいちゃんの『ユ』が見当たらないんすよ」
H3年『ユ』-トジェーン5番人気④着、H15年フィー『ユ』ドゥレーヴ2番人気⑫着などなど馬名に大きな『ユ』を含む馬の①~③着内好走例がない。
「ってことは、アイム『ユ』アーズも消しっすよ」
「前走ファンタジーSの勝ち馬だよ」
「ファンタジーSの勝ち馬は[1-2-1-9]で、このうち5馬身差以上の圧勝歴を持たなかった馬は[0-1-0-9]。ちと厳しいっすよ」
「ナオミノ『ユ』メは?」
「前2走とも1400m以下のレースで連対を外していた馬は[0-0-0-11]っすよ」
「じゃあ、何を推すの?」
「ラシンティランテっす。ラがふたつもあるのがミロクっすよ」と口が回らずにややラリ気味の鬼野谷。
ラ行の文字を二文字使っていた馬は、昨年の『レ』-ブディソー『ル』1番人気1着、H13年タム『ロ』チェ『リ』ー7番人気1着など12頭も馬券にからんでいる。しかも、この12頭のうち7頭が6番人気以下の伏兵だった。
「それに前走が1600m使いってのもプラスっす」
阪神の芝コースが改修され、直線の長い外回りができたH18年以降の5年間、前走1600m以上の芝のレースを使っていた馬は[5-2-1-29]。その前の5年間、前走1600m以上の芝を使っていた馬は[2-1-3-14]。連対数だけじゃなく、連対率も.150から.189にアップしているのだ。マイル以上の経験がモノを言うレースに変わってきている。
過去5年、前走1600m以上使用のキャリア2~5戦で、芝の良・稍重のレースで2勝していた馬のうち、3カ月以上休養馬・当日10㎏以上の体重増減馬・前3走内に⑩着以下あるいは1秒以上の大敗がある馬をのぞくと、H20年ダノンベルベール②着・H21年アパパネ①着・H22年レーヴディソール①着。
「ラシンティランテもいけそうっすよね。なんつったて心を欲している時代すからね」
「?」
「ラ『シン』ティランテっす」
「でも、あれだよ、鬼野谷の推す馬って当たりを避けていくって裏伝説があるけど。それに酔うと服を脱ぐクセって、裸身ティランテ?」
「そんなのシランテ」
「心の時代を象徴しているならサウンドオブ『ハート』もよさそうだけどなぁ…」
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!