【エリザベス女王杯・オマケの消去法】
「ドコカラ、キタ?」
「ジャパン」
「ジャパンノ、ドコカラ、キタ?」
「フクシマ」
その途端にサァーっと人が引いた。
女性初のエベレスト登頂成功の偉業を成し遂げた田部井淳子さんが、最近海外で受けた仕打ち?だという。
残念なことに、海外ではフクシマはチェルノブイリと同義となっているらしい。風光明媚、フルーツ王国、蕎麦に酒とおいしいもの満載のフクシマが、内にいる日本人の想像をはるかに超えるダメージをこうむっている。
クラシック競走で、福島県産が優勝したのは2回ある。S49年オークスのトウコウエルザとH5年菊花賞のビワハヤヒデの2回だが、ビワハヤヒデの場合は、母が北海道に移送中に産気づいたため福島生まれとなっただけ(育成は北海道)で、実質的にはトウコウエルザの1回とみていい。そして、このトウコウエルザの出生地が福島の郡山の東、田村郡というところで、奇しき縁か、登山家の田部井淳子さんの出身地と同じだという。
福島県産もそうだが、千葉県産のクラシック馬も少ない。
千葉県産は、S7年、栄えある第1回目のダービーをワカタカが制したが、S53年サクラショウリ以後戴冠が途絶え、皐月賞がS57年アズマハンター、菊花賞がS36年アズマテンラン、桜花賞がS29年ヤマイチ、オークスがS55年ケイキロクを最後に千葉県産の優勝例はみられない。
今週のエリザベス女王杯はクラシックにカウントされない(H7年まで牝馬三冠目のレースに相応)が、S51年、第1回を制したディアマンテが千葉県産馬だった。
ディアマンテが生まれたS48年、千葉県産の同期は512頭いた。それが、S60年には131頭、H6年には50頭、H16年には23頭と生産減少の一途をたどっている。
今回のエリザベス女王杯、出走18頭の父と母は、外国産以外はすべて北海道産で、他地区生産の血を探すのは難しい。
ところが、いた!
ホエールキャプチャだ。
お祖母ちゃんのお祖母ちゃん、つまり4代母のチヨダマサコが千葉県産だ。
それも、エリザベス一家だった。チヨダマサコの三番目の仔タレンティドガールがS62年のエリザベスを、チヨダマサコの叔母さんのビクトリアクラウンがS57年のエリザベスを勝っているのだ。
さっそくアフター競馬評論家の鬼野谷にかけあってみた。
「ホエールキャプチャ、今度こそ、じゃないのかい」
「どうっすかね。前走以上のポテンシャルを引き出すのは難しんじゃないすか。桜花賞、メンバー2位の上がりでコンマ1、オークスはメンバー最速の上がりでクビ差負け。鞍上が、位置取りの差で負けたなんて毎回言ってるんすよ。大崩れはないけど、前走以上のパフォーマンスはのぞめないすよ」
エリザベス女王杯が古馬混合戦となったH8年以降、3歳馬は[6-3-3-71]。このうち、前2走が「ローズS→秋華賞」だった馬は[4-3-2-28]。このローテで、どちらとも③着以内の好走馬は[4-1-0-9]。さらに、このうち、(a)キャリア6戦以上で夏8月以降に3戦以上消化馬は疲労蓄積懸念で×、(b)着外(④着以下)が3回以上と安定感の欠ける馬は×、(c)前2走とも向う正面で位置取り6番手以下のケイバをしていた末脚勝負の馬は展開頼みで×、以上の3項目をすべてクリアしていた馬は[4-0-0-0]。
H14年ファインモーション(①→①)・H15年アドマイヤグルーヴ(①→②)・H18年フサイチパンドラ(③→③)・H19年ダイワスカーレット(①→①)の4頭が勝っている。(カッコ内は「ローズS→秋華賞の着順)
「どうだい、ホエールで決まりじゃないか」
「でもねぇ~、この勝った4頭のうち、繰り上がり①着だったH18年のフサイチパンドラを除く3頭は、すべて勝率が5割以上あったんすよ。ホエールは?」
「4割…」
「でしょう! 勝ち負けはキツイすよ」
「じゃあ、なにを狙うんだい」
「アニメイトバイオっす。去年、秋華賞メンバー最速の上がり34.0を武器に臨んで⑮着惨敗だっけど鼻出血の影響で参考外。前走は最速上がり33.5。上昇軌道に乗ってきた感じっすよね」
「あれだぞ、勝率が2割を切っているんだぞ」
「でも、今回は千葉産を応援するんじゃなかったすか」
「そうだけど…」
「母がね、生産地は北海道だけど、生産者が、千葉飯田牧場なんでね、千葉さんっす」
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!