蘇る名勝負〜2勝馬の対決
新書(『名勝負に学ぶ適性競馬論』)の話。
「名勝負+種牡馬の本」というコンセプトから出発したので、名勝負の選定はリーディングサイアーランキングを見ながら行った。スペシャルとグラスは有馬でしょ、ジャンポケとクロフネはダービーで…、みたいな感じでランキングを埋めていく。
ランキング優先で選んだので、はたしてほんとうに名勝負なのかどうか、不安になることもあったが、映像や資料を見直してみて「たしかに名勝負だ」と確認できるとホッとした。むしろ、忘れられた名勝負を発掘したときは、してやったりという気分だ。
たとえば、フジキセキ対スキーキャプテンの朝日杯がそうだった。ウオッカ対ダイワスカーレットなんかは、みんなが知っているから期待値もハードルも高いけれど、この朝日杯はそこまで名勝負と認識されていないから紹介のしがいがあるし、みんなの記憶から薄れているころだから、けっこう気楽に書くことができた。
1994年の朝日杯は、2戦2勝という馬が5頭出走していて、無敗馬の対決で盛り上がった。いまでは2歳戦が早期化しているので、無敗馬対決が暮れの2歳G1まで温存されることは少なくなった。先週のファンタジーSには、ステラリード、ラナンキュラス、カレンナホホエミと、2戦2勝馬が3頭出走していた。ひとつテンポが速まったが、無敗馬対決が2歳戦の華であることは昔も今も変わりない。
ちなみにファンタジーSにフジキセキ産駒はいないが、そのかわり母父フジキセキが2頭いた。もうそういう時代なんですね。