競馬王9月号チラ見せ企画 コースの鬼『秋の中山・阪神で絶対に知っておかねばならない重要な特徴とは?』 前編
いつも競馬王をご愛読いただき、誠にありがとうございます。最新刊の競馬王9月号から、気になる記事・企画をチラ見せしていく当企画。今回は、中山・阪神開幕週ということで、コースの鬼『中山・阪神競馬場編』を特別に公開いたします。
秋の中山・阪神で絶対に知っておかねばならない重要な特徴とは? 城崎哲氏の独占取材をご堪能ください。
文・写真/城崎哲、 取材協力/中山・阪神競馬場 馬場造園課
2枚の写真を見比べてもらいたい。写真①は7月18日に撮った阪神の直線。写真②は7月26日に撮った中山の直線の写真である。どちらもあと1か月強で競馬に使われることは同じ、しかもたった1週間しか撮影日が違わないのに、状態が全然違うことがわかると思う。中山の芝はほぼ完全に生えそろっているのに阪神にはまだところどころ芝がなくて土がむき出しの部分がある。
写真① 7/18時点の阪神競馬場直線部分
写真② 7/26時点の中山競馬場直線部分
これがほんの1か月前まで競馬をしていた阪神と、4月半ばの皐月賞までしか競馬がなかった中山の差である。
ちなみに写真③は芝を張り替えるために内側部分の芝を剥がした状態の5月17日の中山、写真④は芝張り替え後の6月26日の中山。これらとほぼ同じアングルから阪神の直線を7月18日に撮影したのが写真⑤である。写真④と写真⑤の芝の状態はほぼ同じ程度に見える。
写真③ 内側の芝を剥がした5/17の中山競馬場
写真④ 芝張り替え後の6/26の中山競馬場
写真⑤ 7/18の阪神競馬場直線部分
中央4場はどこも競馬がローカルに行っている夏競馬の期間中を芝の張替え更新作業にあてているが、とくに中山は4月に春競馬を終えてから秋競馬が始まるまで半年以上も時間的猶予があるのに対して、阪神は6月の宝塚記念まで前年の芝を使い続けなければならない。そのため芝の張替え更新にあてられる期間が2か月しかない。これは中山の3分の1だし、東京や京都と比べても著しく短い。だが野芝の本当の成長期は真夏つまりこれからなので、現状はこんなでも夏の間に芝が伸びて現状ではげている部分はあらかた埋まってしまうはずである。実は洋芝をはがす作業の直後であることを考慮すれば、この状態は全然悪くない。
とはいえ、現在の中山の芝の状態はあまりにもいい。野芝がこんなに密集してふさふさしているのを見たことがない。秋競馬の前の芝は1年でいちばんいい状態なので、毎年夏~秋の芝は「ほめるしかない」っていう感じで書こうと決めているのだが、実は受ける印象は毎回同じではなく「なんだか今年は芝の葉が細いな」とか思うこともある。だが今年の中山の芝は掛け値なしにいいと思う。
7/26時点の中山芝。すばらしい状態
9月の中山と阪神はともに野芝開催で(イタリアンライグラスをオーバーシードするのは4回開催終了後になる)、どちらも芝の状態はそれぞれの最上になるのだが、9月の開催までに阪神の芝が隅々まで埋まったとしても、7月時点での差(根の張り方とか…)がまるでなくなってしまうとは容易に考えづらい。であれば4回中山と4回阪神では中山の芝のほうに軍配が上がるはず。
また中山の芝は4分の1程度が「エクイターフ」なのに対して、阪神は依然として従来型の芝である。ただし従来型の芝の中ではもっとも丈夫という定評の鹿児島県鹿屋産の芝ではある。阪神がエクイターフを使っていないのは「エクイターフは葉の伸びが遅いため、短いインターバルで開催が連続する阪神では使いづらいから。試験的に小面積張って様子を見ている」(阪神競馬場馬場造園課の山室州平馬場係長)からだという。逆に皐月賞から秋競馬までが長い中山にはエクイターフがぴったりなのだろう。
今年の芝は例年以上だ、とは書いたが、そうでなくても前述したような理由で秋中山の芝はベストなのである。
続きは、9/5(木)に後編として掲載いたします。完全版を読んでみたいという方は、競馬王9月号掲載の『コースの鬼』でお楽しみください。ブログでは掲載しない中山・阪神の具体的な狙い方などを掲載しております。
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