【スプリンターズS・オマケの消去法】
「いやぁ、指がズルむけっすよ、グッ!グッ!グッ!」
バンドエイドを巻いた親指を立てて、あの人は今‘エドはるみ’パフォーマンスがうっとうしいアフター競馬評論家の鬼野谷。
ヘビースモーカーだけに、重くなったライターがこたえたらしい。
今週から旧型のライターが発売禁止された。小児発火事故防止のためだが、新機のライターは着火装置が非常に重くできていて、それで鬼野谷の親指の皮がズルりとむけてしまったという。
「ずいぶんとヤワな指だこと…」
「でも、あれっすね、着火とか発火とか競馬に悪用されたらたまんないっすもんね」と昔アメリカで起こった事件を語りだした。
1994年3月20日の競馬専門誌デイリー・レーシング・フォームに、元騎手が発電装置を所持していて逮捕されたというニュースが載っていた。
ルイジアナ州のフェアグラウンズ競馬場で、元騎手L・オリヴァ・ジュニア(43歳)が、馬を刺激して興奮させる発電装置を競馬場内で所持していたために、州法規定の違反により身柄を拘束されたらしい。
犯行の理由が、定番の“金に困っての企み”というのではなく、馬を興奮させるのが面白くて、と八百屋お七も真っ青のねじ切れた脳ミソが怖ろしい。
「小さいころ爆竹とかの花火で動物をおどかしたりしたけど…」
「BB弾をカエルのケツに突っ込んだりしたっすよね」
「鬼野谷、まさか…」
「そうっすよ、ビービーガルダンに金を突っ込みますよ、今週は」
「火遊びにならなきゃいいけどな」
4年連続の出走となる7歳ビービーガルダン。いずれも前走G3キーンランドCからの出走ローテで、4歳時②→③着、5歳時①→②着、6歳時④→⑩着、レース後のコメントは、4歳時「あとワンパンチが」、5歳時「運がないね」、6歳時「内に包まれて自分の競馬ができなかった」で、昨年は展開不利で度外視できる。
スプリンターズSがG1に昇格されたH2年以降、7歳以上の高齢馬は[2-1-1-32]で馬券になった4頭はいずれも前2走内に重賞戦で連対歴があった。スピード競馬に苦戦傾向の高齢馬だが、前2走内に芝1200m重賞戦で連対歴のなかった7歳以上馬は[0-0-0-29]と出番なしの状態だ。
しかし、ビービーガルダンは、今回出走の7歳以上馬で唯一、前2走内に重賞戦連対がある馬。助手のコメントも「最近やたらと元気がいい」と年齢を感じさせない動きに満足気で、調教も5歳時②着のときが、62.7―49.9―37.4―12.3(やや一杯)だったのが、今回は63.5―50.3―37.0―12.3(馬なり)と確かに手ごたえ上々の動きをみせている。
「でも、ビービー弾よりロケットのほうが速そうだけどな」
「なに言ってんすか、学習能力が足りないっすよ」
H6年、米国[14-3-0-1]・1200m[8-2-0-0]のソビエトプロブレムが「赤い刺客」と怖れられるも2番人気7着。昨年、香港シャティンで1.08.0の持ち時計があり、前々走の香港G1戦でロケットマンを差し切って勝っていたグリーンバーディーが「本気度が違う」も1番人気7着。
「舶来ものをやたらありがたがるのはやめにしたらどうっすか」
「でもなぁ…」
国際レースとなったH6年以降、海外参戦馬は[3-0-2-16]で、この勝った3頭に共通しているのは、1400m戦での連対歴があったこと。
G1に昇格されたH2年以降、1400・1600m戦で③着内好走歴のなかった馬は、H14年の新潟開催を除き[0-0-1-36]。H16年、1400~1600m[0-0-0-6]のサニングデールが1番人気に推されるも⑨着。唯一の好走例が、H20年ビービーガルダンの③着だ。単なるスピード一辺倒の馬ではタフな中山コースを乗り切るのは至難のワザで、あとひとハロンをこなせるタフさがないと通用しない、と鬼野谷は言い切る。
ロケットマンの香港1200m持ち時計は1.08.8、1400m以上は未経験。
「それにね、ロケットマン、10頭立て未満の少頭数レースでは負け知らずだけど、負けた4回はいずれも10頭立て以上のレースだったんすよ。逃げ馬だけに、後ろからワサワサ大勢の馬が来ると耳を絞っておびえるそうっすよ」
「ほんとかよ」
「もうひとつ、ロケットマンって、rocketmanだと思ってる? 違うんだなlocketmanっすよ。ロックされた人、カギかけられた人、つまり犯罪者っすよ。逃げても無駄。いずれやられますよ」
「なにに?」
「ビービー狩る弾、に」
高橋学の「消去法シークレット・ファイル」の予想は、netkeiba.comをご覧下さい!