【函館記念・オマケの消去法】
「いやぁ~、サッカー見損なっちゃいましたよ」
肝心な時にいつもポカするアフター競馬評論家の鬼野谷。女子サッカー決勝の時も、3時45分のキックオフにあわせて目覚ましをセットしたのに、早寝した(前夜8時に就寝)のが仇に出て、夜中の2時にオシッコタイムで起きて二度寝してしまい、再度目を覚ましたのが7時だったという。
「でも、ダイジェストでしっかり泣いたっす。沢穂希の背中が大きく揺れていたっすよ。背番号10が目に焼きついて離れないすよ」
「それで? まさか函館記念は10番の馬だ!なんて言うんじゃないだろうな」
「そんな~。それはないっすよ。10は10でも、10歳馬! 暑い夏は年寄りにお任せっすよ。10歳馬がはじめてG1を勝ったのも暑い夏でしたからね」
10歳馬がはじめてG1を勝ったのは、2002年8月11日。場所はドイツ北部のケルン競馬場でのことだった。
G1クレディスイスPBポカル、3歳以上・芝2400m。7頭立てのレースに出走していたアイルランド生まれのイギリス調教馬ヤヴァナズペース(yavana’s pace)という騸馬が史上初めて10歳でのG1制覇の快挙を成し遂げた。
それまでジョンヘンリーやジョンズコールといった高齢馬がG1を制したことがあるが、いずれも9歳時でのことだった。
「そのヤヴァナズペース、10歳とはいえデビュー36戦目でのG1制覇っす。油切れするほど消耗していなかったってとこですかね」
「だけど、函館記念、グレード制開始のS59年以降、8歳以上の高齢馬は[0-1-0-21]で未勝利だぞ」
「1頭連対してりゃ充分すよ。今回はマヤノライジンに注目!っす」
「たしかに、10歳だけど…。高齢過ぎやしないか」
「いやいや、フレッシュさでは3連覇した時の7歳エリモハリアーと同じっす」
エリモハリアーは、H17年5歳からH19年7歳にかけて函館記念を3連覇した馬だが、その7歳の時、函館記念がデビュー44戦目にあたり、それまでにレースで走った総距離が80400m。
一方、マヤノライジンは、今年で10歳になるが、今回の函館記念が46戦目にあたり、ここまでの出走総距離が78900m。積んできたキャリアがエリモハリアー7歳時とほとんど同じだ。
しかも、前走に注目してみると、エリモハリアーが、6歳時函館記念の前走OP巴賞で1分50秒7が、7歳時の函館記念の前走OP巴賞で1分50秒1。0秒6短縮していたのだ。マヤノライジンも、去年前走函館OP戦1分48秒6が、今年は前走函館OP戦1分48秒0と前年と同じ臨戦態勢で0秒6短縮してきている。
年老いてもなお上昇の余地を残していると鬼野谷は言うのだ。
「10歳っていっても、まだまだいけますよ。去年8着だったけど、2着馬からだと0秒3しか離されていませんでしたからね。ハンデも去年より2㎏減は魅力っす」
「どうだかな。マヤノライジンって、オープン入り後、バレンタインSで1番人気5着・金杯で1番人気8着、その一方で、小倉大賞典13番人気3着・函館記念10番人気2着・ダービー卿12番人気3着だぞ」
「それが?」
「裏切りの連続! マヤノライジンって、なんだか、鬼野谷っぽくないか」
「?」
「だってな、lie人ってliar、だろ」
「…嘘つき…」
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