片野治雄のファミリーテーブル考察
<弥生賞回顧>
フルゲートではなかったものの、なかなかの好メンバーの揃った今年の皐月賞TR・弥生賞。重馬場の影響からか(事故防止のため良馬場時よりも馬の間隔が広く開けられていた=モマれ弱さを持つ「スタミナ型」にとっては有利だった?)、内枠の3頭で決着しましたが、実績上位の2頭の決着という事で、クラシックへ向けて役者が揃ってきた感じです。
ヴィクトワールピサ[8-d]の勝ちっぷりは見事でしたが、次走の皐月賞を考えればロングスパートをせず、「使える脚の長さ」を計らずにTRを終えてしまったのは武豊騎手にとっては不安の残る前哨戦だったのではないでしょうか(ディープインパクトやエアシャカールは実践したがムーン・オーラのアドマイヤ2騎は実践せず)。
一方、2着のエイシンアポロン[1-l]はヴィクトワールとは逆に好位置からの粘り込みで2,000mへの対応力が確認できたのは大収穫。朝日杯組にとって鬼門と言われる弥生賞だけに(近年、勝ち馬以外は好走例なし)、成長力を見せてくれたレースぶりでした。4年連続で勝ち馬を輩出しているl記号馬だけに、本番に向けて更なる上昇ぶりが期待できると思います。
そして注目の3着争いは1勝馬ながらダイワファルコン[4-d]が入線。条件馬ながら皐月賞への優先出走権を手にしました。かつてTRを3着→快勝という離れ業をやってのけた兄メジャーを彷彿とさせますが、競馬っぷりを見る限り雰囲気はむしろ姉のスカーレットに近いように思えます。ただ、潜在能力の高さは認めても今回は展開に恵まれた点も小さくないので、本番では思いきった騎乗で周囲をアッと言わせるような大仕事を期待したいものです(SS登場以後、過去15年で4勝している4号ファミリーですが、1番人気での勝利は一度もないところに皐月賞との相性の良さが伺えます)。