【七夕賞・オマケの消去法】
「コロコロ♪コロコロ♪転がった…函館は最高っすね。涼しいし、イカは旨いし、馬券も大漁っすよ」
先週から函館競馬に遠征していたアフター競馬評論家の鬼野谷が、手土産に毛ガニを持ってあらわれた。
「ずいぶんご機嫌だね。そんなに儲かったのかい?」
「いやぁ~、土曜日の函館で1万円を元手に、ハンデ戦のメインを除く全レースで1番人気馬の複勝ころがししたんすよ。これがね、ころがりにころがって、全レース1番人気的中!昼飯代をさっぴいても13万円にふくらんだんすよ」
「そりゃたいしたもんだ。それで? 日曜は先週の予想通り函館スプリントSで3歳馬ヘニーハウンドを買ったんだろうな」
「もちろんっすよ。土曜の儲けで、複勝10万円…」
「そ、それじゃドボンじゃないか」
「それがね…泊まった湯の川の温泉宿のコンパニオンがカレンさんっつって…」
「座布団とるよ。それで残りの3万円でカレンチャンの馬券でも買ったんだろ。鬼野谷のスケベ心、少しは見習いたいもんだな…いくつになっても…」
「いくつになっても、って…見習うんならカルロス・レオンすよ」
「突然なんだ、カレンの次はレオンって、マドンナの元カレか」
「騎手。ジョッキーっすよ。だいたい勝負事に年なんて関係ないし」
歌う小悪魔マドンナの元カレと同名異人カルロス・レオンは、見習い騎手として‘94年フロリダでデビューし、初騎乗初勝利をやってのけた。そう珍しくもない記録だが、このレオン、遅咲きの騎手、年が30歳だったのだ。
3人の子持ちで、どうしても騎手になりたいとクリーニング店に勤めながらしゃにむに頑張り、2年間で騎手免許を手に入れた。初騎乗の日、10代の少年ジョッキーたちに交じって単勝25倍の穴馬でゴール板を先頭で駆け抜けた。スタンドで応援していたカミさんと子供たちに勝利の鞭を投げ入れようとしたが、フロリダでは最初の騎乗時には鞭を持つことが許されていない。馬上で感謝の投げキスに切り替えたレオン。そこで腰をひねったか、その後の活躍はあまりきかないが…。
「年くってから頑張るなんて昭和世代の鏡っすね。年寄りの汗水でしたっけ」
「冷や水! …使い方も違うし、それになんだか加齢臭が匂うぞ鬼野谷」
「匂う、匂う。今週は、高齢馬が匂いますよ。七夕賞で7歳馬サンライズベガっすよ。準OPに格上げになって以降、6~8月の暑い時期は[1-2-3-1]で、着外一回も0秒5差7着のタフな夏オジンなんすよ」
「7歳っていう年齢は大丈夫なのかい」
「前3走内に、年明け以降に限るっすけど、芝の重賞戦で5着以内の好走歴がある7歳以上の高齢馬は[5-3-0-15]。このうち、8歳以上×・前走非重賞戦6着以下×・ハンデ57㎏以上×の3項目をクリアしていた馬は[2-3-0-0]。サンライズは7歳ハンデ56㎏、ギリギリセーフっす。それに七夕賞、サンライズベガのベガは織姫星。去年3着、ことしもやってくれます!」
「って、3年前の七夕賞でも同じこと言ってなかったか。2番人気の4着に負けたけど、キャプテンベガのベガがって」
「言ったべが?」
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