【アルゼンチン共和国杯・オマケの消去法】
「よく食うね。いくら食欲の秋って言っても食べ過ぎじゃないか」
火曜日、ナイター大井競馬場の帰り、新大久保の焼き肉屋に寄ったのだが、アフター競馬評論家の鬼野谷のドカ食いには驚いた。カルビ10人前にチジミにトッポギにテグタンととどまるところを知らない旺盛な食欲だ。
それもそのはず、2011年11月1日のイチ並びの特異日、大井のメインに『フサイチコウキ』が出走していて、『イチ好機』とこじつけて的中(馬連8-11で2630円)してしまったのだ。ハイになると食欲も増す。
「食うって言っても、アルゼンチンに比べたらどうってことないっすよ」
聞くと、一人あたりの牛肉の年間消費量世界一がアルゼンチンで、年間62㎏。それに対して、日本人は約1/8の8㎏だという。
「肉を食わないとアルゼンチンに勝てないっすよ」
「アルゼンチン共和国杯か」
「そっす。肉をよく食うから、連中は体重も気になるんすよね。知ってました? 馬体重ってアルゼンチンから来たんすよ」
日本で成績広報に馬体重が記載されるようになったのは昭和46年からだが、その参考にされたのがアルゼンチン競馬だった。
「体重もそうだけど、気になるのは斤量だよな。今週はハンデ戦だけど、オウケンブルースリの58.5㎏ってどうなの。キツイんじゃないのか」
「そっすね。ある調教師が、斤量は58㎏からが堪えるんだ、って言ってたすよ。人間でも、体重60㎏の人が一日に標準のだいたい7000歩動き回ると500トンの荷重がかかとにかかるっていいますからね。負担が増すとツラいっす」
と言いながら肉満載の太鼓腹をさする鬼野谷。
アルゼンチン共和国杯が、春の別定戦から秋のハンデ戦に変更されたS59年以降、ハンデ58㎏以上の馬は[1-3-1-21]と、勝ったのはS63年58.5㎏のレジェンドテイオー(天皇賞秋②③着の実績を持っていた)だけで、59㎏以上だと[0-0-0-8]、すべて着順掲示板外の⑥着以下だった。
「肉ばっかり食ってるとツラくなるぞ。肉でも鳥にしたらどうなんだい」
「鳥って言えば、こないだ、編集部の20代の娘がね、どうせワタシはチキン野郎ですよ、ってイジケてたのが、天皇賞を外人ボックス買いで万馬券当てたんすよ、ガツンとやられた感じだったなぁ」
「セクハラでもしてイジメたんじゃないのか」
「女子会で韓国薬膳の参鶏湯を食べた話をしてたんで、そんなの食べたからオンナを下げたンって言っただけなんすけどね」
「……。それでアルゼンチンはなにを狙うんだい」
「チキン野郎に逆襲のネコパンチっすよ」
夏8月以降に2000m以上ばかりを3戦以上も使い、そのなかに芝の2300m以上戦で③着内の好走があった芝4勝以上馬のタフな馬を穴に狙え、と鬼野谷が言う。
これに該当していた馬は[4-4-3-13]。
このうち、(a)前走1秒以上敗退や前走条件戦④着以下馬は×、(b)ハンデ56㎏以上馬や前走が58㎏以上だった馬は×、(c)前走3000m以上の長距離戦使用馬は×、(d)6歳以上高齢馬は×、以上の5項目をすべてクリアしていた馬は[4-4-2-0]で、この連対8頭中5頭までが6番人気以下の伏兵だった。
ネコパンチはよく走るタフな馬だ。そして、体重もほとんど変動がない。今年2000m以上を10走して、体重の前走比増減幅がすべて8㎏差の範囲内だった。
かたや、オウケンブルースリは過去10走で体重前走比10㎏以上が3回もあり、今年の阪神大賞典で10㎏減2番人気⑧着など体重変動に敏感な馬だけにハンデも堪えそうだ、と鬼野谷は分析。
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!